企業は、自社広告がタイムリーに承認されるように、許可されているコンテンツと、禁止または制限付きコンテンツを共に把握しておく必要がある。当記事は、米国メディア「Marketing Land」が、禁止または制限付きの広告をまとめた早見表である。

 

広告キャンペーン管理を成功させるためには、ソーシャル広告および検索広告全般において、禁止されている広告コンテンツの種類と、どのような制限が課されているかを理解することも必要だ。ほとんどの禁止コンテンツ(偽造品、違法商品およびサービスなど)と制限付きコンテンツ(政治関連広告、アルコールなど)は、各プラットフォームが順次、同じような基準に従っているが、一方で、事業者ごとに独自のルールを設定している場合もある。

 

ごく短期間での広告キャンペーンの立ち上げと実行を頻繁に担当するマーケティング担当者が、広告フィルタを設定し、承認を待つソーシャルメディア広告マネージャーの代わりに、どの広告コンテンツが自動システムでブロックされる可能性があるかを把握することは、極めて重要である。

 

すべてのソーシャル広告プラットフォームおよび検索広告プラットフォームでは、禁止広告についての標準ルールが適用されている。つまり、偽造品やタバコ、違法な商品またはサービスの宣伝の禁止だ。また、商標や著作権の侵害、詐欺および不正行為を含むプロモーションの禁止である。しかし、制限広告コンテンツ(広告掲載は可能であるが、特定の制限を受けるコンテンツ)は、プラットフォームごとに少し異なっている。準拠しやすいルールを設定している、もしくは、過度に詳細に触れることを回避しているプラットフォームもあれば、非常に具体的に規定しているプラットフォームもある。以下のリストは、マーケティング担当者向けに、各プラットフォームの禁止および制限付き広告に関するガイドラインについての一般的な概念を提供するとともに、サイトごとの独自のポリシーを紹介している。

 

FacebookとInstagram

Facebook社が提供する全てのアプリにおける禁止広告コンテンツは、同社の基準に準じている。違法な製品やサービス、タバコ製品、銃器、武器を宣伝する広告は禁止されており、また、監視機器に関する広告や、サードパーティの権利を侵害する広告コンテンツ(著作権、商標権、プライバシー権、パブリシティ権、その他の個人的権利または所有権を侵害する広告)も禁止している。

ただし、留意すべきトピックがいくつかある。たとえば、Facebook社は、機能していないランディングページ(これには「利用者がページから離れられなくするランディングページも含まれる」)にリンクする広告を許可していない。給料日ローン、給料前のキャッシング、保釈保証サービスの広告も禁止されている。そして、その規定設定のきっかけとなった特定の事例があったのかどうか疑問に思う禁止項目も存在する。たとえばFacebookは、人体の一部の販売についての広告を禁止する、といったルールである。

制限コンテンツとしては、オンラインデートサービスの宣伝を希望する広告主は、政治等の関連広告、暗号通貨商品およびサービス広告などと同様に、広告出稿前にFacebook社から許可を得る必要がある。ギャンブルや自治体宝くじ、OTC薬(市販薬)、オンライン薬局に関するプロモーションも制限を受ける。

米国の薬物およびアルコール中毒治療プログラムが、Facebookプラットフォームにおける広告掲載を申請するためには、事前にLegitScript(オンライン薬局を対象とした検証および監視機関)によって認証される必要がある。また、減量商品と減量プログラムの広告は、ターゲットを18歳以上のユーザーとしなければならない。

 

 

GoogleとYouTube

Googleは最近になって、コンテンツポリシーを簡素化および標準化する取組みを行っている。実際には、許可広告と禁止広告に関するルールの変更、または更新はなされていない。しかし、その代わりに、AdSense(コンテンツ連動型広告配信サービス)、AdMob(アプリの収益化、ユーザー分析、メディエーションをサポートするツール)、Ad Manager(統合型広告管理プラットフォーム)におけるコンテンツポリシーと制限事項の提示方法を再編成した。

「パブリッシャーから継続的に寄せられるフィードバックの1つに、『容易に理解、そして準拠できるように、広告商品全体におけるポリシーをさらに簡素化して欲しい』という要望があった」と、Googleサステイナブル広告部門のディレクターであるScott Spencer氏はInside AdSenseのブログで述べている

