独立系オンライン書店である同社は、eコマースの通年戦略を使って、ホリデー期間中の売上を20%伸ばした。

 

書籍は、熱心なファンを擁する幅広いカテゴリーである。デジタルチャネルで書籍ファンを獲得するには、データと堅実なeコマース戦略が必要である。オンライン書店のThriftBooksは、長年にわたって、カジュアルな書籍閲覧者にも、TikTokの書籍・文学向けサブコミュニティ「BookTok」でトレンドを生み出す読者にも関連するような、エクスペリエンスに対するデータ主導型のアプローチを開発した。

 

この通年の戦略は、eコマースのホリデー期間における好調な売上につながった。2023年のホリデー期間中、ThriftBooksの売上は前年比20%以上増加したのだ。

 

eコマース顧客にとっての価値

成功したeコマースブランドとして、ThriftBooksはAmazoneBay、その他の書籍サイトで新品や中古の書籍を販売している。同社は2003年にAmazonのセラーとしてスタートして以来、パーソナライズされたエクスペリエンスとカスタマーサービスを提供する、データ主導型の運営を行ってきた。同社は過去20年間で、2億5,000万冊以上の書籍を販売してきている。

 

ThriftBooksのeコマース戦略は、価格、書籍の品揃え、商品の品質、顧客サービス、ロイヤリティプログラムの5つの柱に基づく。同社は、独自の社内自動化テクノロジーと、処理センターが1日に約20万冊の本を処理するためのテクノロジー「Keep Book」を使用している。

 

「このホリデーシーズンは、当社にとって非常に好調だった」と、ThriftBooksのセールスおよびマーケティング担当副社長Barbara Hagen氏は語る。「何がそれに本当に貢献したのか考えてみると、それは当社のコアとなるバリュープロポジション(顧客のニーズが高く、かつ競合他社が提供できていない独自の価値)に一因があると思う」。

 

Hagen氏は、「ホリデー期間中、割引は一切行わなかったが、売上は20%以上もアップした。つまり、これら5つの要素が組み合わさることで、顧客の共感を呼んでいるのだ。彼らは、『セールするだろうか?待った方がいいだろうか?』と考える必要がなく、自信を持って買い物をすることができるのだ」。

 

パーソナライズされた顧客体験とサービス

顧客はThriftBooksのサイトにアクセスすると、1,900万冊を超える在庫から書籍を選ぶことができる。リピーターにはパーソナライズされたおすすめ情報が表示され、各ユーザーに合わせてエクスペリエンスが最適化される。

 

「顧客は、我々が提示する価格だけでなく、顧客の反応や、注文に関する質問がある場合にカスタマーサービスに問い合わせることができるかも確認している」とHagen氏。

 

新規顧客は、ソーシャルメディアでのクチコミやコミュニティにおけるアウトリーチから、あるいはThriftbooksが投資を行った検索エンジン最適化を通じて、同社のサイトにやってくる。

 

「特定の書籍を探している場合、非常に優れた価格を提示する当社が、Google検索で最初に表示されるものの一つになることを期待している」と、Hagen氏。「それは人々をサイトに誘導するための優れた方法であり、ひとたびサイトにアクセスすれば、本当に素晴らしい体験ができるのだ」。

 

サイト上のWebコンテンツやソーシャルメディアで発信されるコンテンツは、おすすめ情報を配信し、書籍ファンに今後の展開を知らせている。

 

また、Thriftbooksはパーソナライゼーションを利用して、過去の購入履歴に基づいたきめ細かいメールを顧客に送信している。さらに、同社は新作映画や人気のストリーミングシリーズなど、文化に関する幅広いトピックを常に更新し続けており、その多くは読者が購入したいと思うような書籍を題材にしている。

 

サイト内検索、レコメンデーション、統合データ

顧客にとってのサイトエクスペリエンスの重要な部分は、検索バーである。これは、ユーザーが目的のものを見つけ、最初に購入したものをショッピングカートに入れた後、買い物を続けるのに役立つものである。

 

「サイトにアクセスするユーザーは、多くの場合、特定の書籍を探している」と、ThriftBooksのテクノロジー担当副社長であるTrevor Higbee氏は話す。「しかしその後、彼らは検索バーを見て、他にどんな本があるのだろうかと考えるのだ。そのため、我々は、スピードと関連性の両方の観点から検索パフォーマンスを最適化するために、テクノロジー面で多くの時間をかけている」。

 

