ROE(自己資本利益率)がコンテンツマーケターにとって不可欠な指標である理由

デジタルの世界では、クリエイティブでクオリティの高いコンテンツの需要が高まっている。消費者は、ブランドと関わる際には魅力的でパーソナライズされた体験を求めている。結果として、コンテンツによって提供される顧客体験は、多くのマーケティング組織において成功の最重要指標となっている。

 

米国に本拠を置き、デジタル資産管理およびコンテンツ運用ソフトウェアを提供、運用するAprimoのプロダクトマーケティングおよびストラテジー担当バイスプレジデントであるAnjali Yakkundi氏は、先日当誌が開催した「今日の顧客の期待は、これまでにないほど高まっている」と述べた。同氏は、「81%の企業が、顧客体験に基づいた競争になると予測している」という、米国に本社を置きIT分野を中心に調査やアドバイスを行うGartner社の調査結果を引用し、この点を強調した。

 

「この10年で成功を収めてきたデジタルスタートアップが状況をすっかり変えてしまったからだ」と、同氏。「今や顧客は、ブランドと関わるどのチャネルにおいても、パーソナライズされた関連性の高い体験を期待している」と言う。

 

また、「素晴らしい顧客体験を得るために、顧客は何か月も待ってはくれない。今、それを望んでいるのだ。そのため、コンテンツチームやクリエイティブチームは、これまで以上によりアジャイルに(機敏に)行動しなければならない」とも語った。

 

アジリティと順応性を高めるために、コンテンツチームはコンテンツの取り組みからどれくらい収益を得ているのかを知る必要がある。そのため、多くのチームがコンテンツの自己資本利益率(ROE)測定フレームワークを採用している。

 

コンテンツROEフレームワークの使用

コンテンツマーケターが、費やした時間、使用したリソース、関与したチームメンバーなどのキャンペーンに費やした労力を測定することで、意思決定者により多くのコンテキストを与えることができる。コンテンツROEは、成功をROI(投下資本利益率)という広範な指標で判断するのではなく、マーケターに粒度の細かいレベルで実用的なデータを提供する。

 

Yakkundi氏は、「このように、より全体像について考えることを、いわゆる“コンテンツROE”であると捉えている」と述べた。「コンテンツROEは、キャンペーンの種類やチャネル、媒体、あるいはキャンペーンごとに獲得できるインプレッション数を確認するだけではない。投入した労力という観点からパフォーマンスを評価できるようになっている」という。

 

さらに「即座にアセットを編集、変更することが可能なため、より良い結果をもたらすことができる」と続けた。

 

データに基づいたコンテンツ戦略の構築

コンテンツマーケティング戦略は、もはやアウトプットを中心に展開しているものではない。今や、望む結果を得られるようにコンテンツを作成することに尽きる。マーケターは、このような取り組みに役立つかどうかわからない予算の増加に頼るのではなく、ROEに基づいたデータ駆動型のコンテンツ戦略を策定したほうが良いだろう。

 

「マーケターは、自分たちが持っている自由に使用できる大量のデータを活用すべきである。特にクリエイティブチームはそうすべきである」と、Yakkundi氏。「それらのデータを利用して、最高の顧客体験とビジネス上の成果をもたらすコンテンツと最も重要なコンテンツ予算の優先順位付けを始めるべきだ」。

 

顧客データを無視したコンテンツ制作では、キャンペーンの成果を向上させることはできない。そのうえ、ROIの測定が非常に困難となる。だからこそ、コンテンツROE測定を採用することが重要なのだ。

 

コンテンツROEは、ROI測定を戦術的で瞬間的なデータで支援し、CMOや他のチームメンバーが戦略的なレベルでマーケティングの意思決定を行うのに役立つ。

 

Yakkundi氏は、これらの測定作業をサポートするマーケティング指標の4つの階層を示したGartner社のわかりやすい図を紹介している。このようにデータ戦略を視覚化することで、マーケターはビジネス成果に優先順位をつけ、戦術的な最適化、計画、戦略を実行することができる。

 

マーケターのデータ戦略を再考する

Gartnerのマーケティング測定階層

 

画像:GartnerおよびAprimo

 

総合すると、これらの指標はコンテンツマーケターとクリエイターが成果を上げるのに役立つ。しかし、コンテンツの測定方法が不完全な場合には問題が生じる。

 

「戦術的測定について考えると、必ずしもそのクラス最高のプロセスだとは考えられない」とYakkundi氏は語る。「なぜなら、キャンペーンに焦点が当てられており、コンテンツのレベルには焦点が当てられていないからだ。そのため、コンテンツやクリエイティブの専門家にとって実用的なデータがほとんどない」。

 

データニーズをサポートするマーテック戦略の構築

マーケターは、データに基づいたコンテンツ戦略とコンテンツROEを測定するフレームワークを構築すれば、マーテックスタックを活用して実用的なキャンペーンデータやコンテンツデータを抽出することができる。そして、マーケターやコンテンツを作成するクリエイターは、瞬時にインサイトやフィードバックを得て、迅速に変更を加えることができる。

 

Yakkundi氏は、「マーテック戦略とは、データについて考えることであり、データを各レベルでソートする技術について考えることだ」と語る。そして「コンテンツROEは重要な要素だが、日々の戦術的な要素である。これを用いることで、戦略的なレベルでのパフォーマンスとオペレーションがみえてくるだろう」と述べた。

 

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※当記事は米国メディア「MarTech」の11/4公開の記事を翻訳・補足したものです。