Googleの禁止および制限付き広告ポリシーは一般的な禁止および制限項目の概要を示している。その禁止広告コンテンツは、次のとおりである。

  • 偽造品
  • 危険な商品やサービス
  • 不正行為を助長する広告
  • 不適切なコンテンツ

またGoogleは、禁止行為を別途規定している。それは、広告ネットワークの不正利用、不実表示、データの収集および使用だ(「Googleの広告パートナーは、ユーザー情報を不正使用する、または目的を明らかにせず、適切な安全対策を取らずに収集することはできない」)。

Googleの制限付き広告コンテンツのリストは、より包括的であり、前述の「人体の一部の販売」についての広告といった不可解な規定項目はなく、一般的な範囲に留まっている。Googleの制限付きコンテンツ広告ポリシーには以下の項目が含まれている。

  • アダルトコンテンツ
  • アルコール
  • 著作権
  • ギャンブル、ゲーム
  • ヘルスケア、医薬品
  • 政治に関するコンテンツ
  • 金融サービス
  • 商標
  • 法的要件(すべての広告は、広告が掲載される地域に適用される法律と規制に準拠する必要がある)

Googleは、広告ポリシーの大部分を高水準に維持している。これは、Googleが許可されている広告とそうでないものをケースバイケースで決定できる、より強固な権限を保持するための戦術である。

 

 

Twitter

Twitterの禁止および制限付き広告リストは、ほぼ間違いなく、最も簡単に準拠できるものであろう。Twitterでの禁止広告は、ごく一般的なものである。また、その制限付き広告ポリシーは、ソーシャル広告全体に適用される標準ルールと同じである。

Twitterの広告ポリシーにおいて、他のプラットフォームと異なるのは、マルウェア商品(悪意のある不正ソフトウェアなど)の広告の禁止と、ソフトウェアダウンロードのプロモーションに関する制限があることを明示している点である。

留意すべきは、ここにリストされている各プラットフォームの広告コンテンツポリシーは、あくまでも現時点のものであるという点である。ソーシャルプラットフォームには、広告コンテンツポリシーを定期的に変更してきた歴史がある。過去1年半において、政治広告関連の変更が最も顕著であった。また、Facebookは、仮想通貨広告に関するルールを繰り返し変更している。2018年1月に一度全面禁止としたが、その6か月後には、ポリシーを元に戻している。また、同社は昨年までは、武器アクセサリー広告の18歳以上のユーザーに対する広告ターゲティングの制限をしていなかった。

 

 

LinkedIn

LinkedIn(世界最大級のビジネス特化型SNS)は、Microsoftが所有するプラットフォームであるが、禁止および制限付き広告に関するポリシーは、MicrosoftおよびBingで設定されているルールとは異なるものである。一般的な禁止コンテンツに加えて、LinkedInの禁止広告リストには興味深い項目がいくつか存在する。たとえば、このサイトでは、ダウンロード可能な着メロやオカルト商材(「占い、夢分析、個別の占星術の広告は、本格的な分析ではなく娯楽に重点が置かれている場合は配信可能」)の広告は許可されていないという点だ。

また、LinkedInは、政治的広告に関する制限措置を講じる代わりに、親会社であるMicrosoftと同様に、全ての政治広告コンテンツを禁止。また、政治候補者に対する賛成・反対、または提案投票についての宣伝も禁止している。

LinkedInの制限付き広告コンテンツには次のものが含まれる。

  • アルコール
  • 動物製品
  • 出会い系サービス
  • 資金募集
  • 医療機器
  • 短期融資および金融サービス

LinkedInの広告ポリシーに関する注意事項の1つは、同社が”良識を欠く広告”の禁止をうたっている点である。「たとえば、悪意に満ちた広告や、下品、性的に挑発的または暴力的な広告は認められないことを意味する。特別な場合においては、LinkedInは、新しい法律を反映し、または、同社の立場を明確にするためにポリシーを更新した結果、一度承認された広告について、適切ではなくなったと判断することもある」。

 

 

Microsoft(Bing)

Bing検索広告のルールを含むMicrosoftの禁止および制限付き広告ポリシーは、理解しにくく、従うのが難しい。Microsoftは、「Restricted and disallowed content policies(制限付きおよび禁止コンテンツポリシー)」において、1ページにわたるリストを公開している。しかし、そのページ内には「Disallowed Content Policies(禁止コンテンツポリシー)」と「Disallowed and restricted products and services policies(禁止および制限付き商品およびサービスポリシー)」の詳細ページへのリンクが貼られている。

