アジャイルの考え方と方向性を理解することで、よくある落とし穴を回避することができるだろう。

 

過去10年間に、複数のチームでアジャイルマーケティングを実践することで得た知識をもって、その導入を困難にする、いくつかの共通した障害に対応してきた。それらの落とし穴を早期に発見することで、回避することが可能となる。

 

足並みの揃わないリーダーたち

アジャイルマーケティングは単なるプロセスではない。故に、成功のためには、リーダたちが必要な意識改革を足並みを揃えて行うことが不可欠である。

あなたはアジャイルマーケティングの変革の範囲と、それによって影響を受ける全員を理解したいと考えるだろう。これには、マーケティング内のリーダーや、マーケティングに仕事を依頼する営業など、他のチームのリーダーが含まれるかもしれない。

影響を受けるリーダーを特定したのち、共同の「ビジョニング」ワーキングセッションを開催する。

 

 

同セッションでは、以下について話し合いを行う。

 

  • ビジョン:この変革のビジョンは何か?
  • 重要性:この変革が会社にとってなぜ重要なのか?
  • 成功の測定:成功をどのように測定するのか?
  • 影響:誰が、また、何が影響を受けるのか? ビジョンを実現するため、どのような人、部門、プロセスを変更する必要があるのか?
  • サポート:人々をどのようにサポートするのか?この変革を通じて人々をサポートするために、リーダーとしてどのような行動を取るのか?
  • 次のステップ:リーダーが取るべき更なる行動項目に留意する。

 

このアクティビティを行うことで、すべてのリーダーが同じようにアジャイルマーケティングについて語ることができるようになる。変更に反対するリーダーがいる場合は、彼らが抵抗している背景を明らかにしてみるとよいだろう。 過半数が賛成で、消極的なリーダーが少数いる場合は、たとえまだメリットを十分に理解できていなくても、その取り組みを支持するように依頼する。

 

一度に過度に多くのことをやろうとする

実際、ほとんどのマーケターは、ここ数年の不確実性を経験し、変化に対する疲労感を抱えている。たとえばバンドエイドを一気に剥ぎ取ろうとするように、変化は怖いという、大きな反発を受けるかもしれない。

 

代わりに、アジャイルになるためのアジャイルアプローチを採用してみよう。基礎教育から始めて、それが何を意味するかを誰もが理解できるようにする(そこには多くの先入観や、誤った情報がある)。次に、マーケティング組織の問題点を特定し、アジャイルが更なる変化をもたらすだけでなく、人々をどのように支援できるかを判断する。

 

私は、パイロットチームからスタートし、その企業の文化、人々、ビジネスニーズを考慮し、どうすればアジャイルマーケティングが最適に機能するかをテストして学ぶことを勧めている。パイロットチームは、面倒に感じるかもしれないが、計画だけでなく実行のプロセスから多くの学びが得られるのだ。

 

プロセスのみに焦点を当てる

アジャイルを謳っているワークフローツールを購入しただけで、「アジャイルマーケティングを実行している」と言っているのを聞くと、うんざりとした気持ちになる。ツールは重要だが、人々の文化や働き方を変える必要がある。ツールはその変化をサポートするだけだ。

 

ソフトウェア開発におけるアジャイルの初期には、ツールが意味のあるコラボレーションや会話を阻止することが多かったため、すべてが壁の付箋紙で行われていた。しかし、我々は今、グローバルマーケティングとオンラインの住人であり、ツールが必要である。 ただし、アジャイルマーケティングへの取り組み方を、ツールの変更を中心に考えてはいけない。

 

長期的かつ永続的な成功のためには、文化の変革が第一の推進力でなければならないのだ。

Stacey Ackerman氏によるアジャイルマーケティングの詳細

 

チーム・オンリー・アプローチ

「チーム・オンリー・アプローチ」をとっている企業をよく見かける。これは、チームのマーケターにはアジャイルマーケティングや変化を学ぶことを期待するが、周りの誰もそれを実践していないことを意味する。ここで言いたいのは、それは、成功とはかけ離れたアプローチであるということだ。

 

アジャイルマーケティングは、これまでとは異なる新しい働き方であるため、誰もが影響を受ける。マネージャーは、もはやチームメンバーを仕事に割り当てるのではなく、キャリアアップとスキルアップについて指導するため、これまでとは違うやり方で仕事をする必要が出てくるだろう。チームはバックログを通じて仕事の優先順位を決めるため、ビジネス・ステークホルダーは、作業の依頼方法を変える必要がある。レビューがどのように行われ、人々がどのように報酬を受け取るかによって、人事部のような部署でさえ影響を受ける可能性がある。個人主義的なアプローチから、チームベースのアプローチに移行する可能性があるのだ。

 

アジャイルな言葉を使用しているが、実際には変わっていない

最後になるが、忘れてはならないのが、正しいアジャイル用語をすべて使用していながら、以前とまったく同じように仕事を続けようとする企業があるということだ。このような企業は、ガールスカウトのクッキーを1箱全部食べて、ソファに座れば10ポンド(約4.5kg)痩せられると思っている人々と同じである(信じてほしい。私はこのアプローチを試したが、うまくいかなかった!)。

 

つまり、アジャイル用語を知っていることは素晴らしいが、アジャイルマーケティングで成功するためには、現在いる場所だけでなく、アジャイルのマインドセットと方向性を深く理解していることが非常に重要なのだ。

 

多くのマーケターは、チームメンバーに付加価値を提供する方法でアジャイルマーケティングを適用するために苦労している。無料電子書籍「MarTech’s Guide to agile marketing for team」で、そのパターンを打破する方法を学ぶことが出来る。

 

※当記事は米国メディア「MarTech」の2/25公開の記事を翻訳・補足したものです。