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公開日2020/03/06

eコマースにおいてAIを活用するために不可欠なアーキテクチャとはどのようなものか

 

我々は、人工知能がeコマースに革命をもたらすと繰り返し約束されてきた。少し考えてみてほしい。それはあなたの期待に沿っただろうか?

期待に沿っていないのであれば、問題は、サイトに用いたAIテクノロジーではなく、それをサポートするアーキテクチャとデータにある可能性がある。

人工知能を活用する典型的なeコマースシナリオをいくつか考えてみよう。

 

顧客は、eコマースサイトに入り、カテゴリーの検索を始める。サイトは、訪問者が誰であるか、またその他のファクターに基づいて、利益率の高いカテゴリを最初に表示することを決定する。ここで、さらに情報を追加しよう。「顧客はこれまで、常にセール品を購入していた」。サイトは、このことを知っているので、在庫一掃商品と一番のお買い得品を最初に表示することで、クリックして購入させる可能性を最大にする。

 

顧客は、工業用アイテムを販売するサイトに入り、”mold stripping”(moldは「金型」や「カビ」の意/stripは「取り除く」や「剥ぎ取る」の意)という用語で検索を行う。他の検索と同様、サイトは、できる限り多くの関連する結果を表示する(完全性を選ぶ)ことも、正確な答えを推測する(適合率を選ぶ)こともできる。

”mold stripping”とは、噴射成型金型のクリーニングのことを指すのか、湿気のある面から菌やカビを除去することを指すのか、あるいは木型の表面を新しく作り替えることを指すのだろうか?高性能なサイトは、過去に購入したものや過去に行ったその他の検索など、あらゆるコンテキストを考慮に入れ、求められているものが、潤滑剤、化学洗浄剤あるいは研磨剤のいずれであっても、ベストな回答を提供する。

顧客は、サイト内でクリックして、いくつかのお気に入りをカテゴリーに追加した。このサイトは、この行動を購入シグナルとして解釈し、購入を促す。

顧客は、選択したアイテム(フロントガラスを掃除するための布やガラス洗浄剤としよう)を買物かごに追加した。このサイトは、この選択をした他の多くの人々がカーワックスとタイヤクリーナーも購入していることを知っているので、買い物かご分析アルゴリズムがそれらの商品を提案する。

 

AI(人工知能)は、検索、ナビゲーション、予測オファーや買い物かご分析などのすべてのシナリオを強化する。しかし、これらのシナリオには、それ以上の共通点がある。

 

私が行った数多くのテクノロジープロジェクト(成功例と失敗例のいずれも)に対する分析は、これらのようなAIを活用した機能の有効性は、最終的にはデータとアーキテクチャにおける高度な統制に依存していることを示している。しかし、これを認識しているサイト管理者はとても少ない。

 

適切なデータと編成で状況が一変する

eコマースのカスタマーエクスペリエンスは、すべてデータから構成されている。基礎的なデータのクオリティによって、エクスペリエンスのクオリティが決まる。これは、当たり前に聞こえるが、実際には、多くの企業が不十分な商品情報プロセスを有しているのを目にしてきた。

こうした企業は、新商品を投入する際に、適応可能で持続可能な方法で商品情報を管理しない。その結果、散漫で、不完全で、一貫性のないデータによって、最適なエクスペリエンスを提供するAIの能力が損なわれるのだ。

 

インテリジェントなeコマースエクスペリエンスのための燃料は、商品に関する情報と顧客データの2種類のデータから得られる。

まず、「商品」から話を始めよう。数千または数百万の商品のセレクションの管理は、「ディスプレイタクソノミー(表示分類)」と呼ばれる商品階層から始まる。実店舗における商品が、同様の商品を売りにした合理的な通路と棚に従って配置されているように、仮想店舗における商品も、ビジネスの顧客独自のニーズに適した合理的なカテゴリーとクオリティに従って整理される必要がある。

これが、商品のディスプレイタクソノミーであり、実店舗のプラノグラム(店内の商品配置図)が最高のショッピングエクスペリエンスにとって重要であるのと同様、その設計はeコマースサイトにとっても重要である。ディスプレイタクソノミーの差別化は、競争上の優位性の一つである。

顧客がどのように問題を解決しているかを知り、競合他社よりも効果的な方法で商品を配置できれば、ビジネスを維持できるだろう。必要なものを瞬時に、そして簡単に見つけられなければ、顧客は立ち去ってしまうのだ。

 

商品情報管理(Product Information Management / “PIM”)システムは、商品同士の関連性を含め、商品に関する情報を保有している。このシステムは、どの商品が他の商品の付属品であるかや、どの商品が通常一緒に使用されるかを把握している。しかし、このデータは、新商品のオンボーディングプロセスが、そうした関係性を常に含めるほど十分に厳密である場合にのみ有効となる。

私の経験では、PIMにおけるデータやカテゴリーのタクソノミー設計は、多くのテクノロジーマネージャーが見落としている微妙で困難な問題だ。顧客独自のニーズに合わせてタクソノミーを微調整すればするほど、サイトは収益を高めるAIを活用した提案を提供できるようになる。

だが、カスタマイズされたタクソノミーは、厳格な業界標準に抵触することがよくある。それゆえに、タクソノミーの設計と商品のオンボーディングプロセスは、標準化された要素とサイト固有の要素の間の微妙なバランスとなるのだ。

 

課題のもう一つの側面は、「顧客データ」だ。ペルソナ(「初めての訪問者」や「価格に敏感な購入者」など)を使用することで、サイトは、出会うユーザーの多様性を理解できるのだ。設計者は、次に、これらのペルソナを使用して、タクソノミーと顧客エクスペリエンスの決定を行う。

