株式会社フューチャーショップは、対象期間中に注文件数が100件以上に達した、もしくは、1年以上継続利用した店舗に限定して流通額を調査した。

 

 

業種調査

 

 

まず、1年以上継続利用した店舗に限定して流通額を調査し、上位5業種の昨対比をまとめた。前回の調査でも好調だった「ギフト」は、今回も強い伸びを見せ、「本・CD・DVD」「楽器・音楽機材」など、巣ごもり生活が充実するアイテムの販売が増加した一方、昨年は厳しい状況にあった「旅行用品・旅行予約」も好調に転じた。また、巣ごもり期間が長引くことで、健康に対する関心が高まり、「ダイエット・健康」も売上を伸ばした。

 

 

続いて、期間中の生活者のEC利用状況を、2020年・2021年7月〜9月、各月の注文件数が100件以上の店舗から500店舗を無作為に抽出し調査した。なお、前回までのプレスリリースで調査した店舗とは異なる。

 

 

注文件数の変化

 

 

スマートフォンのみで販売している店舗が母集団にあったため、497店舗を対象に調査を実施した。対象店舗の注文件数は全てのデバイスにおいて増加し、2021年7月〜9月期ではデバイス全体の注文件数が昨対比115.85%となった。また、以前の調査と同様、スマートフォン経由の購入が高い伸びを見せており、9月時点では130%を超えた。
月別ではデバイス全体、スマートフォン経由、PC経由全てにおいて、2021年9月に伸びを見せた。これは、緊急事態宣言が発表された7月12日から8月12日、8月20日、そして8月27日と対象となる都道府県を拡大し、9月30日に解除されるまで、外出を控えECでの購入が増加した為だと推測される。

 

 

新規顧客利用状況

 

 

対象店舗の新規会員増加率平均は、会員機能を利用していた494店舗で調査したところ、7月から緊急事態宣言対象地域が増加するにつれ新規顧客利用が増加していることが分かった。

 

また、昨年見られた、新規利用が2倍などの急増は今後日常生活を取り戻していく中で難しいと推測されているものの、新規利用が2倍になった1年後もEC利用は伸び続けていることから、「ECに力を入れるのをやめる」のではなく、今後とも顧客との継続的な接点として運営を続けていくのが好ましいと考察できる。

 

また、昨年は販売の機会損失を逃さないために「ECサイトを開店しており、新規顧客を増やす」ことが重要だったが、今年は昨年のEC開店・新規利用ブームで利用した方や、リピート購入促進など既存顧客へのCRM施策も強化したEC事業者が増加しているように見受けられる。

 

そのため、買い回り・まとめ買いをしやすいECサイトの導線設計は、「新規顧客・リピーターそれぞれに向けた必要な情報や導線が設計されている」といった視点からの、ECサイト改善。実店舗を運営している方はOMOの実現、つまり、ECサイトと実店舗、それぞれの良さを生かした販売施策が売上アップを実現する要素となりそうだ。

 

 

決済手段の変化

 

 

利用された決済方法を「クレジットカード」「ID・QR決済」「現金・その他決済(店頭払いや後払い、銀行振込やコンビニ払いなど)」の3つに分け、各月の総注文件数を1とした。

調査の結果は、「ID・QR決済」の利用が増加し、「クレジットカード」は同程度の利用、「現金・その他」は減少した。

 

 

 

グラフ2は、決済方法を3種類とも提供している店舗に限定した調査結果で、2021年では「クレジットカード」と「ID・QR決済」を合わせ、4人に3人がキャッシュレスでの決済を行っていた。また、昨年同月と比較すると、「クレジットカード」の利用状況は変化せず、「現金・その他」の利用が多少「ID・QR決済」に流れている様子が見られた。

 

 

まとめ

 

7月上旬に緊急事態宣言が発令され、8月下旬には21都道府県に拡大した影響か、EC利用は増加傾向だった。業種別では毎回の調査同様に巣ごもり期間を充実させるアイテムがよく購入された一方、期間の長引きが影響したのか「ダイエット・健康」が上位に入り、昨年は厳しい状況だった「旅行用品・旅行予約」など、解除後への期待がうかがえる業種が流通額昨対比の上位に入った。

また、新規利用は外出を控える動きからか、宣言期間が長引くにつれ増加し、9月は前年比135%という結果となった。その他、決済方法では4人に3人がキャッシュレス決済を利用し、現金以外での決済利用が進んでいた。