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公開日2020/10/16

2020年のホリデーショッピングシーズンもeコマースシフトは顕著に

米国のポピュラー歌手であるAndy Williamsが、彼のシーズンクラシックソング「It’s the Most Wonderful Time of the Year」で歌ったように、年末のホリデーシーズンは 「1年で最も素晴らしい時」であると考えられてきた。しかし2020年は、例年とは程遠い歌が歌われている。パンデミックの第一波の間に閉鎖された多くの企業が、依然として回復に苦戦しているなか、今年末のホリデーシーズンがAndy Williamsの代表曲の歌詞の通りに訪れるかどうかは、まだわからない。

 

在宅勤務や自宅での買い物を余儀なくされたため、長年にわたり発展し、すでに先進的であったeコマース市場の成長は、さらに加速した。その結果、パンデミックによって21世紀のeコマースと小売のケーススタディが生まれたのだ。この先に訪れる今年のホリデーショッピングシーズンには、小売業の異なる未来に向かう次の大きな転換が起こるだろう。

 

ショップからラップトップへ

小売業界では、過去10年の間に、eコマースの影響により実店舗の売上が減少してきたことは、周知の事実である。

例えば、Digital Commerce 360レポートよると、2007年には1,364億ドルだったオンライン消費者支出が、2019年には、77%増となる6,017億5,000万ドルに増加している。

総売上高が急増しただけでなく、小売総売上高に占めるeコマースの割合も増加している。従来型店舗は、まだ競争に完全に負けたわけではないが、オンラインの商品の多様性と購入利便性に対する需要の高まりは、確実に増加している。

 

2020年の第1四半期をみてみよう。パンデミックの影響で、eコマース販売事業者が、記録的販売数を達成するというユニークなシナリオが生まれた。第一波のピーク時には、人口の大部分が自宅隔離を強制され、消費者は自宅のデバイスから買い物をした。2020年の第2四半期に、消費者は、米国の小売業者からのオンライン購入に、2,007億2,000万ドルを支出。これは、2019年の第2四半期の支出額である1,389億6,000万ドルから44.4%の増加となる。

 

今年の小売eコマースの総売上高は、消費者が可処分所得の減少に直面した場合に、どの程度の多額のギフトショッピングをしたいと考えるかに左右されるだろう。なお、買い物のために混雑した空間に出かけることへの不安は、言うまでもないだろう。

 

このような懸念にもかかわらず、顧客関係管理ソリューションを提供するSalesforceは、全世界の小売売上高の最大30%がデジタルチャネルで支出されると予測。一方、プロフェッショナルサービスファームであるDeloitteは、ホリデーシーズンのeコマースの売上高を、2019年の1450億ドルから25~35%の増加となる、1820億ドルから1960億ドルに達すると予測している。

 

留意すべき物流

COVID-19によりeコマースの売上が増加するなか、小売業者は適切に対応するための準備を行うべく、新たに検討しなければならない点がある。それは、サイト構築からラストマイル配送に至るまでの、物流に関する新たな検討事項である。

小売業者が、好機であるホリデーショッピングシーズンに利益を得ようと考えるのであれば、まず既存の小売インフラを見直し、さらに増加する消費者に対応できる準備ができているかを確認することが必須であろう。

 

ここ数年、小売業者は顧客体験を向上させ、拡大する電子商取引の需要に対応するために、多額の投資を行ってきた。Walmart は、Amazonと競合するプラットフォーム上で、迅速な配送とバラエティに富んだ商品を提供可能なインフラ拡張に成功した大型小売企業の一つである。

ほとんどの小売業者は、これらの巨大企業と同じように、eコマースプラットフォームをアップグレードする資金的余裕はない。しかし、注文増加が予想される2020年ホリデーショッピングシーズンに向けて、アップタイムの維持、ページロードタイムの確実な短縮化、消費者保護のためのソリューションを見つけることは、特に重要となる。2020年第2四半期に莫大な収益を上げたShopifyは、eコマースプラットフォームのホワイトラベルのリーダーであり続け、今後数週間においては、多くの事業者にとって頼れる存在となる可能性が高い。

 

オンラインショッピング体験を向上させるために、バーチャルリアリティや自動化プロセスのような目に見えないテクノロジーを検討するeコマース事業者もいるだろう。あるいは、成長を遂げているチャネルであるソーシャル・コマースを利用して、自社製品の販売促進を行うことを検討する場合もあるだろう。

 

物流の配送面では、eコマース販売事業者は配送コストについて熟慮している。特に航空便やラストマイル配送において、配送料が大幅に上昇している。過去 2 年間にわたり、多くの販売事業者がラストマイル配送のアップグレードに時間と費用を費やしてきたが、パンデミックによって、新たなサプライチェーンの課題が提起されている。

 

これまでもラストマイル配送は、フルフィルメント・プロセスの中で最も非効率的な部分と考えられてきた。大幅な需要増加が見込まれる今シーズンにおいては、分断されたサプライチェーンがその需要に対応できるかどうかは疑問である。

 

航空・海上輸送コストは、この夏の間に、数パーセント上昇した。これらのコスト増加を消費者に転嫁することもできるが、買い物客の満足度向上のために、販売事業者が最終的に吸収しなければならないコストとなるかもしれない。

 

2020年ホリデーシーズンの先を見据えて

COVID-19がもたらした課題へのeコマース販売事業者の対応によって、今後の展開が左右される。パンデミックは2021年まで、そして、それ以降も続くかもしれない。そのため、2020年のホリデーショッピングシーズンは、eコマース市場とロジスティックの両面で重要な前例となるだろう。

 

従来型実店舗が、私たちの生活から完全になくなることはないかもしれない。しかし、パンデミックによる社会的規制が長期化することにより、実店舗の終焉に向かうスピードがゆっくりと加速していく可能性もある。

 

COVID-19以前は、eコマースの売上増加に合わせて、実店舗は徐々に衰退していた。パンデミックが続いた場合、オンラインショッピングがあらゆる世代の消費者にとって習慣化され、eコマースが急激に加速し続けるだろう。

 

現在米国では、定期的な食料品の購入でさえ、eコマースの急成長分野となっている。この傾向が続くと、物流もそれに適応させる必要がある。つまり、主として実店舗販売を行う小売業者が保有する不動産を、実店舗から、eコマースのインフラとしての物流センターに移行するべきことを意味する。

 

2020年のホリデーショッピングシーズンに何が起こるかは、その時が来なければわからない。しかしここ数年のeコマースは、パンデミックによって余儀なくされた現状によって、今、より大きな花を咲かせている。

 

進化論を唱えたCharles Darwinの有名な言葉「Survival of the fittest/最適者生存」は、非常によく言い当てている言葉だ。我々が直面している制限によって、eコマースの独占への道が開かれている。そして、変化する物流や消費者の要求に、最も適応できる小売業者こそが、今年のホリデーシーズン、また今後何年にもわたって、業界をリードしていくことになるだろう。

 

※当記事は米国メディア「E-commerce Times」の10/6公開の記事を翻訳・補足したものです。

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