ConsumerAcquisition.com(Facebook、Google、TikTok、Snap、Appleのソーシャル広告主向けにクリエイティブスタジオとユーザー獲得サービスを提供する米国企業)のCEOであるBrian Bowman氏による、TikTok広告出稿を検討している人に向けた詳しいアドバイスを紹介。

 

現在、TikTokは注目を浴びているモバイルアプリ広告だ。その理由は想像に難くない。TikTokプラットフォームにおけるユーザーベースの飛躍的な成長とショート動画との親和性から、同プラットフォームは、すべてのモバイルアプリの広告主にとって理想的な環境となっている。月間アクティブユーザー数が8億人のTikTokは、Twitter(3億4,000万人以上)の2倍以上、米国最大の掲示板サイトReddit(4億3,000万人以上)のほぼ2倍の規模のユーザーベースを擁する。そのため、月間アクティブユーザー数では世界第6位の人気アプリ、また2020年に最もダウンロードされたアプリの1つとなり、2022年もこの状態が続くと予想される。

 

TikTokは、本質的には、動画共有ソーシャルメディアプラットフォームだ。ユーザーは、同アプリを使って自分の携帯電話で直接録画し、動画を作成することができる。このダイレクトに録画された動画は、同アプリ上で最も「ネイティブ」に見えることが多いが、外部ソースから動画をアップロードすることもできる。ただ、動画の尺は短くなくてはならない。TikTok動画は、9秒から最大60秒までとなる(特別なトリックを使って動画をつなぎ合せて最大5分の動画を作る場合は別である。また、TikTokは、最大3分のネイティブ広告を発表したばかりだ)。TikTokは、ユーザーがフィルターやステッカー、BGMなどの効果を使って動画をカスタマイズできる点で、コンセプト的にはInstagramと同じである。しかし、Instagramとは異なり、TikTokのコンテンツとそのユーザー層は、オーセンティックであるという評判がある。TikTokのカルチャーはInstagramのビジュアルの完成度を期待しておらず、完成度の高さがデメリットとなりうる。TikTokは、より遊び心があり、「現実的」で、「本物」であることを重視している。

 

2022年に向けて、効果的なTikTok広告戦略を立てることが今まで以上に重要となる。これまでの経験からすると、オーディエンスターゲティングと入札は、クリエイティブの最適化ほどは広告費用対効果(ROAS)に多大な影響を与えないかもしれないが、ROASの最適化には、依然として不可欠なものである。ここでは、2022年のオーディエンス、広告のプレースメント、入札や予算のオプションなど、TikTokのメディアバイイングについて知っておくべきすべてのことを説明しよう。

 

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TikTokのオーディエンスターゲティング

TikTokでは、広告主は性別、地域、年齢、興味、ユーザー行動、カテゴリー、デバイス、通信環境、キャリア、さらにはデバイス価格によって、オーディエンス・ターゲティングを行うことができる。

 

その結果、広告主は膨大な量のテストを行うことができ、ターゲティングとROAS向上のための刺激的な可能性が生まれる。「カテゴリー」ターゲティングだけでも、アプリの広告主にとっては大きな可能性となる。各主要カテゴリーには、その下にいくつかのサブカテゴリーが設定されている。

 

 

カスタムオーディエンスと類似のオーディエンス

TikTokでは、いくつかの方法でカスタムオーディエンスを作成することができる。顧客の連絡先データ(別名「カスタマーファイル」)、ウェブサイトのトラフィック、アプリのアクティビティや広告のエンゲージメントが使用可能である。また、TikTokは、カスタムオーディエンス向けに「自動更新」も提供している。

 

また、「Lookalike Audiences(類似オーディエンス)」を作成することで、既存顧客に類似した多くの人々にリーチすることもできる。類似オーディエンスは、TikTokが使用している3つの異なる「モデル」(「Specific(狭い)」、「Balance(ノーマル)」、「Broad(広い)」)から作成することができる。TikTokが、類似オーディエンスについては少なくとも10,000人のシードリストを持つことを推奨している点に注意しよう。

