中国のeコマース大手Alibabaが海外進出への大きな一歩を踏み出した。欧州で同社のECプラットフォームのTmallを展開するため、まずはスペインでサービスを開始する。これについて、Alibabaの社長であるMichael Evans氏が、フランスのパリで開催されたViva Techカンファレンスで語った。

 

スペインでの試験的事業計画

Tmallは、中国の大規模な消費者層に国際的なブランドをアピールする取引プラットフォームとして発展してきた。2017年にロシアへ進出し、現在はさらに西欧諸国へと注力している。

 

Tmallは西欧諸国に照準を合わせている。

 

Evans氏は、現在スペインでTmallの試験的事業計画を実施中であり、「欧州各国へ拡大予定」であることをパリで明らかにした。スペインでは、Alibabaが欧州を席巻するためのもう一つのプラットフォームであるMiraviaテストも行われている。

 

ローカルの買い物客のためのローカルのブランド

Evans氏はAlibabaグループの国際化戦略を主導している。同氏は6月15日のViva Techカンファレンスで、「中国の」Tmallが、「欧州の」Tmallになるだろう、と述べた。さらに次のように語った。

 

「我々は、ローカルな市場で、ローカルなブランドとローカルな消費者にサービスを提供する」

 

大幅な転換

米国のニュース専門放送局のCNBCによると、今回の発表はAlibabaの国際的EC戦略の大幅な転換を意味するという。Alibabaはこれまで、欧州の買い物客をターゲットにしたプラットフォームAliExpressで、中国の工場で生産された魅力的な価格の商品の販売に注力していた。同プラットフォームは配送に時間がかかることが多く、欧州の政策当局が財政措置を講じる一方で、消費者は商品の原産地を重視するようになった。結果として、Alibabaの欧州大陸での収益が減少した。

 

Evans氏は、欧州でのTmallはローカルな買い物客にローカルなブランドを販売することに専念する予定であることを示唆した。Tmallが、AliExpressと統合するかはいまだ不明である。

 

「欧州は最優先事項」

2023年3月末、Alibabaは事業を6つのグループに分割する計画を発表した。これは、各グループにさらなる自立性と迅速な意思決定権を与えることを目的としている。Tmallは、国内外両方に焦点を当てている「Taobao Tmallコマース事業グループ」の傘下に入る。「欧州は、国際的な要素を持つすべてのビジネスにとって最優先事項である」とEvans氏は語った。

 

※当記事は欧州メディア「Ecommerce News」の6/19公開の記事を翻訳・補足したものです。