eコマース大手のAmazonは、12か所の倉庫にAI(人工知能)を導入している。この技術は、出荷前に商品に損傷がないかをスクリーニングするもの。これにより、発送される破損品の量を減らし、ピッキングと梱包が迅速化される。

現在、オンラインマーケットプレイスの倉庫作業員は、オーダーピッキングの過程で商品に摩耗や損傷がないかをチェックする責任を負っている。「大半のアイテムが良好な状態にあることを考慮すると、損傷の確認には時間がかかる場合がある」と、Amazonのロボティクス応用科学ディレクターであるJeremy Wyatt氏は述べている。「明らかに希少なものを探しているため、認知能力が必要であり、それは倉庫作業員の本来の仕事とはいえない」。


「破損商品は1,000件に1件未満」

Amazonによれば、取り扱っている商品のうち、破損しているものは1,000件に1件にも満たないという。ただし、年間約80億個の荷物を扱っているため、総数としてはかなりの数である。同社は近年、倉庫の自動化を進めている。従業員の確保に苦戦しており、最近では米国の倉庫にロボットを導入した。


Amazonは米国と欧州の12拠点でこのシステムを展開している。

これまでAmazonは、2か所のフルフィルメントセンターに新しいAIを導入してきた。現在は、北米と欧州の他の10拠点で同システムを展開している。同社によれば、AIは倉庫作業員に比べて損傷を特定する能力が3倍高いという。


ピッキング工程で商品をチェックする

AIは、損傷していない商品と損傷した商品の写真を比較してトレーニングされている。そうした方法によって商品の違いを学習し、商品の見た目が完璧ではない場合にフラグを立てられるようにしている。商品はピッキングと梱包の過程でチェックされる。

 

破損している場合、その商品は作業員に移され、検査される。

 

商品は注文ごとにピッキングされ、箱に入れられる。それらは画像ステーションを通過し、正しい商品が選択されているかチェックされる。次に、その画像ステーションで損傷がないかどうかもチェックされる。損傷している商品があれば、その箱は作業員の元に移動される。

 

※当記事は欧州メディア「Ecommerce News Europe」の6/5公開の記事を翻訳・補足したものです。