 

また、類似オーディエンスは、広告配信のさまざまなフェーズでさまざまな方法で「適用」することもできる。TikTokが定義するそれぞれのフェーズでのオプションは以下の通りである。

 

・導入期:このフェーズでは、「類似オーディエンス」を使用することで探索時間が短縮され、アルゴリズムが、どのユーザーグループが広告や宣伝している商品に関心を持つかをより迅速に学習できるようになり、コンバージョンをより早く獲得できるようになる。

・成熟した配信期:配信曲線がピークに達し、十分なコンバージョン数に達したときに、「類似オーディエンス」を使用してオーディエンスをさらに拡大し、ROIを最大化することができる。

・減退期:広告グループの配信が減少している場合、「類似オーディエンス」を使用して配信のライフサイクルを延長することができる。

 

リターゲティングとTikTokピクセル

ウェブサイトにおけるトラフィックデータのオーディエンスサイズの最小値は1,000ユーザーである。リターゲティングにTikTok広告を利用する場合、広告キャンペーンを開始する前にTikTokピクセルをインストールする必要がある。これにより、トラフィックデータを収集し、TikTokユーザーと照合するための十分な時間が確保できる。

 

また、TikTokピクセルをインストールすることには、以下の効果もある。

 

・TikTok広告キャンペーンの効果の測定

・広告キャンペーンの目的を達成する可能性が高いユーザーへの広告配信の最適化

・不要なインプレッションやクリックに広告予算を費やさないよう、すでにコンバージョンを達成したオーディエンスの削除

 

セルフサービスのTikTok広告プラットフォームにアクセスできる広告主は、1日当たりまたは配信期間全体での予算上限を設定することができる。TikTokでは、キャンペーンレベルで500ドル、また広告グループレベルで50ドルの最低予算が設定されている。この最低予算は、広告の目的を達成するために十分な予算を準備するためのものである。

 

予算が少ない広告主は、TikTokの広告費が下がらないか待ってみるとよいだろう。他のプラットフォームでは、より多くの広告主が参加したことにより広告費の値下げが行われたことがある。

 

広告のプレースメント

TikTokのアドマネージャーでは、TikTok以外にも広告を掲載することができる。同社系列のパートナーアプリには、以下のものがある。

 

・エンターテイメントアプリTikTokBabe(Babeはインドネシア向け)

・ニュースやコンテンツ発見アプリTopBuzz(米国とブラジル)、BuzzVideo(日本)、NewsRepublic(全世界)

・PangleTikTokのサポートページには、「Pangleは、インタラクティブで高性能なアプリ内広告ソリューションを提供する、最先端の動画広告プラットフォームである」と記載されている。現在、日本、韓国、台湾、ベトナム、タイ、マレーシア、エジプト、トルコ、アラブ首長国連邦とサウジアラビアでのみ利用できる。Pangleは、TikTokのすべてのキャンペーン目標と自動的なクリエイティブ最適化をサポートしている。

 

また、TikTokが推奨する自動プレースメントを使用することもできる。これにより、TikTokのアルゴリズムは、広告パフォーマンスが最も高い場所を把握できるようになる。

 

設定オプションの内容は以下の通り。

 

 

TikTokのプレースメントは、場所によってかなり異なる。広告が表示される可能性のある場所に関する最新情報については、「プレースメントと利用可能な場所」の表をご覧いただきたい。

 

また、TikTokでは、広告主が、広告表示の可能性のあるメディアプラットフォームやアプリをブロックすることもできる。キャンペーン設定のプレースメントセクションで「ブロックリスト」を決めることもできる。ブロックリストでは、広告主は一度に最大2,000のアプリIDをブロックすることができる。

 

TikTokでは、「おすすめの投稿」フィードに広告が表示される。その他、広告表示が可能なパートナーアプリでのプレースメントは以下の通り。

 

