ドイツ最大手の音楽ショップThomannは、ヨーロッパ最大の楽器のオンライン販売業者となった。昨年の売上高は約14億ユーロに達し、そのほぼ3分の2は国内市場以外からのものだった。

 

これは、ドイツ最大の経済新聞社Handelsblattのインタビューに答えたHans Thomann junior社長の言葉である。Thomann氏は、ヨーロッパ大陸におけるクロスボーダー(越境)eコマースの先駆者である。1996年には早くもオンライン販売を開始した同社は、楽器のオンライン購入で国内外の消費者の信頼を得た。

 

オンライン大手

Thomann氏は現在も、本社があるドイツのバイエルン州トレッペンドルフに大規模な実店舗を構えている。しかし、収益の大半は、ドイツ国内、その他のヨーロッパ諸国、そして米国でオンラインによって生み出されている。新型コロナウィルス感染症の大流行後、多くの人々が楽器の演奏とともに新たな歩みを始めた後も、数字が示すように同社の売上は伸び続けている。

 

新型コロナ以降も収益は増加

Thomannの従業員のほとんどがミュージシャンであることも、Hans Thomann juniorは成功の要因として挙げている。「私たちがここで作り上げたものは、情熱と努力の賜物だ」。
同社は外注をほとんどしていない。「バリュー・チェーンのできるだけ多くの部分を自分たちで行い、品質を管理したいと考えている」。

 

甥のMarkus氏を後継者に指名した現取締役によれば、一族は経営権を維持することを望んでいる。
「投資家に会社を高く売ることもできたが、私たちは家族経営のビジネスを続けている」。

 

Amazonを抑える

Thomannは、ドイツのeコマースを支配し同国のオフライン小売業に大きな影響を与えるAmazonを抑えることに成功した。eコマース・ソフトウェア・プロバイダーSprykerのディレクター、Alex Graf氏によれば、これは偉業であるという。
これを実現するには3つの方法がある、と同氏はHandelsblatt紙に語っている。それは、Amazonにない商品を販売すること、Amazonにある商品についてより多くの知識を持つこと、そしてAmazonが提供できないサービスを提供することである。
「Thomannは、ニッチな分野でこの3つの戦略をすべて実践している」。

 

「Amazonにとって、Thomannは手が出せない存在だ」

 

Graf氏は、「同社はこの点で、最大限の敬意を払うに値する」と締めくくった。

 

※当記事は英国メディア「Ecommerce News」の1/16公開の記事を翻訳・補足したものです。