ThriftBooksは、サイト上の検索シグナルデータを、ユーザーへのレコメンデーション構築に役立てている。これらの貴重なデータインサイトを、カスタマーエクスペリエンスのあらゆる領域に統合することが重要となるのだ。

 

「当社が構築したエコシステムは、人々がやり取りしているさまざまなデータポイントをすべて取得するためのものである」とHigbee氏は話す。「当社では、メールによる顧客のへのアプローチを幅広く行っているが、それは当社のシステムに反映され、我々がより良い提案を行うのに役立っている。我々は、人々が何を検索し、何を閲覧しているかに注目している。カスタマーサービスシステムからの情報が中央システムに戻ってくるので、それを使ってより良いレコメンデーションを作成している。当社はこれらすべてのデータを活用して、顧客に1対1のエクスペリエンスを提供できるよう努めている」。

 

大規模言語モデルの実験

Thriftbooksが顧客に関連性の高い、効果的なレコメンデーションを提供するにあたり、検索データと購入データは重要な部分を占めている。読者はまた、ソーシャルメディア、メール、カスタマーサービスとのやり取りなどを通じて、本に対する自身の関心を文章で共有している。これらのインサイトを取り込んで統合するために、ThriftBooksは大規模言語モデルの実験を行っている。

 

「大規模言語モデルの台頭により、我々は既存のデータにさらに多くのインサイトを統合しようとしている」とHagen氏は話す。「当社のビジネス規模では、すでに多くの素晴らしいインサイトを持っている。しかし、我々は大規模言語モデルから得られるより深いインサイトによって、それを強化したいと考えている」。

 

書籍購入者向けのロイヤリティプログラム

顧客がThriftBooksで買い物をすればするほど、同社はより良いメールやレコメンデーションを提供できるようになる。同社のロイヤリティプログラム「ReadingRewards」は、顧客が買い物を続け、同社とのつながりを維持するためのインセンティブとなっている。

 

このプログラムはレベル分けがされており、顧客の購入額が増えるほど、より価値の高い書籍を無料で入手したり、品切れした書籍の早期購入などの特典を受けたりすることができる。

 

新規顧客はまず、一番下のレベルの「Reader」に無料で登録できる。年に75ドルの利用で、次のレベルの「Bookworm」になる。そして、年間利用額が150ドルに達すると、最高レベルの「Literati」の資格を得ることができる。

 

レベルが上がれば上がるほど、1ドル使うごとに多くのポイントが獲得できる。そして500ポイントに達すると、本が無料でもらえる。「Readers」は500ポイントに達すると5ドルの本を、「Bookworms」と「Literati」はそれぞれ6ドルと7ドルの本を無料で手に入れることができる。

 

「顧客は、ReadingRewardsを気に入っている。それは、当社が無料で本を配布しているからだ」とHagen氏は話す。「愛書家たちがどんな特典に価値を見出すかを考えると、それは彼らが無料の本を手に入れられるということなのだ」。

 

コミュニティ構築とソーシャルメディアへの働きかけ

「すべての要素が日常的に組み合わされ、クチコミがそれを支えている」と、Hagen氏は話す。「当社には、ほとんどカルトのような、非常に強力なアドボケイト(熱心な支持者やファン)がいる」。

 

「ソーシャルチャネルは、オーガニックなリファラル(紹介、推薦)やエンドースメント(著名人が商品やサービスを公的に支持すること)という点で、当社にとって大きな役割を果たしている」と、Hagen氏は説明する。「TikTokは、その規模や書籍の顧客へのリーチという点だけでなく、『BookTok』というコミュニティが存在するという点でも、書籍業界全体にとって大きな力となっている」。

 

ThriftBooksには、TikTokのフォロワーが約17万人いる。社会的な話題は、ブランディングとパッケージングによって後押しされている。Thriftbooksの人目を引く青緑色のパッケージは、オンライン書籍コミュニティでワクワク感とブランド認知を高めている。

 

「私はこの6冊の本を20ドル以下で購入した、という誇らしい気持ちがあるのだ」と、Hagen氏は言う。「フォロワーはそうしたことを共有するのが大好きなので、その意味でソーシャルは我々にとって本当に重要なチャネルとなっている」。

 

同氏は、「ThriftBooksの素晴らしい点の一つは、新品から中古まで、非常に多くの在庫があることだ。したがって、顧客にとって、絶版になったかもしれないが、TikTok上で話題になっている本を見つけるのに、ThriftBooksは最適な場所なのだ」と付け加えた。

 

※当記事は米国メディア「MarTech」の1/23公開の記事を翻訳・補足したものです。