Microsoftは、全ての選挙関連コンテンツ、政党、候補者、および投票法案を宣伝するコンテンツを禁止。また、政治候補者、政党、PAC(政治活動委員会)、および投票法案に対する資金集め活動を宣伝する広告も禁止している。

他プラットフォームと同様、Microsoftは自社プラットフォーム上での武器の宣伝を許可していない。武器には、銃器と弾薬だけでなく、ナイフも含まれる。「武器と位置付けられているナイフ、もしくは、またはスイッチブレードナイフ、偽装ナイフ、バックルナイフ、口紅ケース型ナイフ、エアゲージナイフ、ナックルナイフ、筆記用ペン型ナイフなどの主な用途が暴力的であるとされるナイフを含む」。

また、Microsoftはブラジル、インド、ベトナムにおいて、粉ミルク、哺乳瓶、ゴム製乳首、またはあらゆる種類の離乳食などの乳児向け製品を宣伝する広告を許可していない。

マイクロソフトの禁止広告と、制限付きで掲載可能な広告を明確に理解するためには、広告主は、「Disallowed Content Policies(禁止コンテンツポリシー)」ページではなく、同社の特定のルールを概説する「Restricted and disallowed content policies(制限付きおよび禁止コンテンツポリシー)」を確認する必要がある。

 

 

Snapchat

Snapchat(スマートフォン向け写真共有アプリ)の禁止広告は、一般的な項目であるが、若年層のオーディエンスに向けて規定していると考えられる項目も見受けられる。たとえばSnapchatでは、「運転中のSnap撮影、またはその他の危険な行動を奨励する広告」は禁止されている。

また、「ユーザーに衝撃を与える」ことを目的とした広告は禁止され、ユーザーのデバイスの公式アプリストア以外のソースからのアプリインストールを宣伝する広告は許可されていない。その他の禁止広告には、次のようなプロモーションが含まれる。

  • 権利侵害コンテンツ
  • 詐欺的なコンテンツ
  • 憎悪あるまたは差別的コンテンツ
  • 不適切なコンテンツ

Snapchatでは、アルコールに関する広告は制限付きであり、アルコール広告を掲載できない18か国のリストが公開されている。アルコールに関する広告が許可されている国で実施されるアルコール広告キャンペーンでも、特に未成年者にアピールするものや、アルコール飲料の過剰摂取を奨励するものは認められていない。また、アルコールを美化する、または、「アルコール消費の影響を誤って伝えること」は禁止されている。アルコール関連広告主はさらに、「飲酒には責任を持つ」などの警告ラベルを広告内コピーに表示する必要がある。

アルコールの宣伝は、広告が掲載される国の法定飲酒年齢の要件を満たすユーザーをターゲットとしなければならない。ギャンブルや宝くじ関連広告についても同様であり、ギャンブルの法定年齢要件を満たすユーザーをターゲットにする必要がある。

Snapchatは、Redditと同様に出会い系サービスの広告を許可しているが、18歳以上のユーザーをターゲットとしなければならず、挑発的で過度に性的なコンテンツや売春に関する言及を含むことはできない。また、Snapchatでは不倫を奨励する広告は禁止されている。

Snapchatの制限付き広告ポリシーの多くの項目は、国によって異なる。たとえば、ブラジル、イラク、イタリア、ポーランド、ロシアを含む14か国でのみ、宝くじ関連広告の掲載が許可されているが、米国のSnaochatではこれが禁止されている。また、バーレーン、エジプト、クウェート、オマーン、カタール、サウジアラビア、アラブ首長国連邦へ向けた、オンラインデートサービス広告は許可されていない。広告主は、コロンビア、イラク、レバノン、ルーマニア、スペイン、トルコをターゲットとした市販医薬品の広告を掲載できず、また、バーレーン、アイルランド、クウェート、レバノン、モナコ、オマーン、ポーランド、カタールに向けたコンドームの広告も禁止されている。

つまり、多様な国において、複数のブランドの複数の広告キャンペーンを実行している広告主は、Snapchatの広告制限ポリシーページをブックマークする必要があるということである。

 

 

