顧客のロイヤリティの源を発見し、それを獲得する方法を学ぼう。

 

近年、顧客関係に対する私たちの理解は著しい変貌を遂げている。新型コロナウイルス感染症(Covid-19)の大流行がもたらした永続的な影響と、差し迫った景気後退の脅威に直面し、私たちは今、ブランド・ロイヤリティの概念を見直し、それを達成するための新たな道を模索している。業界の状況を評価するには、市場で最も重要なロイヤリティソフトウェアベンダーの概要である「The Forrester Wave: Loyalty Technology Solutions2023年第1四半期レポート」などを利用することができる。米国の調査会社Forresterによる本調査の主な目的は、バイヤーがテクノロジー購入について十分な情報を得た上で意思決定できるよう支援することだが、同時に、現在のロイヤリティの状況についても貴重な視点を提供している。これについて、さらに探求する準備はできているだろうか?

 

危機の時代におけるロイヤリティの重要性

経済の安定は顧客の行動に大きく影響するが、この数年は彼らにとっては簡単なものではなかった。パンデミックと高騰するインフレのせいで、人々はますます消費習慣に慎重になっている。Forresterの「2022年7月の消費者エネルギー指数および小売業の動向調査」によると、米国(64%)、英国(59%)、フランス(55%)のオンライン成人の大多数が不況の可能性に不安を感じており、節約のための新しい方法を探している。

 

したがって、割引の重要性が増している。プロモーションは新規顧客の獲得には常に効率的であったが、今、新規顧客の獲得にはより重要性が増しており、それは考え抜かれ、スマートに配分される必要がある。

 

それは何を意味するのか?

 

まず、企業は実際に「それに値する」顧客、たとえば、自社のブランドに忠実であり続け、長期的に購入してくれる顧客、つまり投資対象である顧客に割引を与えることに重点を置くべきだ。さらに、それぞれの顧客のプロフィールに合った割引を適切に提供する必要がある。顧客一人一人のレベルでのデータ分析にAIを活用し、レコメンデーション・エンジンを使って、ニーズや価格感度、企業にとっての価値に基づいた個別の割引プロモーションを構築しよう。こうすることで、いわゆる「サクラ」を排除し、忠実な顧客に投資することができる。同時に、販促予算を最もROIの高い顧客に効果的に配分することで、ブランドのマージンと利益を守ることができる。

 

Cookieを使用しないマーケティング

金融危機は、マーケティングの世界が直面しなければならない多くの課題の1つだ。Cookieのない未来が近づきつつある中(Googleは2024年末までにChromeでのサードパーティCookieの使用を停止する予定)、マーケティング担当者は今、顧客データを収集する最も効率的な方法を考え出そうとしている。デジタル・マーケティングが、顧客を特定し、パーソナライズされたオファーを提供するために、Cookieのトラッキングから得られる情報にどれほど依存しているかを考えると、この新たな現実は、広告主に深刻な脅威をもたらすかもしれない。

どう対処すればいいのか?

繰り返しになるが、その答えは顧客ロイヤリティにある。強い顧客関係の構築は、人々が自分自身についての情報を共有するのに必要な信頼を生み出す。そして、92%もの顧客が、ロイヤリティ・ポイントと個人データを交換すると回答しているため、魅力的なロイヤリティ・プログラムを作成することが、最も信頼できる第三者データを得るための鍵であり、このデータは後にマーケティング活動を最適化するために使用することができる。

 

さらにマーケティング担当者は、獲得した顧客情報を効率的に分析する最先端のAIツールに頼ることができるようになった。これらの高度なソリューションは、データ管理を合理化し、予測機能を提供することで、マーケティング活動を新たな高みへと押し上げる。これらのツールを活用することで、企業は蓄積された豊富な知識を活用し、ほぼ無限のリソースにアクセスすることができる。データが軽視される時代は終わり、私たちは今、情報を分析し、パーソナライズされたコンテンツを同時に効果的に生成する手段を持っているのだ。

 

しかし、そもそもこのような情報を集めるには、信頼とロイヤリティが不可欠だ。

 

ロイヤリティはメタバースに加わるだろうか?