ペルソナは、顧客ロイヤルティ、イライラや価値意識などといったオーディエンスの属性を反映している。よって、これらの属性に基づいてテストすることで、サイト設計において、異なるニーズを有する特定のタイプの顧客に対するアプローチを改善することができるのだ。

 

eコマースにおけるAIをサポートするデータには、思いもよらない別の課題がある。それは用語だ。複数のオーディエンスにサービスを提供する場合、同じ用語には複数の意味とコンテキストがある(”mold stripping”の例を覚えているだろうか?)。用語の標準化は、商品のタクソノミーとオーディエンスデータを使用可能かつ効果的なものとするための不可欠な要素なのだ。

 

AIを活用したカスタマイズドサイトの実際の開発方法

サイトのカスタマイズに自動化は付き物であるが、私の経験では、設計は、常に非常に人間的で、ほとんど職人的な決定から始まる。対象顧客を知るマーケティングスペシャリストが、どのメッセージやメッセージの一部が共感を呼ぶ可能性が高いかを判断するところから始まって、そして一連の手作りのバリエーションを反復してテストを行う。

そして、職人が手作業の知識を駆使して他の人間と関わるものを制作するかのように、スペシャリストはメッセージを手作りし、バリエーションを試す。マーケターは、他のバリエーションを試し、他のいずれのアイテムがうまく作用し、どのアイテムがうまく作用しないかを知得する。

AIベースのアルゴリズムが、可能性のあるバリエーションを試行し、進行中のテストプロセスと継続的な改善に基づいた組み合わせを最適化するため、最終的には機械学習が機能するのだ。

 

eコマースで最高のパワーAIを実現するためにデータハウスを取得する方法

AIツールが、約束されたエクスペリエンスを実際に提供していることをどのように確認できるだろうか?多数のプロジェクトの共通点をレビューし、AIが実際に動作するデータが、より良く、より高収率のエクスペリエンスを確実に実現できるようにするために注力する重要な領域を見出した:

 

・適切なコンテンツアーキテクチャの構築

これには、商品とサポートコンテンツに関するメタデータ(あるデータが付随して持つそのデータ自身についての付加的なデータ)モデルの定義、語彙と用語の管理、そして最も重要な点として、コンテンツアーキテクチャがカスタマーエクスペリエンスをサポートしていることの確認が含まれる。それは、サイト訪問者が最も頻繁に行うタスクをサポートするために特別に設計された、商品タクソノミーを作成することを意味する。そのようなアーキテクチャは、動的に生成されるカスタマーエクスペリエンスをサポートし、抱き合わせ販売を可能にする。

 

・商品の市場投入に関する、サプライヤ向けの厳格なルールの作成

調達契約の要件を用いて、サプライヤに利用可能な商品メタデータの目録を確実に提供させ、データモデルがマーチャンダイジング要件に合致しているかを検証するのだ。その基本データは、顧客のニーズや好みに基づいた独自の属性で強化することができる。プロダクトマネージャーが、サイトのカスタマイズを可能にするために必要なコンテンツとデータを入手していること、そして商品データが完全で一貫していることを確認しよう。サイトのカスタマイズや顧客が選択を行えるようにするために最も役立つ方法で商品属性を設計するのだ。

 

・コンテンツオペレーションの監査

コンテンツインジェスチョン(取込み・加工)と自動化されたコンテンツのタグ付けに関するワークフローを定義しよう。商品のコンテンツを変更する必要がある場合は、変更するためのワークフローが定義されていることを確認すること。コンテンツの権利を管理・尊重し、プロモーションのライフサイクルを追跡するシステムを設計するのだ。

 

・サイトのカスタマイズのためのデジタルアセットの管理

これには、仕様書と、場合によってはエンジニアリング図面やパンフレットが利用可能であること、また、アセットが、適切なコンテンツアーキテクチャを通じて修正と再利用が容易にできるよう管理されていることの確認が含まれる。

 

・パーソナライズ戦略の改善

バイヤーのニーズとペルソナを書面化し、それらのペルソナに基づいてパーソナライズしたコンテンツに合わせたタスクと目標を作成する。理想的には、コンテンツは、訪問者の行動に基づいて動的に組み立てられるべきである。

 

・オムニチャネルエクスペリエンスの最適化

店舗のプロモーションが、オンラインプロモーションと一致していること、そして顧客が、サイトからの情報に基づいて店舗の在庫を認識し、検索できることを確認しよう。携帯、パソコンや店舗など、デバイスをまたいだクロスデバイス・エクスペリエンスをテストして、エクスペリエンスの不具合が発生する場所を特定するのだ。

 

・サイトの有効性改善のための分析

コンテンツパフォーマンス指標は、ガバナンスプロセスに組み込まれる必要があり、サイトは、検索の有効性と訪問者が購入せずに立ち去る可能性を継続的に測定する必要がある。

 

これらのタスクは、いずれも簡単ではない。実際、それらの進捗状況によって、AI準備に向けたサイトの完成度が決まる。これらの課題の進捗状況を監査し、それらを改善するための計画を立てることは、到来する人工知能の進歩を効果的に活用するための将来的なサイト改善に大いに役立つだろう。

ここは、多くの努力を集中すべきところだ。脆弱で、一貫性のないコンテンツやデータアーキテクチャにAI搭載のモジュールを追加することは、長期的にはコストがかかる。データについてもっと考え、余計なものについては考えないように。そうすれば、将来のテクノロジーに向けたサイトを準備するための道が開けるだろう。

 

※当記事は米国メディア「E-Commerce Times」の2/25公開の記事を翻訳・補足したものです。

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