欧州では、生鮮食品をオンラインで購入する消費者が増加している。とはいえ、多くの買い物客はいまだにオンラインよりも店舗で購入する割合が高い傾向にある。唯一の例外はUKである。42%が実店舗よりもオンラインでの購入が多いといい、(実店舗よりも)オンラインで購入する割合が低い人は32%とのこと。

 

これは、Amcor社(豪に拠点を置く包装事業の多国籍企業)が実施した、オンラインの生鮮食品ショッピングの変化する状況に関する調査結果から得た知見の一つである。調査は、UKフランスドイツオランダ、そしてスウェーデンのオンラインで食料品を購入する消費者1,000人を対象としたものである。

 

好調なオンライン食品市場

Amcorによる調査は、新型コロナウイルスCovid-19が欧州および世界中に蔓延する前に行われたものだが、それ以前からオンライン食料品産業は好調であった。欧州だけでも、オンライン食料品市場規模は2023年までに66%の成長を遂げると見込まれている。そして、世界的にみると、2024年までに消費者の70%がオンラインで食料品を購入するようになるだろうとNielsen社(米のデータ、情報、測定企業)は予測している。

 

 「欧州のオンライン食料品市場は2023年までに66%の成長見込み」

 

調査では、UKの消費者は、より積極的にオンラインで生鮮食品を購入することが明らかとなった。というのも、多くの人(69%)は、オンラインで店頭と同量もしくはそれ以上の食品を購入している。しかし、その他の国でのオンライン購入の割合は30%にとどまっている。オンラインでより多く購入する一番の理由は、その利便性である。

 

もう一つの重要な発見としては、10人の欧州人のうち6人が、購入前に生鮮品を見て試してみることを好む傾向があるということだ。こうした傾向はとりわけフランス人の買い物客(78%)に強く見られる。そして、ドイツ人の77%はフードロスを避けるために、毎日店で農産物を購入することを好むという。

 

オランダでは食品サブスクリプションが人気

Amcor社はこの調査で、食品サブスクリプション(定期購入)が欧州で人気となりつつあることも明らかにした。特にオランダではその傾向が顕著であり、買い物客は、果物や野菜(36%)、コーヒー(36%)、スナック菓子(34%)のサブスクリプションを利用している。欧州のその他の地域においては、UK、スウェーデン、そしてオランダの回答者の26%がミールキットのサブスクリプションを利用したことがあるとのこと。

 

「欧州人の26%がミールキットのサブスクリプションを利用」

 

回答者の1/3以上が、オンラインで食料品を購入する際にパッケージのリサイクル性を非常に重要視しているという。さらに、13%の回答者は、オンラインでは、パッケージに関する情報が不足していると回答。Amcor社の食品マーケティングディレクターChris Fesen氏は、次のように述べている。

「多くの消費者が未だ鮮度とフードロスについて懸念している。実店舗では、買い物客は肉や乳製品といった商品の鮮度を目で見て確認できるが、宅配ではそれが難しい。ブランド各社は、輸送時に食品の安全と鮮度を維持し、消費者が安心できるようその鮮度を表示したパッケージを選択すべきなのである」。

 

※当記事は、英国メディア「Ecommerce News europe」の4/23公開の記事を翻訳・補足したものです。