データに基づくインサイト、クリエイターマーケティング、ブランドアドボケイトの育成に注力し、ブランドを長期的に成功に導こう。

 

2023年を迎え、今年一年のデジタルマーケティングの優先順位を考える時期に来ている。世界中のテクノロジー・ブランドが、急速に変化する環境の中で競争力を維持しようと努力する中で、きっと革新と創造性に満ちた一年になることだろう。

 

今日、購買者にアプローチすることは困難だ。多くのプラットフォームやアプリがあるため、オーディエンスがオンラインでどこに時間を費やしているかを理解するのに時間がかかる場合がある。さらに、顧客の注目度はかつてないほど低下しているため、キャンペーンのメッセージはできるだけ簡潔で、適切なものでなければならない。

 

これらの課題に対処するため、今年のデジタル戦略を成功させるためには、以下の3つの重要な要素を最重要視する必要がある。

・データを活用した戦略

・クリエイターをプログラムに組み込む

・ブランドアドボカシープログラムの運用

 

それでは、2023年にあなたのブランドが成功を収めるために、これらが何を意味するのか、さらに深く掘り下げてみよう。

 

1. データに基づくインサイト

データとインサイトは同じ意味で使われることが多いが、この2つには重要な違いがある。

データとは、測定可能な生の事実情報だ。これは、ある事象を反映したものだ。例えば、Google Analyticsのダッシュボードにあるデータは、有料広告を掲載したことで、ランディングページに15,000回のクリックがあったことを示すかもしれない。

 

一方、インサイトは、データから実用的な結論を導き出すものだ。これは、何かが「そうである」理由を説明し、将来の事象を最適化するためのアドバイスを提供してくれる。例えば、上記のデータポイントからのインサイトは、コピーの変更が広告に加えられた後、ランディングページへのクリック数が15,000回あったことを示すかもしれない。

 

データとインサイトは、デジタル戦略を次の段階に進めようとする企業にとって不可欠なものだ。そのため、企業はデジタル、ソーシャルメディア、オーディエンス分析など、あらゆるソースからデータを収集し、分析する必要がある。これらのデータポイントは、バイヤーズジャーニーを理解し、期待される結果を生み出す可能性がより高いターゲットキャンペーンを作成するためのより詳細なコンテクストを提供する。

 

デジタルアナリティクスは、市場でのキャンペーンに基づくパフォーマンスベースの指標を提供する。これを使うことで、デジタルメディア、検索、その他のペイドメディアの活性化におけるキャンペーンのパフォーマンスをリアルタイムで把握することができる。例えば、クリック数やコンバージョン数が減少傾向にあるとしよう。データを詳しく見ることで、問題を素早く特定して対処し、それに応じてキャンペーンを調整することが可能になる。

 

ウェブサイト解析も同様の機能を有するが、これはユーザーが企業のウェブサイトをどのように見つけ、どのように交流し、どのように行動を起こしたかについてのインサイトを提供する。ウェブサイトのトラフィックが減少していたり、直帰率が高い場合には、データを深く掘り下げることでその理由がわかるはずだ。ロード時間が原因であるかもしれないし、ウェブコピーが分かりにくいのかもしれない。いずれにせよ、このデータを使ってユーザーエクスペリエンスを向上させることができる。

 

有料コンテンツとオーガニックコンテンツのソーシャルメディア指標は、パフォーマンスを測定する際に同様に重要だ。「いいね」、シェア、コメント、リーチ、売上、リードなどの主要業績評価指標(KPI)をすべてのプラットフォームで追跡し、どのタイプのコンテンツがオーディエンスに最も響くかを把握するのだ。これらのインサイトは、今後のキャンペーンに反映させることができる。過去に成功したコンテンツに基づいて、各プラットフォームに特化したコンテンツを作成することができる。

 

オーディエンス分析は、パフォーマンスベースというよりリサーチベースで、キャンペーンを開始する前に行われるものだ。まず、既存顧客、見込み客、または希望するオーディエンスのオーディエンスを構築することから始める。そして、そのデータから、トップメディアの親和性、ソーシャルチャネルの嗜好、態度や行動、会話の傾向など、実用的なインサイトを得ることができる。このインサイトは、バイヤーズジャーニー全体を通して、メディア購入やキャンペーンメッセージに反映させることができる。

 

これにより、広報、ソーシャルメディア、メールキャンペーン、イベント、デジタルメディアにまたがる統合的なクロスチャネルキャンペーンを展開し、一貫したバイヤーエクスペリエンスを確保することができる。

 

複数のソースからデータを収集し、それを実用化することで、デジタル戦略について情報に基づいた意思決定を行うことができ、直感だけに頼っている競合他社に対して優位に立つことができるのだ。

 

Audiense(本社:英国)やInfegy(本社:米国)などのテクノロジー企業は、こうしたインサイトを提供するためのソリューションと機能を提供している。

 

2. B2Bクリエイターマーケティング

クリエーターエコノミー(インターネット上で個人のクリエイターが商品やサービスを提供し、収益を上げるデジタル市場)は現在、あらゆる業界の一部となり、デジタルキャンペーンに対するブランドの考え方を変えつつある。B2Bやテクノロジーブランドでさえ、インフルエンサーとのパートナーシップを優先している。その結果、クリエイターエコノミーは成長を続け、今後10年間で472億ドルに達すると予想されている。