メタバースの現実は、顧客ロイヤリティを取り巻くあらゆる課題やトレンドの中で、いまだかつてないほど大きなものかもしれない。2021年にMark Zuckerberg氏がFacebookをMetaと改名したときから、世界を席巻した漠然としたコンセプトが私たちの知っているウェブベースの活動すべてに革命を起こそうとしている。

しかし、メタバースとは実際には何を意味するのだろうか?まあ、その答えは、それは誰に尋ねるかによる。

 

メタバースの定義は、ビデオゲームの設定からバーチャルな職場までさまざまだが、いずれもVR(仮想現実)、AR(拡張現実)、PC、ゲーム機、あるいはスマートフォンを介してアクセスできる、現実の代替としてのデジタル体験を提供するオンライン環境を指している。

 

私たちが現実の世界で見ているものとパラレルなこのバーチャル・リアリティの可能性は実に広大であり、主要なプレーヤーがすでにこのチャンスに飛びついているのも不思議ではない。Zuckerberg氏のMetaから、MicrosoftApple、そしてFortniteRobloxに至るまで、メタバースは数多く存在している。目的、機能範囲、必要な技術、価値観によって異なるこれらのプラットフォームは、市場で覇権を争っている。しかし、それを達成するためには、長期にわたってユーザーを惹きつけなければならない。

 

そして、それはロイヤリテイなしには実現しない。

 

ロイヤリティは、信頼関係を構築し、会員に必要なメタバース・データを共有させる価値を生み出すために極めて重要であり、その重要性は計り知れない。顧客から直接得られる情報は、主流のメタバースコマースの主要なカレンシーになると考えられている。なぜか?ゼロパーティーのデータは、ユーザーの要望、ニーズ、興味、嗜好に合わせたスペースをデザインし、最終的にその成否を決定するために不可欠だからだ。

 

しかし、ロイヤリティとメタバースの関係は双方向のものだ。ロイヤリティがメタバースに利益をもたらすのと同様に、メタバースもまたロイヤリティを助けることができる。デジタル所有権、ブロックチェーン、NFT(非代替性トークン)の台頭により、ロイヤリティ・プログラムはすでにメタバースの可能性を引き出している。例えば、BalenciagaAdidasといったブランドは、若い世代の消費者の間で人気が高まっているデジタル製品に投資している。Obsess(3Dバーチャル・ストア・プラットフォームを提供する米国企業)の調査「Metaverse Mindset:Consumer Shopping Insights(メタバース・マインドセット:消費者の購買に関するインサイト)」では、Z世代の買い物客の75%近くがビデオゲーム内でデジタルアイテムを購入したことがわかった。また、60%ものブランドがメタバース・プラットフォームで製品を販売するべきだと考えている。

 

同調査によると、ほとんどの回答者はバーチャルショッピング体験が非常に魅力的で、パーソナライズされ、没入感のあるものだと認識しており、これらすべての要素が顧客ロイヤリティの向上に貢献していることがわかった。そして、eコマースにおけるメタバースの価値は高まっているため、マーケティング担当者は、この新しい現実がもたらす選択肢を探るために、戦略を適応させる必要がある。そうでなければ、顧客エンゲージメントを新たなレベルに引き上げる魅力的な体験を生み出す無数の機会を逃してしまうかもしれない。

 

ロイヤリティの新しい未来

顧客ロイヤリティはさまざまな方向に成長する可能性があり、それを予測するのは難しいかもしれない。AIとメタバースは、マーケティングの未来を形作る上で重要な役割を果たすと考えて間違いないだろう。それでも、これらの分野の開発が加速していることを考えると、その影響を完全に見極めるのは難しい。

 

この問題にはまだ多くの不確定要素があるが、唯一はっきりしているのは、ブランドは新しいソリューションに常にオープンでなければならず、その後のプロモーション活動にそれを積極的に取り入れなければならないということだ。「The Forrester Wave:Loyalty Technology Solutions 2023年第1四半期レポート」では、こうしたダイナミックな変化に対応できる最良のチャンスを持っているのはどの企業であるかが示されている。市場で最も重要なロイヤリティベンダーの上位5社のうちの1社として認められたComarch(ポーランドのソフトウェアハウス・システムインテグレーター)は、新しい現実に適切に対応し、現代のロイヤリティの課題に適したツールを提供する企業の1社であることを誇りに思う。

 

※当記事は米国メディア「MarTech」の6/22公開の記事を翻訳・補足したものです。