・BuzzVideoでは、インフィード、詳細ページ、ポストロール広告に表示

・TopBuzz:インフィード、詳細ページ、ポストロール広告

・NewsRepublic:インフィード

・Babe:インフィード、詳細ページ

 

インフィード広告の掲載場所は3箇所あることに注意してほしい。「おすすめのニュースフィード」、「動画の詳細ページ」と「ポストロール広告(動画本編の再生後に流すビデオ広告)の3つである。

 

それらのプレースメントは以下のように表示される。

 

 

Pangleでのプレースメントは少々異なる。詳しくはTikTokのサポートページをご覧いただきたい。

 

最適化の目標

アプリのインストール以外にも最適化すべきものが非常に数多くある。TikTok広告で測定可能なイベントの長いリストを確認したことがあるだろう。そのリストを使用すべきである。結局のところ、アプリのインストールは望ましいことではあるが、200ドルのLTV(ライフタイムバリュー)購入者の方がより利益をもたらす。

 

TikTokは、「リーチ」、「トラフィック」、「アプリのインストール」と「コンバージョン」の4つの主な広告目標をサポートしている。

 

TikTokは「アプリイベント最適化(AEO)」の提供に取り組んでいるが、まだベータ版であり、一部のアカウントでしか利用できない。もし、TikTokの広告アカウントマネージャーが使える場合、自社のアカウントがベータ版の対象となるか、または、この機能を本格展開する際に自社アカウントをリストの最前列に置いてもらうことができるかをぜひ尋ねてみてほしい。詳しくは、TikTokのアプリイベント最適化(AEO)マニュアルのオンライン詳細版をお読みいただきたい。

 

TikTok広告にどの程度の費用がかかるのか

これはよく聞かれる質問で、そのために、私たちはFAQのページを作成したほどだ。

簡単にいうと、TikTokの広告費は下がっており、他のソーシャルプラットフォームに匹敵するということだ。つまり、プレミアム価格を支払うことはないが、価格は以下の条件によって異なってくる。

 

・広告フォーマット

・広告の目的:トラフィック、コンバージョンやアプリのインストール

・入札方法と入札額

オーディエンス(性別、地域、年齢、言語、興味、通信環境やOSのバージョンに基づく)

・業種

 

TikTokの広告費は、広告フォーマットによって異なる。ユーザーのフィードの最上部に表示され最大60秒間再生できるTopView動画は、数画面下にありいくつかのオーガニック動画の間に配置される可能性が高い9秒間の短いインフィード動画よりも費用が高くなるだろう。より包括的なブランド体験ができるため、より高額になるのだ。

 

一般的に、TikTokの広告費はCPM(広告表示1,000回当たりの費用)10ドルからだが、CPMが2ドルを下回るものも多く見られる。2019年後半のAdAgeのレポートによると、TikTokの広告費は、広告フォーマットや期間、そしてもちろん広告の目的や行われる入札方法によって、5万ドルから12万ドルになるとのことである。

 

TikTokのプラットフォームはフレキシビリティがあり、有料ネイティブ広告プログラム以外にもさまざまな広告方法があり、自分のプログラムに合ったものを見つけることができる。いつでもオーガニック広告の方法を取って、人気上昇中のインフルエンサーと提携し、時間をかけてブランドの認知度を高めることができる。

 

まとめ

TikTokの広告は非常に魅力的で、多数のオーディエンスにリーチすることができるなど、急速に進化している。TikTokの広告プラットフォームは、より多くのプレースメント、キャンペーンコントロール、そして最適化の選択肢を提供し、UA(顧客獲得)マネージャーは、パフォーマンス最適化をコントロールすることが可能だ。

 

TikTokのユーザーベースは、動画やゲームに親和性があり、モバイルアプリアプリの広告主が今すぐTikTok広告をテストするのは至極当然のことだ。時間が経てば、同社のマーケットプレイスはもっと高額になるばかりだろう。

 

※当記事は英国メディア「Mobile Marketing Magazine」の3/4公開の記事を翻訳・補足したものです。