ドローンは、来店者数モニターから空撮画像の作成まで、マーケターにとって多くを提供するツールとなる

 

おそらく、商業用不動産業界ほどCOVIDの流行によるダメージを受けている業界はないだろう。しかし、競争が激しい同業界では、ほとんどのマーケッターが使用していない戦術が生まれている。それは、一連のマーテックソリューションへのドローンの導入である。

「私たちは、高価格の建物を扱っており、四半期報告、月次報告、年次報告だけでなく、毎日の収支を合わせなければならない。そのため、使用するマーテックツールがどのように売上に直結しているのか、直接的な評価をする必要がある」と、オレゴン州に本拠地を置く不動産会社、SVN Commercial Advisors のマーケティング・ディレクター、Melissa Swader氏は述べている。

 

不動産業界外でのドローン技術の価値

多くのマーケティング担当者は、ドローンの使用は、ビル、会場、土地、その他の大規模スペースの空撮にのみ適していると考えているかもしれない。しかし、アリゾナ州SVN Commercial Advisors のリテールリース・セールスインベストメント担当ディレクターであるRommie Mojahed氏は、マーケティング担当者は、現在実行されているキャンペーン戦略の一部をなすドローン技術を過小評価していると考えている。

 

「特に、COVIDが発生している今、ドローン技術のマーケティング使用が商業不動産業界以外にも拡がることを強く期待している。なぜなら、マーケターは、高いROIを達成できる価値ある戦術を見逃しているからだ」と、同氏。「もし、何らかのかたちで、客足に関連があるマーケターであれば、ドローン技術を導入する必要がある。それも、今すぐである」。

 

商業用不動産業界がドローンのビジネス仕様における基礎を築いてきたが、その一方で、ドローン技術と空撮画像をマーケティングに使用することで追いつきつつあるいくつかの業界がある。当然、建築会社やエンジニアリング会社、造園企業や農業企業は、マーケティングに空撮画像を常用し始めているのだ。

 

ドローン技術のもう一つの利点は、来店者データを取得できることである。小売業、交通機関、食料品店、自動車、娯楽施設、公共公園や自治体の施設、住宅用不動産などは、データ取得やキャンペーン実施のためにドローン技術を活用することができる。

現在では、グランドオープン、ローンチパーティー、その他のイベントプロモーションなどにおいて、特に小売業などのすべての業界で、ドローン技術は一般的に使用されている。また、民間航空業界では、自社航空機の紹介のために航空画像マーケティングをいち早く取り入れている。

 

ドローン画像を使用することで、ピーク時や夜間アクティビティ、ビジネスとソーシャル目的の来店者数の割合など、フットトラフィックの動向を特定することができる。

「空撮画像とドローン動画は、マーケッターにとって極めて有効なツールとなる」と、Mojahed氏。「実際に、実店舗など物理的なターゲット向けにキャンペーンを構築できるマーケターは、オンラインで実行できるマーケターと同様に重要である」。

 

高価値のベンダーとビューを見つける重要性

これら不動産業以外のマーケティング担当者が、ドローン技術と空中画像が提供する高いROIに注目する中、質の高いベンダーを見極めるのは、困難なタスクのように思える。すべてのドローンオペレーターベンダーは、連邦航空局(Federal Aviation Administration)から商業ライセンスを取得し、適切な保険と空域使用許可を取得している必要がある。

「マーケッターにとって、ドローンと空撮画像の使用を実行に移すのは容易である。なぜなら、ベンダーが全ての困難な作業を担うからである」と、カリフォルニアを本拠地とする Birds Eye Aerial DronesのCEOであるScott Painter氏は言う。「電話をかけて適切なベンダーを見つけ、数日待てば、必要な映像を入手し、長期的なキャンペーンをスタートさせることができるだろう。専門家に任せれば、望む結果を得ることができるのだ」。

 

ほとんどの人が、ドローン技術によって空撮映像を制作するというと、上空何百フィートの高さを飛ぶドローンを思い浮かべるだろう。しかし実際には、最も効果的な空撮映像は100フィート以下の高さから撮影することである。Mojahed氏は、マーケターが製品の多様性やブランド、稼働中のサービス、ビフォーアフターの展示、さらにはスタッフ数をプロモーションするためにドローン技術を活用することを推奨している。これらの戦術はすべて、日に日に視覚化を重視する傾向にある消費者によって成り立っている。

