ファッションEC大手のZalando(本社:ドイツ)は、2023年に米国でのサービス開始を予定している。そのために、少なくとも1億ユーロを投資するとのこと。しかし、現在の業績不振により、その計画は保留されている。
ニュース専門ウェブサイトのBusiness Insider(本社:米国)によると、ドイツのオンラインファッションプラットフォームであるZalandoは、米国進出を伴う「カンガルー計画」をひそかに進めているという。同社の100人以上の従業員が、現在このプロジェクトに関わっている。同サイトによると、Zalandoは米国への進出に最低1億ユーロの投資を予定しているという。
「Zalandoは、まず最も裕福な地域に進出したい考え」
同社は、コネチカット、メイン、マサチューセッツ、ニューハンプシャー、ニュージャージー、ニューヨーク、ペンシルベニア、ロードアイランド、バーモントなどの北東部の州でサービスを開始したいと考えている。これらの地域は最も裕福だといわれている。さらに、インフルエンサーマーケティングを活用し、ブランド認知度を高めていく予定だ。ライバルであるファッションeコマースのAbout You(本社:ドイツ)はすでに、市場にこの戦術を導入している。
米国の競合他社との差別化が難しい
インフルエンサーマーケティングは徐々にEUの主流になりつつあるが、この手法は米国でも一般的だ。Zalandoの従業員は、競合他社と差別化を図れないのではないかと懸念している。EUでは、返品無料や豊富な品ぞろえが同社のセールスポイントであるが、米国内でもこれらのセールスポイントが主流となっているためだ。
「Zalandoの2022年第1四半期の収益は1.5%減」
もう一つの問題は、同社の現在の財務状況だ。2021年のZalandoの総収入額は104億ユーロだが、2022年の第1四半期は1.5%減となった。さらに、時価総額は2021年7月までの263.5億ユーロから2022年5月には94億ユーロに減少している。
カンガルー計画は保留
長引くインフレとサプライチェーンの混乱のため、Zalandoは業績のさらなるマイナスが予想される。その結果、「カンガルー計画」は現在保留中だ。しかし、関係者は2023年には実行したいと考えている。Zalando広報担当者は、「現在の経済状況においては、既存のZalandoの顧客やパートナーに可能な限り最高の形でサービスを提供することに集中している」と語った。
※当記事は欧州メディア「Ecommerce News」の8/1公開の記事を翻訳・補足したものです。