マーケティング会社Warcによると、2020年に初めて、インターネット広告が全世界のメディア出稿費総額の半分以上を占めると予測されている。そして、その成長の大部分の原動力となるのは、モバイルである。

 

今年、インターネット広告フォーマットのシェアは順調に拡大し、全世界のメディア支出の47.7%(2,981億ドル)を占めるだろう。つまり、現状通りの成長を続ければ、2020年にはインターネット広告は総メディア支出の50%を超えるということだ。

 

2018年の時点で、すでにインターネット広告フォーマットは世界8つの市場でメディアの大部分を占めている。スウェーデン(61.5%)、イギリス(61.1%)、中国(59.4%)、デンマーク(57%)、ノルウェー(54%)、ロシア(52.8%)、オーストラリア(51.3%)、米国(51.4%)の8カ国である。

 

そして今年、Warcの12の主要市場(オーストラリア、ブラジル、カナダ、中国、フランス、ドイツ、インド、イタリア、日本、ロシア、イギリス、アメリカ)において、インターネット広告がメディア支出の52.7%を占め、初めて50%を超えると予測されているのだ。

 

Warc Dataの編集長であるJames McDonald氏は、次のように述べている。「20世紀初頭のドットコム・バブル崩壊時には、インターネット広告は、1ドルの広告出稿費に対して、たった3セントだった。しかしその20年後、インターネット広告が、最大のシェアを占めることになる。インターネット広告の最初の成長の波は、デスクトップコンピュータ上のバナー広告と検索キーワードによるものであったが、第2フェーズは、モバイルデバイスで配信されるソーシャルメディア広告によるものである」。

 

「現在の成長は、日々のブラウジング、買い物、ストリーミング、そしてソーシャルメディアでの交流の過程で収集された消費者データに基づくプログマティック広告取引の急増によって支えられている。人々は、幅広い種類のインターネット接続デバイスを使用し、より長い時間をインターネットに費やすようになっているため、消費者データは、将来の広告の成長にとって極めて重要となるだろう」。

 

インターネット広告の成長が言及される場合、大抵は、単にモバイルでの成長を指している。2019年には、モバイル広告がインターネット広告成長の94.6%、インターネット広告出稿費の58.8%を占めるだろう。

 

広告フォーマットでは、バナー広告やリッチメディア、PR記事とスポンサード記事、オンラインビデオ、ソーシャルメディアなどのオンライン・ディスプレイ・フォーマットがインターネット広告出稿費の45.1%を占めるだろう。

 

今年のソーシャルのオンライン・ディスプレイ広告のシェアは、米国、中国、イギリスで52.4%に達すると予測されている。そして、Facebookがそのソーシャル支出の84.8%を占めるだろう。2018年には、米国、中国、イギリス市場において、オンライン・ディスプレイ広告の総支出の47.7%を占める総額388億ドルが、ソーシャルメディア広告に対して費やされている。

 

オンライン動画広告は、オンライン・ディスプレイ広告出稿費3ドルのうち、1ドルを占めると予測される。

 

業界関係者の見解

広告テクノロジー会社Inskin Media CEO Hugo Drayton

「予想通りではあるが、とりわけモバイルにおけるビデオ広告、ソーシャルメディアの成長は、WARCレポートの中でも顕著である。特に、米国のソーシャルメディア広告において83%に達するFacebookのシェアは、恐るべき統計結果である」。

 

「特に、我々のブランド広告に従事しているチームにとっては、デジタル・ディスプレイ広告が、広告支出の中で確固たる地位を占めていることがデータにより裏付けられたことは心強い。デジタル・ディスプレイ広告は、現在最も効果的というだけではなく、近年継続的な成長を遂げている分野だ。繰り返しになるが、今回の調査結果は驚くべきものではない。引き続き、ロボットになどによる非人的トラフィック、RTB(オンライン広告のリアルタイム入札)インベントリなどの課題を伴いながらも、メディア媒体は成熟しつつあり、デジタル広告はブランドメッセージングに対する有効性を向上させている」。

 

「経済的、社会的、政治的な不確実性が拡大する状況において、堅実で効果的なデジタル広告環境の確立は、我々広告業界にとって前向きなシグナルである」。

 

 

広告プラットフォームGumGum コマーシャルディレクター Peter Wallace

「何度も述べているが、デジタル世界の広がりによって、インパクトがあり、クリエイティブ、かつ関連性が高いブランドメッセージの配信が可能になったとは明らかである。それゆえ、インターネット広告分野への支出が、全世界規模で広告予算の大半を占めるようになることは、当然である」。

 

「モバイル主流への変化とビデオへの投資の増加は、過去何年にもわたって目にしてきた消費者動向の変化を反映している。消費者は、外出先で素早くコンテンツを見たいときに、ビジュアルを中心としたツールやプラットフォームを利用したいと考えている」。

 

「しかし、それにより、ブランドの安全性と広告詐欺に関するさらなる課題が発生するだろう。なぜなら、現在ほとんどの広告主は、それらの問題に単語ベースのツールを使用して対応しているからである。今後は、広告主が、視覚的かつ意味論的なオンライン上のすべての脅威から、自社をいかに守るかを考え始めることが不可欠である」。

 

※当記事は英国メディア「Mobile Marketing Magazine」の5/28公開の記事を翻訳・補足したものです。