平均スコアは10業種で低下、3業種では上昇し、2021年とほぼ正反対の結果となった。

 

Forrester(米国の独立系リサーチ企業)の新しいレポートによると、米国企業は消費者に注視しなかった結果、カスタマーエクスペリエンスが悪化していることが明らかとなった。

 

Forresterの調査では、昨年、史上最高の評価を記録したCX(Customer Experience/顧客体験価値)は、パンデミック以前のレベルに低下しているとのこと。全体的なCXインデックススコアは、100ポイント満点で2021年の72ポイントから2022年の71.3ポイントに低下した。これはわずかな低下にみえるかもしれないが、同社によれば「多数の顧客のCX品質の変化を反映しているため、統計的に有意で現実世界では意味がある」という。

 

コスト 

Forresterの調査によると、CXインデックススコアが1ポイント改善すると、平均的な投資会社では運用資産が225億ドル増加し、平均的なマスマーケット(大量生産市場)の自動車メーカーの収益で12億ドルの価値に相当するという。

 

全体的な問題 

2022年のU.S. Customer Experience Benchmark report (米国カスタマーエクスペリエンスベンチマークレポート)では、13のビジネスセクターを調査した。平均スコアは10業種で低下し、3業種のみ上昇。これは、3業種が低下し、9業種が上昇した昨年からの逆転である。これらの業界レベルでの低下により、9業種の平均スコアは2020年のレベル以下、あるいは実質的に同等となった。

 

最も低下したのはどの業種か 

当然のことながら、労働力不足により最も大きな打撃を受けた2つの業種が、最悪の結果となった。ホテル業界の平均は2020年には74.5ポイントであったのが、現在は71.2ポイントに。同様に、航空業界では2020年の67.5ポイントから今年は2.3ポイント低下している。

 

セクター別の平均CXインデックススコア(チャートは許可を得て使用)

 

また、レポートでは以下の結果も明らかになった:

 

  • 今年、CX品質はブランドの19%で低下し、ポイントが上昇した10%のブランドの約2倍となった。さらに、今年のブランドレベルの低下は上昇を上回った。平均低下ポイントは3.8、平均上昇ポイントは3.1との結果に。6ブランドが5〜10ポイント減少し、5ポイント以上上昇したブランドはなかった。

 

  • デジタル専用CXはさらに悪化し、2021年から0.4ポイント低下し、69.3ポイントとなった。その結果、デジタル専用CXの品質は、フィジカル専用CXに2.5ポイントの差をつけられている。デジタル専用CXは10業界で悪化し、6業界にとって、これは2年ぶり2度目の低下となる。マスマーケットの自動車メーカー業界は、2021年の71.7ポイントから今年は69.2ポイントとなり、デジタル専用の落ち込みが最も大きい結果となった。
  • 特定のブランドの価値観が自分の価値観と一致しているという顧客の認識は、2020年以前のレベルにまで低下している。今年は、調査対象となった12バーティカルで、価値の一致を認識している顧客は45%にとどまり、2021年から4%ポイント低下している。さらに、どのバーティカルでも2021年をピークに、2022年には後退している。

 

  • エクスペリエンスは容易なものでも、効果的なものでもない。平均して顧客の70%が、ブランドでのエクスペリエンスは容易であった、または効果的であったと回答しており、前年から1%低下している。

 

気にかける理由 

最良のシナリオは、ほとんどの消費者が同じように行動していた年にCXがピークに達したということだ。昨年、人々は自宅で仕事をし、オンラインで注文した。しかし、どういう訳か、企業は労働者をオフィスに戻したいと考えており(複数の調査によると、それは生産性が低いことが示されている)、人々はさまざまな行動を取るようになっている。Forresterは、企業が顧客重視でなくなったためだとしている。実際には、消費者の多様な行動と顧客重視でなくなった企業の姿勢の両方が理由なのかもしれない。

 

※当記事は米国メディア「MarTech」の6/7公開の記事を翻訳・補足したものです。