自身がベンダーであり、商品をオンラインで販売しているとしたら、今でもeコマースを活用していないということがあるだろうか?今こそ、検索エンジン最適化戦略を見直すべきである。より多くの顧客トラフィックを自社のウェブサイトに誘導するために、SEOプロセスを微調整する必要があるかもしれない。

 

SEOに対する理解を深めることで、検索エンジンのランキングを上げることができるようになる。SEO対策ツールを利用すれば、ウェブサイトの全体的な健全性を向上し、成功に導くためのデータとアラートを得ることができるかもしれない。

また、チャンスがある領域を知ることができ、上位ランキングに入ることを阻む弱点や問題点を特定し、検索エンジン結果ページ(SERP)での可視性を高めることができるかもしれない。

 

これらは、インターネットユーザーがウェブサイトを訪問した際に、彼らの入力した検索クエリの結果をGoogleがどのように表示するかということである。SERPには、一般的にオーガニック検索結果、有料のGoogle広告の結果、ナレッジグラフ、フィーチャードスニペットや動画の結果などが含まれる。オンラインショッピングの支配が続いている今日では、いくつかの従来型のマーケティング手法は時代遅れになりつつある。だが、SEOランキングの効果は、依然としてマーケティング戦略の重要な部分である。

 

マーケティングのためのSEO

検索エンジン最適化は、適用しうる最も費用対効果の高いマーケティング戦略の一つだ。それは、能動的にオンラインで商品やサービスを探している消費者を惹きつけるものとなる。

 

SEOはこれまでになく重要だ。Wiideman Consulting Group(米国のマーケティングコンサルタント)の社長兼CEOであるSteve Wiideman氏によると、パンデミック前はオフラインで購入していたと思われる商品やサービスを、より多くの消費者がインターネットで購入するようになっているという。

 

「特にレストランは、DoordashPostmatesUber EatsGrubhubなどのデリバリーサービスと提携するか、自社のウェブサイト上にキーワードの多く含むページを開発することで生き残ってきた。そして、キーワードを、顧客が、デリバリー、テイクアウト、カーサイド、カーブサイドを提供している店舗や近場にあるアウトドアダイニングを見つけるために使用するオフプレミス(店外や家での消費)の検索に対応させている」と同氏。

 

そのいい事例がApplebee’s(米国のファミリーレストラン)で、2020年のオーガニック訪問数は2019年と比較して37%増加し、オンライン注文数は167%以上増加した。アクセス案内を必要とする顧客の減少により、Googleマップからのトラフィックは23%減少したにもかかわらず、Googleマップおよびオーガニック検索結果の「3パック」マップリスティング(ローカルパック上位3つにランキング表示された状態)からのオンライン注文は27%以上増加した、と同氏は指摘する。

 

「顧客の購買習慣は、恒久的に変化した。今の時期にオンライン注文を始めた顧客は、オンライン注文の利便性を見出しており、おそらくパンデミックの収束後も、この新しい習慣を継続するだろう」とWiideman氏。

 

2021年のSEO戦略構築方法の要点について、Steve Wiideman氏と対談した。同氏はSEOの専門家で、Applebee’s、Public Storage(個人倉庫のリース関連事業を行う米国企業)、IHOP(米国の朝食レストランチェーン)、Skechers(米国の靴会社)、Blaze Pizza(米国のピザ店)、Technicolor(フランスのマルチメディア・家電企業)、Bosley(毛髪関連事業を行う米国企業)、Belkin(コンピューター周辺機器の製造・販売を行う米国企業)、Linksys(インターネット関連事業を行う米国企業)、Homes.com(米国の不動産ポータル)、FIDM(Fashion Institute of Design & Merchandising / 米国の私立大学)、Essentia Health(米国の統合医療システム)、グランドセイコーなどのブランドとともに仕事をしてきた。

 

Wiideman氏は、California State University Fullerton (カリフォルニア州立大学フラトン校)のウェブサイト最適化と戦略的検索エンジンマーケティングのオンラインコースおよび、University of California San Diego(カリフォルニア大学サンディエゴ校)のSEOツールとアナリティクスのコースを設けた人物であり、そこで教鞭を取っている。同氏はカリフォルニア大学サンディエゴ校、カリフォルニア州立大学フラトン校、そしてフラートンカレッジの非常勤教授であり、最近、人気の高い大学向けオンライン学習サービスの教科書の執筆を依頼された。

 

Steve Wiideman氏(Wiideman Consulting Group社長)

 

 

SEOの影響は、一般的なコマースとeコマースのどちらにとって、より大きいか?その理由は?