Pinterest

Pinterest(写真共有ウェブサイト)の禁止広告コンテンツガイドラインは、標準的なテーマに従っている。禁止広告は次のとおりである。

  • 薬物や薬物に関連する道具
  • 絶滅危惧種と生きている動物
  • 違法商品およびサービス
  • 偽造品
  • センシティブなコンテンツ
  • タバコ
  • 悪徳商法
  • 武器と爆発物

Pinterestによる「センシティブなコンテンツ」の定義は、意見が分かれるような、または、不快にさせるようなコンテンツを指す。たとえば、攻撃的または卑俗、過度に暴力的または残虐的、下品または不愉快、または政治的、文化的または人種的に意見が別れるような無神経な言語または画像である。また、物議を醸すような、または、悲劇的な出来事に関するコンテンツや、センシティブな健康状態や病状に言及したコンテンツも許可していない。

Pinterestでは、同社プラットフォームの広告内での「アダルトコンテンツとヌードコンテンツ」も禁止。また、クリックベイト(オンライン広告やソーシャルメディアにおいて、ユーザーの興味をひいてクリックさせるため意図的にページの内容とは関連性の乏しい、あるいは、全く関係ない記事タイトルを掲げる手法)を含む広告も禁止。そして、LinkedInと同様に、政治キャンペーン広告も禁止している。

Pinterestは制限付きコンテンツについて、何を承認するのか、もしくは承認しないのかについての詳細なアウトラインを提供し、制限付き広告コンテンツのリストをシンプルにしている。たとえば、コンテスト、懸賞、Pinterestのインセンティブの広告には、制限が課せられている。広告主は、ユーザーに特定画像の保存を要求するなど、いかなる方法においても、Pinterestがプロモーションのスポンサーや協賛者であると示唆しないことなどが求められている。また、広告主は「金銭、賞品、または割引を目的として、Pinterestボタンをクリックさせる」ことによりプロモーションを行うことは禁止であることを明確に示している。

以下は、Pinterestのその他の制限付き広告コンテンツである。

  • アルコール類
  • 金融製品およびサービス(仮想通貨およびペイデイローンの宣伝広告は禁止されている)
  • ギャンブル製品とサービス(宝くじ、ギャンブルゲームアプリ、ギャンブルウェブサイトの広告は禁止)
  • ヘルスケア製品およびサービス

Pinterestでは、ヘルスケア関連の広告に関して、眼鏡やコンタクトレンズ、クラスIおよびIIの医療機器、OTC(一般用医薬品)、非処方薬などの商品を宣伝する広告を許可している。しかし、体重減少や食欲抑制ピルやサプリメント広告、非現実的な美容効果をうたうプロモーションは、許可されていない。

 

 

Reddit

Reddit(英語圏掲示板サービス)は、禁止および制限付き広告リストにおいて、他のソーシャルプラットフォームと同様の措置を講じている。禁止広告には、偽造品、危険な商品またはサービス、違法または詐欺的な商品またはサービス、および、さらに多数の標準的なポリシーと同じ項目が含まれている。また、広告主による不適切なターゲティングの禁止を具体的に示している。同社は、「全てのターゲティングは、関連性があり、適切で、広告主の関連法的義務を遵守していなければならない」と明示している。

Redditは、依存症治療センターとサービスの広告を許可していない。また、政治問題、選挙、または米国外の候補者に関連する広告は禁止されている。そして 、保釈金ローン、ペイデイローン、債務支援プログラム、仮想通貨ウォレット、クレジットカード、デビットカード、「手っ取り早くお金持ちになる方法」などの、禁止する金融サービスと商品のリストを示している」。

ギャンブル関連サービスを宣伝したい広告主は、Redditによる手動での承認および認定手続きが必要。「承認されるためには、広告主はRedditの営業担当者と積極的に協力することが不可欠である」とのことだ。Rabbitのいうギャンプル関連広告には、無価値なものしか交換しないゲームプロモーション、ギャンブル関連商品、または、ホテルの宣伝にフォーカスしたホテルカジノの広告は含まれない。

Redditは、出会い系のサイト、アプリ、サービスの広告を許可するが、不倫やフェチコミュニティに関する全ての広告、または特定の人種、性別、宗教、政治的信条の人を除外する差別的な全ての広告を禁止している。

 

 

Marketing Landは、各プラットフォームの広告ポリシーが変更される際には、確実にリストを更新する予定であるとのこと。

 

※当記事は米国メディア「Marketing Land」の9/16公開の記事を翻訳・補足したものです。