賢明な企業は、オンラインの口コミを活用し、顧客からのフィードバックに細心の注意を払うことで評判と認知度を高めることができる。多くのWebマーケティング業界の専門家にとって、米国のコンサルティングおよびソフトウェア会社MozLocal Search Ranking Factorsレポートは、Googleマイビジネスを中心とした企業の口コミのメリットを理解するために、参考になるものである。Mozの最新レポートについて、反響の大きかった重要な点は、Googleマイビジネスなどの顧客レビューの重要性は、前年比で17%、過去3年で43%増加しているという点だ。

 

この調査の創設者David Mihm氏は「中規模から大規模の都市圏では、レビューが数件のみ、もしくは投稿されていなくても、(Google Map上に表示される)Googleマイビジネスの検索結果の3つのリスティング(3-pack)に掲載されることが可能であったが、今では、直近数カ月の間に最低でも数十件のレビューが投稿されていなければ掲載されない。この事実は、確かなフィードバックの重要性を示している」と述べた。

Mozランキングのレビューが及ぼすインパクトの大きさは、デジタル時代においていかに「口コミ」が進化し企業への影響力が増しているか、そしてその影響は企業の評判だけでなく、認知度にも影響していることを物語っている。

 

口コミのデジタル化

ビジネスの世界では、「口コミ」の起源は商取引が始まった何世紀も前にさかのぼる。消費者がよく利用する「企業に対する意見」を、いつから人々がシェアし始めたかを誰が正確に言えるだろうか。21世紀の初めまで企業は、消費者にレビューを奨励したり、影響力のある人にブランドについて話すよう促したりと、さまざまな方法で口コミを広める方法を生み出してきた(これについては、Malcolm Gladwell氏の著書「The Tipping Point」で論じられている)。

デジタル時代の現代では、口コミは爆発的に広がるようになった。AmazonやFacebook、Googleのようなオンラインプラットフォームの出現によって、消費者は企業に対する意見をより明白で永続的に人の目に触れる形で共有できるようになった。もはや、あっという間に消えてしまっていた配管工や医者の良し悪しについて話すご近所さん同士の井戸端会議では済まなくなったのだ。デジタル時代には、このような会話は増幅され、拡散される。今では、誰かがレストランのメイン料理のビーフテンダーロインを絶賛したり、自動車ディーラーのサービスが悪いと憤慨したりしたことを、世界中が知ることとなる。

他の側面もある。検索エンジンが、ランキングの順位付けを行うための一つのソースとして顧客の評価とレビューをトラッキングし始めた。Googleは、レビューの少ない企業よりもポジティブなレビューが多くある企業を有利にランク付けし始めた。これは、消費者が特定の企業に関する助言を求めて友人に相談するように、検索エンジンを口コミの情報ソースとして使い始めたためだ。近くの自転車屋を探している人は、どこに行くべきか(Googleで公開された正確な位置データがトリガーとなる)だけでなく、その自転車屋が確固たる評判を得ているかどうかを知りたい(これは顧客の評価やレビューがランキング要素として考慮され始めたことを意味する)。Googleは「検索結果として、最も役立つ情報を提供したい」と答えた。そしてMozの調査結果が示すように、ランキングやレビューはこれまで以上に重要となっている。

 

企業が活用すべきチャンス

デジタルがしばしば破壊的なものとみなされることがあるものの、オンライン口コミの出現は企業にとってチャンスを生み出していると言える。賢い企業は、評判と認知度を同時に高めることができることに気が付いているのだ。AmazonやFacebook、Googleを脅威と見なすのではなく、自社の存在感を強化するためにこれらのプラットフォームを利用しているのである。そのために企業は、最も自社の認知度を高めることができるプラットフォームへ、顧客にレビューを投稿してもらわなければならない。また、何百、何千もの店舗を持つ企業は、自動化されたツールに投資することでレビューを確保し、公開し、そこから多くのことを学ぶことができる。口コミを自動化しているのだ。

現在、自動化された口コミは、企業の評判や認知度、サービスの質に影響を与える好循環を作り出している。その好循環の例は、以下の通りだ。

 

・検索の最適化

企業は、正確な位置データ、わかりやすいコンテンツ、そして消費者の評価及びレビューを公表することによって、より消費者に見つけてもらいやすくなる。Local Search Ranking Factorsの調査で説明されているように、そうすることでランキングシグナルを飛躍的に押し上げ、企業の評判も高くなる。また、評価やレビューだけでなく、正確で信頼できるコンテンツは、ポジティブな第一印象を与え、ブランドへの評価を押し上げる。

 

・顧客獲得

顧客は、一つの企業のウェブサイトだけではなく、多くのサイトで評価やレビューを探している。顧客にレビューを奨励することで、企業は検索結果順位を押し上げるだけでなく、ポジティブな社会感情を広げることもできる。人々は良い経験より悪い経験を積極的に話すことが多いという事実を素直に認めよう。企業は、人々が自社に対するポジティブな意見を共有するための対策を講じる必要がある。顧客に直接依頼するのも一つの方法だ。電子メールや携帯のメールのようなオンラインツールを利用すれば、より効率的だ。このポジティブな社会感情によって、顧客のコンバージョンがより正確に表現されることになる。

 

・エクスペリエンスの改善

この好循環は、企業が自社を改善する方法を探して顧客に求められた情報を提供する場合だけでなく、顧客による体系化されていないオーガニックなソーシャルメディアへの投稿も重視した際に、真の力を発揮する。レビューを気にかけ、自社を変えるためのフィードバックソースとしてレビューを積極的に活用する企業は、依頼すればポジティブなレビューを書いてくれるような満足度の高い顧客を獲得することができるだろう。こうして、評判を向上させ、認知度を高めることが可能となる。

 

企業がデジタル口コミのプロセスに対して発言権があるということは、良いことである。ブランドは以下のように対応すべきだ。

 

・顧客の評価やレビューを継続的に管理する。オンラインでもオフラインでも、企業を話題にしているところはどこでもそれらをモニターし、返答し、そこから学び、さらにレビューを奨励する。

・積極的になる。会社として、否定的なレビューをする不満足な顧客が存在するという事実を受け入れる。否定的な顧客に対しても返答し、企業が気にかけていることを認識してもらうのだ。そして、顧客に対するフォローアップを行い、オンラインでレビューを依頼することで、不満足なエクスペリエンスを打ち消すべきである。

・位置情報に留意すること。これは不可欠な要素なので、繰り返し強調したい。位置情報とコンテンツを貴重な資産として扱うこと。そして検索に最適化された正確なデータとわかりやすいコンテンツを提供することにより、消費者が企業を容易に見つけることができるベストプラクティスを実践すること。

 

デジタル口コミと検索は一つになりつつある。後戻りはしない。そして、これは良い進化だ。ユーザーが特定の企業を検索するとき、Googleはユーザー(および顧客)により良いエクスペリエンスを提供できるからである。そして、ユーザーが企業を見つけたとき、その企業は顧客によりよい体験をもたらすことができるのだ。

 

※当記事は米国メディア「Marketing Land」の4/18公開の記事を翻訳・補足したものです。