Wiideman氏:eコマースは、いくつかの理由から、今日のビジネスにとって最も重要なマーケティング戦術である可能性が高い。トランザクションを検索、ソーシャル、メール、紹介やその他のマーケティングなどの特定の媒体に紐づけることができる場合、マーケティング施策のROIのトラッキングがはるかに容易になる。

次に、多くのユーザーは、購入時に個人情報を保存したり、アカウント登録を行ったりするので、広告主はそれらをリマーケティング戦略やニュースレター、ポイントプログラムに活用することができる。これらは結果として、Google検索ネットワークのキーワードへの入札など、より高価な広告媒体の削減につながっている。

 

成功するSEOとは?

Wiideman氏: SEOの効果は、シンプルなパフォーマンス指標、もしくは、主要業績評価指標(KPI)を使って測定されている。多くの広告主にとって最も重要なものとして、以下のようなものが含まれる。

 

a. オーガニックからの売上における前年比・前月比の成長率

b. マップと3パックのリスティングからの売上における前年比・前月比の成長率

 

さまざまなSEOチームメンバーが監視すべきその他のKPIには、以下のようなものが含まれる。

 

a. サイトでの技術的課題の改善率

b. モバイルページの速度/ロード時間の改善率

c. 追跡・監視しているキーワードの平均的なキーワードポジション(多くの場合、 カテゴリーや事業目的ごとにセグメント化されている)

d. 上位ファネル/情報コンテンツ(FAQなど)を通じて獲得した新規のインバウンド リンク数

 

効果的なキャンペーンでは、12か月間で達成し、それを超える初期のKPI目標を設定している。ここでは、当社がいくつかのレストランチェーンのクライアントで使用しているテンプレートのリンクをご紹介しよう。このテンプレートは、時間の経過とともにGoogle Data Studioのダッシュボードに進化したが、現在でも関連性が高いものである。

 

 

2021年に向けて、企業が効果的なSEO対策を構築するには?

Wiideman氏:企業は、経験豊富なストラテジストから以下の提供を受け、調査と計画に1~3か月かけることで、効果的なSEO戦略を構築することができる。

a. 技術的なSEO監査

b. 競合他社の「基調」報告

c. リンク監査と戦略

d. 広範なキーワード調査(既存のデータと競合他社のインサイト)

e. ウェブサイトの分類と情報アーキテクチャ計画(キーワード調査に基づく)

f. ローカルおよび/またはeコマースのSEO戦略

 

完了後、調査によるアクションアイテムは、Monday.comBasecampJiraや(我々のお気に入りの)Smartsheetsのようなプロジェクト管理システムに整理される。そして、説明責任を果たすため、タスクが割り当てられ、優先順位が付けられ、期日が追加される。

 

 

新型コロナウイルスの世界的大流行は、インターネット上の検索対象や検索方法にどのような影響を与えているか?

Wiideman氏:検索エンジンにおけるユーザー行動に見られる最大の変化は、「近場」や「オンライン」というフレーズの使用だ。買い物に出かける人は減少しており、オンラインショッピングはこれまで以上に重要になっている。企業は、エクスペリエンス全体において、キーボードを使用する必要がなく、訪問者が親指でタップするだけで操作できるように構築されたモバイルショッピングエクスペリエンスを提供することで、訪問売上(コンバージョン)率を最大化することができる。

 

前述の通り、外食産業の場合、コンテンツを改善してキーワードに対応することで、店のキッチンの照明を灯し続けることができるのだ。

 

 

ネット加盟店がSEO詐欺を回避するには?

Wiideman氏:今日のSEOは、より透明性の高いものになりつつある。ビジネスオーナーが、「Googleであなたを1位にランク付けできる」というスパム電話に騙されるケースは減少している。その代わり、彼らは生き残り戦略の一環として、自分達で学ぼうと夜遅くまで取り組んでいる。

 

そのため、当社では、ビジネスオーナーにSEOを社内で管理するために必要な教育とトレーニングを提供し、狡猾な勧誘電話に騙されないために、無料のSEOマスタークラスを設けている。

 

※当記事は米国メディア「Ecommerce Times」の2/12公開の記事を翻訳・補足したものです。