 

空中画像のもう一つの一般的な使用法は、Birds Eye Aerial Drones が「リビングロゴ(人間ロゴ)」と呼ぶものを作成することである。「リビングロゴ」とは、Birds Eye Aerial Drones の独自の用語であるが、企業の従業員が自社ロゴと同じ特定の色のTシャツを着用し、上空からの画像をマーケティング目的で撮影することである。リビングロゴは、150人から数千人の従業員が一緒に撮影することができ、マーケターによるブランドプロモーションに有効なだけでなく、人事採用業務を行う人事部の役にも立つという。

「空撮画像をマーケティングに利用する方法は非常に多岐にわたり、マーケターの創造的な発想次第である」とPainter氏。「リビングロゴは、企業ブランドを後押しすると同時に、素晴らしいチームビルディングイベントとなる。1枚の画像からも、空撮画像には複数の用途があることが如実に示されている」。

 

キャンペーンをサポートするドローンデータ活用法

直接入手した客足に関するドローンデータによって、現在のマーケティングメッセージやグラフィックの評価が下がる場合があるため、マーケターはそれらに対応しキャンペーンを修正する準備をしておく必要がある。ビジネス街では、社交目的で訪れるゲストが予想以上に多いかもしれない。また、夜間の歓楽街には、予想以上に多くの家族連れが集まるかもしれない。ドローン技術活用によって、このような傾向を把握し、確認することができるのである。

 

新しいデモグラフィックが特定されたら、マーケターは広告チャネルを使用して、適切な製品やサービスによってこれらのデモグラフィックにリーチする必要がある。可能であれば、位置情報を使用することによって、よりターゲットを絞り込んだキャンペーンを実行することができるだろう。

「最も効果的なソーシャルメディアキャンペーンを行うためには、ドローンを使用したコンテンツはすべてのプラットフォームで提供されなければならない」と、Swader氏。「適切なタイミングで空撮画像を使用すれば、効果的で収益増加につながる実際の成果を得ることができる」。

 

ドローン技術による空撮画像は、自社製品に馴染みのない新しい消費者の興味を引く可能性のある製品類の広告ビューを迅速に作成するために使用するべきである。マーケターは、単一の製品や価格帯ではなく、それらの製品バラエティや一般的な価格設定のアクセス可能性について伝えることに焦点を当てるべきである。

 

ドローン技術を使ったキャンペーンで、客足が当初の予測よりもはるかに多いことがわかった場合は、少なくともピーク時には、ブランドアンバサダーを現場に配置すべきタイミングかもしれない。これは、フランチャイズ店舗、小売、食料品店、食品・飲料、エンターテイメント・ブランド、さらには、密集した大都市圏でも効果的である。

 

「ドローンマーケティングは、現場からのフィードバックを得て、同じ技術を使って消費者に向けて様々な製品を売り込むことが可能であるために、ROIが向上する」と、Mojahed氏。商業用不動産では、一度に1つの建物しか紹介できないが、多くのマーケッターは、より柔軟にドローンを活用することができる」。

 

ドローンデータのダイナミクス

ドローンマーケティングを導入することで、コンテンツとデモグラフィックの両面で、より多様な広告キャンペーンが可能となる。Swader氏は、中堅・大企業は、距離をとることによって安全が保たれる時代となるであろう2021年の戦略プランの一部として、ドローンマーケティングに直ちに投資すべきであると強く主張している。

「現在の第4四半期にドローン技術を使ったマーケティングを導入すれば、高度なプロセスが確立できるはずである」と、Swader氏。「商業用不動産業界では、結果とコンバージョンを保証することが仕事であり、マーケティングする建物の前に、誰がいるかを知ることがすべてである。これは、すべてのマーケッターが学ぶことができる視点である」と述べる。

 

※当記事は米国メディア「Marketing Land」の10/26公開の記事を翻訳・補足したものです。