世界のオンラインキャンペーンの時期・流通総額まとめ - 618、W11、ブラックフライデー、サイバーマンデーなど

 

オンラインでの購入が浸透する中で、大手ショッピングモールを中心に開催される大規模なショッピングキャンペーンは、消費者の消費トレンドに大きな影響を及ぼし、結果として各モールのキャンペーンは大きな成果を挙げるようになってきている。数年前までは、年末に向けた11・12月に世界各国のオンラインキャンペーンがある程度集中していたが、ここ数年、時期を問わず広がりを見せている。そこで今回は、2022年の日本、海外におけるオンラインのビッグキャンペーンの時期と流通総額をまとめて見ていきたい。

 

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<参考>

2017年版:世界のオンラインキャンペーン

世界のオンラインキャンペーンの時期・流通総額まとめ - W11、ブラックフライデー、サイバーマンデーなど
ここ数年、大手ショッピングモールを中心に開催される大規模なショッピングキャンペーンが大きな成果を挙げるようになってきている。特に11月と12月は世界各国のオンラインで非常に大きなキャンペーンが立て続けに行われている、まさにオンラインの「お祭り」シーズ...

 

 

日本

 

日本では、楽天市場が楽天スーパーセールを行っている。2022年にスーパーセール開催10周年を迎えたが、年々スーパーセールや、その他のイベントの開催頻度は増えており、売上が年間にわたって分散していることが想定される。現在の開催は3・6・9・12月(2022年は3/4~3/11、6/4~6/11、9/4~9/11、12/4~12/11)となっている。また、2018年からは楽天も他のモールに倣ってブラックフライデー」セールを実施している(2022年は11/22〜11/27)。

Yahoo!ショッピングのビッグセールといえば中国に倣った11月11日の「いい買い物の日」だったが、いい買い物の日は2021年からは「超PayPay祭」というセールに移行された。2022年は超PayPay祭を10/17~12/28で行なっている。また、「超PayPayジャンボ」も複数回行っており、2022年は2回(2/1~3/31、10/17~12/28)行っている。

Amazonは、世界中のAmazonと同じく、現在はブラックフライデーセールを11月下旬に行っている(2022年は11/25~12/1)。2020年までは、ブラックフライデー後にサイバーマンデーを行っていたが2021年以降ブラックフライデーに吸収された。また、これまでは他の国とはタイミングが異なり、12月のボーナス時期に合わせて開催されていたが時期も現在では11月に開催することになっている。

国内のこれらのキャンペーンの流通総額はいずれも非公開となっている。

 

 

中国

 

中国のオンラインキャンペーンで最も象徴的な「W11」は、2009年から始まり今年で15年目を迎える。元々は中国のアリババが11月11日の独身の日を祝うイベントで、独身者向けのパーティやイベントの中でプレゼントを贈りあうことに目を向けたアリババがイベントを開催したことが起源とされている。

また、W11より1年遅い2010年からは、それほど日本では聞きなれないが、「618商戦」が始まっている。これは、中国の2大モールとされている京東(JD.com)の設立日である1998年6月18日を祝う商戦として、W11に対抗し始まった。開始当初では6月18日のみのイベントであったが、現在では6月1日から6月18日にわたって行なわれている。

W11も618商戦も中国の2大モールがそれぞれ始めたオンラインキャンペーンだったが、アリババ傘下のTmallやJD.comもお互いのキャンペーンに乗り出すなど、他社が次々と参加することでいつの間にか中国を代表とする商戦となっている。

流通総額で見ると、長らくW11が中国のオンラインキャンペーン全体で見ると最大の規模を誇っているが、2019年にW11にてTmallが2684億元、618商戦にてJD.comが2692億元となり、この年に限り、それぞれのセールの起源となったモールだけで比較すると618商戦がW11を上回った。ただ、基本的にはW11の方が流通総額は高いキャンペーンだ。

2022年から中国では、W11の流通総額を非公開としている。しかし、全体的に2021前レベルの流通総額(Tmallでは5403億元、JD.comでは3491億元)となっている。2022年も開催期間は11/1~11/11。
また、618商戦の流通総額Tmallは非公開、JD.comでは2022年は3797億元となっている。また、中国全域での流通総額は6959億元となっている。2022年も開催期間は6/1~6/18。

 

 

東南アジア

 

東南アジア最大のショッピングモールLazadaでは、大株主のアリババグループの影響で11/11にW11キャンペーンを開催している。また、Amazonの影響からブラックフライデーやサイバーマンデーセールも開催している。さらに、3/27~3/29までの3日間、毎年Lazadaの生誕を祝うLazada birthday Festivalを開催している。

