IAB(ネット広告業界団体)によれば、2022年のデジタル広告収入における伸びは10.8%で、空前の成長率を記録した前年の35%からの低下となった。


PwC(総合コンサルティングサービスを提供)が実施したInternet Advertising Bureau(IAB)の年次報告書によると、昨年のデジタル広告収入の伸びは10.8%に鈍化し、総額2,097億ドルが費やされたことが明らかとなった。これは、2021年の35%という記録的な伸びからは大幅に落ち込んだものの、依然として健全な伸びを維持している。残念ながら、同報告書では2023年はさらに悪い数字が予想されている。 


気にかける理由

10.8%の収益増加が大幅な減速であれば、かなり良い状態にあることがわかる。2021年の35%という数字は、昨年のインフレ、金利の上昇、地政学的な脅威、そして景気後退が間近に迫っているといわれた4四半期がなかったとしても、再現することは厳しかっただろう。これらの阻害要因がある中で11%近い成長率を維持したのだ。 これは、2021年の派手な数字よりも大きな成果かもしれない。

IABのCEOであるDavid Cohens氏は、2023年の数字はさらに低くなると予想している。「先を見据えると、まだ成長が見込めることは間違いないが、達成は難しく、おそらく私たちが慣れ親しんできたものよりも少なくなるだろう」と同氏は声明で述べた。

Cohens氏がそう語るのには十分な理由がある。個人消費は住宅販売と同様、減速し続けている。インフレは続いているが、それは珍しいタイプで、非常に多くのドルがあまりにも少ない商品を追いかけるのではなく、企業の利食いによって引き起こされている

しかし、何かがそれをひっくり返すかもしれない。人工知能(AI)だ。AIは、電話とインターネットという2つの革新的技術のように、経済成長を促進するだろうか?


悩ましい傾向

好調な成長率は、インターネット広告収益が21.1%と11.8%増加した驚異的な第1四半期と第2四半期が、8.4%と4.4%に鈍化した第3四半期と第4四半期を引き上げた結果である。


検索が道を切り開く

広告収入における割合が最も大きいオーガニック検索は、昨年7.8%増加し、過去最高の844億ドルに達した。ただし、収益に占める総シェアは、2021年の41.4%から40.2%に低下した。


ディスプレイ広告が成長をみせる

2番目に大きな割合を占めるフォーマットであるディスプレイ広告では、収益(12%増の635億ドル)と総シェア(30%から30.3%へ)がともに増加した。


オーディオが混在している

デジタルオーディオは、20.9%増の59億ドルで、どのフォーマットよりも最大の増加率を記録。しかし、デジタル広告収入全体に占める割合はほぼ横ばいで、2021年の2.6%から昨年は2.8%に微増した。


ビデオは明確な利益を上げている

デジタルビデオは19.3%増で、2番目に高い割合で増加した。さらに重要なのは、76億ドル増の471億ドルという、あらゆるフォーマットの中で最大の増額となったことだ。また、全デジタル広告収入に占めるビデオの割合は、20.9%から22.5%に上昇した。

好調なプログラミング

プログラマティック広告の収益は、104億ドル(10.5%)増加し、合計1,094億ドルに達した。

ソーシャルメディアは微減

ソーシャルメディアの成長は2022年に好調なスタートを切り、広告収入は上半期に18億ドル増加したが、下半期には3億ドルにまで激減した。


モバイルは活発な成長をみせている

モバイルは14.1%増で過去最高の1,541億ドルに達し、デジタル広告収益全体の73.5%を占めた。 


※当記事は米国メディア「MarTech」の4/14公開の記事を翻訳・補足したものです。