テストがうまくいけば、多くの広告主にとって、新しい、あるいは特定のタイプのオーディエンスにリーチできる絶好の機会になるかもしれない。

 

5月、Facebookはバーチャルリアリティ広告のテストを開始することを発表した。そのテストが今、始まろうとしている。「同社はストックホルムを拠点とするゲームスタジオResolution Games社Oculus Questタイトル『Blaston』において、広告実験を開始することを明らかにした。また、今回の実験は、今後数週間のうちに他の2つの(名前は明かされていない)開発会社のタイトルでも実施される予定だ」と米国コンピュータ雑誌PCMagMichael Tan氏は述べている

 

インヘッドセット広告 Facebook社が「インヘッドセット広告」と位置付けるこの広告は、開発者が収益を上げる方法を模索する同社の取組みの一環として行われている。「インヘッドセット広告は、新しいタイプのコンテンツやオーディエンスを生み出すさまざまなビジネスモデルをサポートする、自立型プラットフォームの構築を確実にするための重要な要素だ」と、Facebookはブログで発表している。

 

プライバシー  Oculus VRヘッドセットを開発しているFacebook社は、VR広告に対するユーザーのインタラクションをモニターする予定だが、Oculus広告はすべてFacebook社の広告ルールに従わなければならないと述べている。つまり、ユーザーは引き続き「特定の広告を非表示、または、ある広告主が出稿する広告を完全に非表示にする権限」を有することとなる。

 

ブログでの発表の中で、FacebookはOculus広告のプライバシーポリシーの概要を説明している。

 

  • 顧客のヘッドセット上でローカルに処理および保存された情報を、広告ターゲティングに使用することはない。デバイス上で情報を処理・保存するということは、その情報がヘッドセットから離れることも、Facebookのサーバーに届くこともないため、広告に使用することはできない。

 

  • 動作データの使用については、安全で没入感のあるVR体験を提供するために最低必要限に抑えるなど、特別な注意を払っている。また、動作データを広告のターゲティングに使用する予定はない。

 

  • Messenger、Parties、チャットなどのアプリ内での人との会話内容や、音声でのやりとりを広告ターゲティングに利用することはない。

 

「それでも、FacebookはOculus VR所有者に対し、Facebookアカウントでのサインインを要求しようとしている。つまり、Facebookは依然としてターゲット広告提供を目的として、個人データを分析することができる」とTan氏は指摘する。

 

留意すべき理由は? 現在、プライバシーはユーザーにとって大きな問題であり、バーチャルリアリティにおける広告は、多くの人にとって行き過ぎた行為かもしれない。特にiOS 14がアプリのトラッキングを厳しく取り締まっていることもあり、Facebookは、今のプライバシーに関する議論の渦中にある。しかし、今回のテストがうまくいけば、多くの広告主にとって、新しい、あるいは特定のタイプの視聴者にリーチする絶好の機会となるかもしれない。VRでの広告は、まるでSF映画の「レディ・プレイヤー1」の領域に向かっているかのような錯覚を覚えるほどの崖っぷちに立たされており、注目に値するトレンドである。

 

※当記事は米国メディア「Mar Tech」の6/17公開の記事を翻訳・補足したものです。