 

B2Bクリエイターとのコラボレーションにより、新しいオーディエンスに効果的にリーチし、既存のオーディエンスとの関係を構築することができる。インフルエンサーと協力することで、企業は自社のネットワークを活用し、これまでブランドのメッセージに触れたことのない幅広いオーディエンスにアクセスできるようになる。

さらに、クリエイターとコラボレーションすることで、より真正性の高いコンテンツ制作やソートリーダーシップ(企業が特定の分野における主導者となること)が可能となり、真正性を求めるバイヤーの心に響くことができる。

 

新しいAI製品を立ち上げるエンタープライズテクノロジー企業は、インフルエンサーと提携し、ビデオシリーズやホワイトペーパーを共同で作成したいと考えるかもしれない。インフルエンサーは、そのAI製品がクラス最高の製品である理由についてのインサイトを提供することで、キャンペーンに信頼性を与えることができる。一方、企業はインフルエンサーのネットワークを活用しながら、従来の広告手法では効果的に行えない、バイヤーに直接語りかけるコンテンツを共同制作することができる。

 

クリエイターとの協業によるもうひとつのメリットは、既存のオーディエンスや潜在的な購買層からのエンゲージメントが高まることだ。彼らは、第三者が製品やサービスを支持しているのを見ると、行動する可能性が高くなる。これは、顧客とブランドとの間に強い結びつきを生み出し、長期的なビジネスの成長を促進する。

 

インフルエンサーマーケティングプラットフォームを提供するTagger(本社:米国)やOnalytica(本社:英国)などのテクノロジー企業は、マーケターがクリエイターやインフルエンサーを特定し、エンゲージし、管理することを支援することができる。

 

3. ブランドアドボカシーの運用

ウェブの黎明期には、ブランドアドボカシー(自社のブランドや商品を熱狂的に支持して使ってくれるファンやファン心理)は、マーケティングコミュニティの間で重要な話題となった。ブランドは、テクノロジーを使って顧客の声に耳を傾け、ソーシャルメディア・チャンネルで直接顧客と関わっていた。同様に、コミュニティ・マネージャは、顧客とのやり取りの最前線に立ち、コンテンツを作成し、コミュニティのためにアドボカシーを行っていた。

 

その情熱は年々枯渇し、オンライン上でオーディエンスにリーチするインフルエンサーマーケティングのような代替手段に取って代わられた。これは、ソーシャルがコミュニティというより、メディアチャネルであることが一因である。

 

インフルエンサーマーケティングは依然として優先される必要があるが、すべてのビジネスにとって貴重な資産であるブランドアドボカシーを犠牲にしてはならない。

 

ブランドアドボカシーは、貴社がそれを認識しているかどうかにかかわらず発生するものだ。顧客は、頼まれなくても、貴社や、貴社のソフトウェア、サービス、経営陣について肯定的なコメントをすることがある。彼らは、貴社の製品に価値を見出すと、恥ずかしがらずに自分の経験を共有するようになる。また、貴社の製品やサービスに対する彼らのフィードバックは、貴社の革新や改善にも役立つ。

 

ブランドアドボケイト(支持者)は、既存の顧客がすでに製品を直接体験しており、他の人にも体験してほしいと思っているため、最小限の労力で新しいオーディエンスにアプローチすることができる。

 

さらに、満足した顧客が貴社の技術について肯定的に話すことで、潜在的な購買者の信頼が生まれる。これまで貴社のことを知らなかった顧客も、他のユーザーからの肯定的なレビューによって、自信を持って貴社の技術を試したいと思うようになるからだ。

 

最後に、ブランドアドボカシーは、貴社のテクノロジーがどのようにビジネスの問題解決に役立っているかという貴重なインサイトを提供し、それをコミュニティで共有することで、売上を伸ばすことができる。

 

Influitive(本社:カナダ)やBirdeye(本社:米国)などのテクノロジー・プラットフォームは、ブランドアドボカシープログラムの運用を支援するツールとソリューションをマーケティング担当者に提供している。

 

2023年以降、デジタルマーケティングの先にあるもの

デジタルマーケティングの未来は、引き続き「よりスマートな」パーソナライゼーションに焦点が当てられるだろう。消費者は、ブランドが自分のニーズ、好み、興味を尋ねる前から知っていることを期待している。その結果、企業はAI、機械学習、予測分析を活用し、バイヤーズジャーニー全体でパーソナライズされた体験を提供する必要がある。

 

InstagramTikTokなどのソーシャルメディアプラットフォームは、若い世代が労働力になり、昇進し、購入の意思決定を行うため、B2Bやテクノロジー企業にとって今後も成長を続けるだろう。

 

今後の展望として、デジタルマーケティングが成功するビジネス戦略の重要な一部であり続けることは明らかだ。データに基づくインサイト、クリエイターマーケティング、そしてブランドアドボケイトの育成に注力することで、企業は長期的な成功に向けて万全の体制を整えることができるのだ。

 

 

※当記事は米国メディア「Martech」の1/26公開の記事を翻訳・補足したものです。