ECサイト構築/通販システム構築・支援を主要事業として手掛けている株式会社エルテックスは、通信販売事業関与者の実態調査、新型コロナウイルス感染症の流行下での「EC/通販事業者の意識」「テレワークなど業務形態の変化による業界情報の収集状況」と「通販事業全般の課題」「困り事・悩み事」などを集計・分析した調査結果の2020年版を発表した。調査期間は2020年6月26日から28日。

 

コロナ対策よりも重視されるシステムの安全性

通信販売事業について、ビジネス上重要と思われるものを複数回答してもらったところ、売り上げの拡大が一番多かったが、新規顧客の獲得は前年よりも下がっていた。一方、前年よりも上昇した項目は、「よく売れる商品の開発」が+8.3%、「売り上げの拡大」が+5.3%、また、本年追加された「新型コロナウイルスなどの感染症対策」に関しては、全体で31.7%が課題と捉えていた。

 

また、今回「通信販売事業の課題」に関する調査項目では「事故が起きない安全なシステム強化」項目のスコアが、前年比で+11.7%の2ケタ増となり、年商別のグラフでは、年商100億円以上の企業の過半数以上がこの項目を選択している。背景として、IPA(情報処理推進機構)がまとめている「情報システムの障害状況一覧」では2019年に報道された情報システム障害が122件あったと報告。2017年の48件、2018年の66件と比較すると高い数値となったことも影響しているかもしれない。

 

さらに年商の規模別でみると特徴的だったのは「事故が起きない安全なシステム」「新型コロナウイルスなどの感染症対策」項目において、年商によって回答の数値が異なる点だった。特に「事故が起きない安全なシステム」では年商100億円以上の事業者が53.6%となっているのに対し、1~10億円未満では35.7%と17.9ポイントの差で、意識の違いが顕著となった。

 

「広告メディアの使い方や広告投下の配分」が前年比+7.3%とスコアが上昇。2016年比では約1.5倍

EC・通販事業の「悩み事・困りごと」の質問項目において前年と大きく差が出たのは「広告メディアの使い方や広告投下の配分」で、前年比+7.3%とスコアが上昇し、2016年の約1.5倍になっている。

一方、新たに追加された「新型コロナウイルスなどの感染対策」の項目は複数回答で15.7ポイント、単一回答で2.0ポイントと低い数値になっており、コロナの影響はEC・通販業界ではビジネス上少ないと考えられる。

 

 

また、同じ質問を単一回答された場合で見ると、「新規客の獲得や集客方法」がここ5年のトレンドで下降傾向となっており、「既存の顧客の満足度の向上」が逆に上昇傾向となっている。

既存の顧客に対し良質の顧客体験の提供が出来るのかが今後引き続き課題になってくる。