インアゴーラ株式会社は、中国消費者向け代理購入サービス「日淘市集」をベースに、AIを活用して英語とアラビア語に翻訳したGlobal版代理購入サービス「OneMall」を開発し、2023年10月31日よりアラブ首長国連邦、オマーン、カタール、クウェート、サウジアラビア、バーレーンを対象にEMSの配送手段を活用し、中東向けの展開を本格的に開始する。




中東におけるEC市場の背景

 

JETRO(独立行政法人日本貿易振興機構)ビジネス短信によると、2022年の中東・北アフリカ地域におけるEC市場は370億ドルで、2018年からの年平均成長率は32%、また、2026年には570億ドルまで拡大すると予測されている。中東の湾岸協力会議における6カ国に絞ったECの市場規模の成長は2015年に53億ドルだったのが、2020年には216億ドルと約4倍に拡大し、国別ではサウジアラビアとアラブ首長国連邦の2カ国が7割以上を占めている。中東のEC市場が成長を続ける主な理由としては、高い所得水準と巨大な若年層人口、スマートフォンの普及率が高いことなどが挙げられ、今後もEC市場の成長を後押しすることが期待されている。

また、年齢別の人口構成が特徴的で、中東・北アフリカ地域における2022年時点の14歳未満の子どもの人口は30%を占め、特にサウジアラビアは人口の約7割が35歳以下、国民の約70%がゲーム好きとも言われている。さらに現地ではゲームに加え、日本のアニメや漫画の人気が高く、人気作品を通じて日本文化を体験できるイベントなども多数開催されている状況だ。

そして、中東の人々の日本製品に対するイメージは「高品質、高技術、高い信頼性」であり、日本製品に対する需要は高いと考えられている。円安の好機と日本商品への関心度の高さを背景に、インアゴーラでは、まずは、日本のアニメや漫画などのポップカルチャーをはじめとした日本商品に対する若者のニーズを取り込み、中東での展開を本格的に開始し、今後は、現地のニーズを取り入れながら取扱いカテゴリーを拡大していく予定だ。

 

 

中東進出の背景

 

中東は、アラブ首長国連邦、サウジアラビア、エジプトなど22の国からなる地域であり、いずれもアラビア語を使用しているものの、それぞれの国には独自の言語や文化、習慣がある。そのため、これまでの通常の翻訳では、その国独自の習慣まで加味して翻訳することが困難だったため、国によって理解に偏りが生じていた。そのような状況下で、AI翻訳がそれぞれの国の習慣を理解すると同時に、ローカライズし、現地の人々の言語使用の習慣に近い言語で翻訳できることで、中東での展開が可能となった。また、現地の文化や宗教観などを理解するというAIの利点を活かし、キーワード検索・画像審査・商品審査のフィルタリングを行い、宗教上規制されて現地で販売することができない商品を事前に自動でブロックし、販売可能な商品のみ表示する機能を開発した。

 

 

「OneMall」のサービス概要

 

Global版代理購入サービス「OneMall」とは、インアゴーラが2022年11月から運営している、中国向け代理購入サービス「日淘市集」をベースに、AIを活用して英語とアラビア語に翻訳したサービス。言語の壁、決済の壁、越境物流の壁などを解消すべく、インアゴーラがこれまで越境EC事業で培ってきたノウハウや強みを生かして決済や物流のサポートを行う。このため、海外に居ながら簡単に日本のECサイトで取り扱う商品のショッピングを楽しむことができる。

また、「OneMall」の主な特徴としては、「AI翻訳機能」、「AI検索機能」、「宗教上規制されて現地で販売することができない商品を事前に自動ブロック」、「AI翻訳を介してのサポート」がある。

 

 

Inagora株式会社について

 

インアゴーラ株式会社は、日本の優れた商品やサービスをインターネットを通じて中国向けに展開する越境EC事業、コンテンツ制作、物流、海外マーケティング、など複合的な付帯事業を行っている。また、インアゴーラは、日本企業が海外進出を検討する際に必ず課題となる「情報の越境」「物流の越境」「決済の越境」のすべてを解決する、ワンストップソリューション型のB to B to C越境ECプラットフォーム「豌豆プラットフォーム」を運営。商品の翻訳、物流、決済、マーケティング、顧客対応、他チャンネル展開などの全工程を担うことで、日本企業と中国消費者間の文化的ギャップを吸収し、日本企業の中国進出をサポートしている。一方、日本の企業はインアゴーラの日本国内倉庫に商品を配送するだけで、国内ECショップを1店舗追加するよりも簡単に、巨大な中国市場に進出することができる。

 

インアゴーラは、AI領域における最先端のテクノロジーを積極的に活用し、Eコマースにおける課題解決と効率化、商取引の活性化に取り組んでいくと共に、今後もより多くの日本商品を海外顧客に紹介し、日本商品とライフスタイルを楽しむ場を届けていくとのこと。