また、シンガポールのAmazonでは他地域のAmazonと同様にブラックフライデーセールやサイバーマンデーセールを行っている。

shopeeでも同様にブラックフライデー、サイバーマンデーを行っている。また、8月末から9月9日にかけて約3週間の間、shopee 9.9 Super Shopping Dayというセールを行っている。このセールは、中国圏で縁起のいいといわれる数字の「9」から生まれた。また、618商戦も開催されている。

これらの流通総額はいずれも非公開となっている。

 

 

インド

 

インドでは毎年、Festival Season Saleを行っている。これは、ヒンドゥー教のイスラム歴の元旦に当たるディワリの前後に行われるセールであり、一年で最大のイベントである。

インド最大のショッピングモールFlipkartではBig Billion Daysが9/20~10/6、SnapdealではUnbox Diwali Saleが9/23~10/6、AmazonではThe Great Indian Festivalが9/23~10/6に行なわれた。

当該キャンペーン期間のオンライン全体の流通総額は、57億ドル、また、モール別での流通総額は、Flipkart全体の62%である35.34億ドル、Amazonが全体の26%である14.82億円となっている。Snapdealの流通総額は不明である。

また、Amazon、Flipkart、Snapdeal、Tata CLIQでは他の国と同様に11月末からブラックフライデーを開催している。ただし、それらの流通総額は不明となっている。

 

 

アメリカ

 

アメリカでは、毎年11月の第4木曜日をサンクスギビングデーという名の祝日としている。元々は収穫を祝う感謝の日であり、家族や友人が集まり、伝統的な料理を楽しむことが特徴である。サンクスギビングデーから一週間をサンクスギビングウィークとし様々なECモールでセールを行っている。

サンクスギビングデーの翌日の金曜日はブラックフライデー、その後の月曜日はサイバーマンデーという名がついており、オンラインセールを実施している。2022年は11/24がサンクスギビングデー、11/25がブラックフライデー、11/28がサイバーマンデーとなっている。

2022年の流通総額で見るとその中でもサイバーマンデーが113億ドルで最大規模。次いでブラックフライデーが91億ドル、サンクスギビングデーが53億ドルとなっており、サンクスギビングウィーク全体では352.7億ドルとなっている。

また、サンクスギビングウィークの5日間におけるモール別売上高ではAmazonが全体の17.7%である62.4億ドルWalmartでは14%である49.4億ドルTargetでは2.5%である12億ドルとなっている。また、Best Buyでは流通総額は不明だが、同時期にブラックフライデー、サイバーマンデーセールを行っている。

 

 

欧州

 

欧州でもAmazonの影響力が大きいため、アメリカと同じくブラックフライデー、サイバーマンデーのオンラインキャンペーンが一番の認知度を誇っている。また、AmazonだけでなくZalandoなどの大手ショッピングモールでも同時期に同名のキャンペーンを開催している。
また、Amazonではドイツフランスイギリスなど様々な国がブラックフライデーを開催している。
ただし、それぞれの流通総額は不明となっている。

 

 

世界のオンラインビッグキャンペーンの時期・流通総額まとめ

 

ここで紹介した、世界各国のオンラインのビッグキャンペーンを開催時期順に、その流通総額とともに並べた。2022年の平均為替レートをUSドル130.43円、中国元19.18円、(三菱UFJリサーチ&コンサルティング調べ)として計算している。

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ここ数年で、各モールのキャンペーン時の流通総額が非公開になるケースが増えてきており、2022年のキャンペーンでは、全体のごく一部しか流通総額が判明しなかった。特に2022年から中国のW11の流通総額は公式には非公開となっており、これまでは大々的に流通額を宣伝していたキャンペーンだっただけに、違和感が残る。

各国のモールでのキャンペーンのタイミングは、一年間にわたり散らばってはきているが、やはり中国のW11と618商戦、そして米国を中心としたサンクスギビングウィークの流通総額の3つのキャンペーンが圧倒的に大きな流通を生み出していることには変わりがない。

日本では、中国のW11や618商戦、アメリカのサンクスギビングウィーク、インドのFestival Seasonなどそれぞれの国単位で根付いている特徴的なオンラインイベントはいまだに存在せず、意図的に年間を通してキャンペーンをばらけさせている傾向がある。

このような違いは、その国の国民性等も考慮した上で、各モールが判断しているものではあるが、日本にも他の国のような世界に誇る巨大キャンペーンが誕生しても面白いのではないだろうか。

 

 

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