食品のサブスクリプションサービスを提供するオイシックス・ラ・大地株式会社は、2022年より成長戦略として、「ビジネスモデルとテクノロジーの力で地球にも人にもよい食を提供する」を掲げ、テクノロジーとデータを活用した持続可能な小売り業を推進している。その戦略の一つとして発足したデータ活用を専門とする組織、Data Management Officeにて、オイシックス・ラ・大地株式会社では初となるAIを用いた「需要予測システム」を2023年11月に提供開始した。


これにより、食品宅配サービスOisixにおいて過剰発注の減少による食品ロスの削減や、商品の売り切れの減少による顧客満足度向上の実現する。



食品業界の課題

 

食品業界、特に青果流通では生産から販売、配達に至るまでの中間流通で関わる人が多く、デジタル化やシステムの連携が難しい。このため、データの分断やサイロ化が起こりやすくDXが遅れている。さらに、情報流の分断によって上流で必要な情報が共有されなかったり、最新ではない実績データや需要予測・発注数の共有に終わり、結果としてサプライチェーンでのロスが大きいのも課題となっている。

 

 

「需要予測システム」の導入効果について

 

これまで、担当者は一定のデータと経験値をもとに需要予測を立てていたものの「考慮の幅に限界がある」ことや、「予測を立てるための時間も必要」だったため、本来必要となる「売るための仕掛けを考える時間」が確保できていなかった。しかし、今回提供を開始した需要予測システムにはAIが導入されており、顧客の行動、購買データ、レシピデータ、販促データを学習させることで、改善率を上げることが可能になった。その結果、11月のサービス開始後1か月で、予測誤差率20.2%の改善に繋がっている。

また、需要予測システムの導入によって最適値での発注が可能になることで、「欠品率」「在庫回転率」の改善も見込める。特に「欠品率」の改善については、買いたいものがすぐ購入できるため顧客体験の向上に影響する他、購入の機会損失がなくなるため売上向上にも寄与すると考えられる。一方、「在庫回転率」の改善については、売り切るための販促費の削減、物流コストの削減だけではなく、更なるフードロス削減にも繋がっていくとみられる。

 

 

オイシックス・ラ・大地株式会社の概要

 

オイシックス・ラ・大地株式会社は、「Oisix」「らでぃっしゅぼーや」「大地を守る会」等の国内主要ブランドを通じ、安心・安全に配慮した農産物、ミールキットなどの定期宅配サービスを提供している。また、「サステナブルリテール」(持続可能型小売業)としてSDGsに取り組み、サブスクリプションモデルによる受注予測や、ふぞろい品の積極活用、家庭での食品廃棄が削減できるミールキットなどを通じ、畑から食卓まで、サプライチェーン全体でフードロスゼロを目指している。