クラウド型在庫管理システムのリーディングカンパニーであるロジザード株式会社は、2022年にロジザードが開催したセミナーの申し込み者、参加者にアンケート調査を実施し、2022年8月9日に『物流ロボット・物流DXに関するアンケート調査』を公開した。

 

 

 物流ロボットを導入する場合、時期はいつにするか

 


対象者515名に「物流ロボットを導入する場合、いつ頃を目指しますか。」という質問をしたところ、42.9%が「わからない」と回答、続いて「3年以内」が21.7%、「物流事業がないため、導入することがない」が16.7%、「年内」が5.8%、「5年以内」が3.5%、「10年以内」が1.0%、という結果だった。また、40%超が「わからない」を選択しており、導入する場合でも「年内」を選択する人が少ないため、導入することを決めかねている人が多いことが分かる。

 

一方で、導入を前向きに検討している人は、「3年以内」が一番多い結果となっており、導入の現実感が増している。そして、この「3年以内」と答えた人は、具体的にミッションがあり、1~2年程度で情報収集や物流ロボットの導入倉庫への倉庫見学などを通し、ロボットの選定に入るのではないだろうか。

 

 

物流ロボットについて気になる情報

 

対象者515名に「物流ロボットについて気になっている情報は何ですか。」という質問をしたところ、全体の60.1%が「種類・機能」、56.3%が「費用」を選択している。この2つは情報収集段階の方が多く選択する項目で、物流ロボットについて不明なことが多く、問い合わせまでは至っていない、導入について不安がある状態だと考えられる。一方、「導入前の障壁」、「導入時の環境整備」、「導入時、導入後のサポート体制」は導入を具体的に検討した人が気になる情報といえるだろう。

 

また、費用への関心が強いという結果について、不明点が多い中でROIへのコミットに自信が持てない、ということではないだろうか。現在の物流現場で、すでに人海戦術でなんとか回ってしまっているため、いきなり「物流ロボットの導入」となると飛躍してしまい躊躇してしまうのかもしれない。
将来、物流は人手不足に加え、コストアップが重なり、こ物流ロボットがウォンツへ変化し、「投資」でなく「利用」というモデルが一般化すれば広まると考える。

 

 

 物流ロボットのコストに対する意識

 

対象者に、「物流ロボットのコストに対する意識を教えてください。」という質問をしたところ、「中長期でコストをどのように考えればいいのかがわかれば、導入を検討する企業が増えると思う」が69.0%、「短期的なコストに目を奪われてはいけないと思う」が13.8%、続いて10.9%が「やはりコストが気になって導入に踏み切れないと思う」を選択していた。

 

上記の結果から、約7割の方が、会社や上長を納得させるコストシミュレーションがあれば検討に値することがわかる。しかし、ノンアセット型の3PL事業者にとって、「中長期」のコストへの考え方は検討に詰まるかもしれない。ノンアセット型は輸送手段や倉庫などの資産を保有せずに業務を遂行するため、現在の倉庫を長期的に借りる予定であるか、借りているものは返す必要があり、その際に原状回復工事が必要となるとまたハードルが上がってしまう。運送会社であれば車両のリースや、アセットに投資しないと始まらない仕事のため、物流ロボットについても理解し易いのではないか。

 

 

物流ロボットは人間の仕事を奪うのではないのか

 

対象者206名の回答によると、「『物流ロボットは人間の仕事を奪うのではないのか』という懸念がありますか。」という質問に対し、42.7%が「奪う可能性はあるが、失業の上昇にはつながらない」、31.6%が「そうは思わない」、22.8%が「そう思う」を選択していた。

 

物流ロボットの導入について、会社全体で理解を導くとすると、「仕事を奪われるかも」という意識になり、反対意見が発生する。そこで、社内で物流ロボットを導入する目的、「働く皆さんの負荷を減らし、適材適所を叶えるための物流ロボット導入であること」をしっかりと話し、理解してもらうことが重要だ。

 

 

自社の物流DXに関する課題感

 

 

物流ロボットの導入を推進する企業によっては、物流DXの実現を最終的な目的にしていることもある。そこで、対象者171名に「自社の物流DXに関する課題感を説明できますか。」という質問をしたところ、46.8%が「課題感がわからない・整理できていない」、30.4%が「説明できる」、22.8%が「説明できない」と回答した。

 

このことから、全体の約8割が、物流DXの課題感をまだ認識できておらず、物流DXに対する掴みどころがまだ無いのかもしれない。