最近実施された調査によると、インフルエンサーの77%が女性であるが、投稿1件あたりの報酬は、男性インフルエンサーよりも108ドル少ないという。

 

インフルエンサーコミュニティは、女性が独占している数少ないビジネス分野の1つである。旅行やファッション、テクノロジー、食べ物、娯楽など、すべての業界においてインフルエンサーの総数の77%を女性が占めている。こうした女性が支配するインフルエンサー業界において、女性は男性と同等の報酬を得ていると考えられているかもしれない。しかし、実際はそうではない。インフルエンサー・マーケティング・プラットフォームを提供するKlearレポートによると、女性はソーシャルメディア投稿1件あたり平均351ドル、男性は平均459ドルの報酬を得ているというのだ。

 

最も報酬格差があるYouTube

KlearのCOO兼共同創設者であるGuy Avigdor氏は、次のように述べている。「チャネル別にデータをセグメント化すると、YouTubeにおける男女の報酬格差が最も大きいことがわかった。全体的にみると、調査対象の全プラットフォームにおける男女間の報酬格差は33%であったが、YouTubeではそれより5%高い、38%であった。

 

Klearは、2018年の1年間にわたり、Instagram、Facebook、YouTubeにおいて、2,500人以上のインフルエンサーを分析。その結果、唯一、女性インフルエンサーが男性よりも多く稼いでいる業界を発見した。それは、旅行業界である。旅行業界では、男性インフルエンサーの投稿1件あたり平均570ドルの報酬に対し、女性は615ドルを稼いでいる。(皮肉なことに、今回の調査対象となった全ての業界の中で、旅行業界は男性インフルエンサーの割合が最も高く、39%であった。)

 

ブランデッドコンテンツを投稿するインフルエンサーの総数の88%を女性が占めているライフスタイル業界では、女性の報酬は、投稿1件につき、男性よりも200ドルも低い。Klearのデータによると、女性ライフスタイル分野のインフルエンサーは、男性1人あたり672ドルに対し、投稿1件あたり466ドルしか稼いでいないという。

 

男性と女性間の最大の報酬格差が生じる業界では、男性が女性よりも投稿1件あたり200ドル高い報酬を得ている。しかし、旅行業界のように女性の報酬が上回る場合、その格差は投稿1件あたり50ドル未満であった。

 

困難なインフルエンサー報酬レートの設定

「インフルエンサーとして仕事をしている時は、ただ、ソーシャルメディアプラットフォームで報酬を得ることに満足していて、報酬格差に気付いていなかった」と、ライフスタイル・インフルエンサーとして活躍しているビジュアルアーティストCiara Kleva氏は言及。「コラボレーションやパートナーシップの可能性について交渉している時、しばしば、企業のマーケティング予算内に収めるために自分の報酬レートを下げ、条件の多くを譲らなければならないというプレッシャーを感じることがある」。

Kleva氏は、自分が不当な使いを受けたと感じるほとんどの場合は、交渉を中断すると語った。

 

その成果と影響力の測定方法について、限定的なコンセンサスしか存在しないため、適切なインフルエンサー報酬レートを取り決めることは特に難しいと、Avigdor氏は指摘する。

「交渉の際に、ブランドが報酬算出基準としてインフルエンサーのフォロワー数を参照する場合もある。しかし我々は、実際には、フォロワー数と露出の間の相関関係は存在しないことを発見した」と、同氏。(Klearでは、インフルエンサーのエンゲージメントと影響力を測定するための様々なパラメータを分析した「Klear Score」を評価基準として使用している。)

 

また、インフルエンサーマーケティング会社TakumiのCEOであるAdam Williams氏によると、同社では、インフルエンサーの報酬レートを性別によって区別していないという。常に男女共に公正な割合で採用し、質の高いサービスの提供を目指していると語った。

Williams氏は、次のように述べた。「我が社のこのような取組みは、広告主やクリエイターに、キャンペーンに対する報酬が、公平かつ性別による偏見なしに設定されているという安心感を与えることを目的としている。公正なバランスをとる責任は、最終的には、企業、エージェンシー、プラットフォームにある」。

 

報酬以外の性差別

Kleva氏は、インフルエンサーコミュニティ内の女性に対する不平等の問題は、報酬格差というよりは、「どのように女性がインフルエンサーとして活動することが期待されているか」という点に起因していると指摘する。

「女性がソーシャルメディアで多額の報酬を稼ぐためには、できるだけ肌の露出をするよう、すべての投稿において少なくともできる限りの性的アピールをする必要があるという現状は、絶対に間違っていると感じる」と、同氏。

 

実際に、性的アピールが強い投稿を行うことによってインフルエンサーとして報酬を得ていたKleva氏。こうした投稿を行ったことにより、深みにはまり、自身の人生は大きく影響を受けたと語っている。

「すべての宣伝ポストで、ビキニを着用して踊ることが、高い報酬を得るビジネス活動だと言い聞かせ、自分の気持ちを楽にしていた。男性は、ハッシュタグ「#motivation」を付けて、BMWの隣に立つ自分を投稿することができる。ところが、私は、ハッシュタグ「#inspiration」を付けて、プロテイン製品の隣で前かがみの姿勢を投稿することを要求された。これが、インフルエンサーの男女差別の現状である」とKleva氏は語る。

同氏は、女性が、インフルエンサー業界全体の潜在的な性差別について、警笛を鳴らすことを望んでいる。「女性は、自分たちのプラットフォームを取り戻し、自分たち声を発信すべきだ」。

 

求められる変化

報酬格差の原因についてWilliams氏は、女性の報酬が男性より8〜10%少ないとされる美容市場などの複数の業界においては、単に男性に対する需要が女性より高いだけであると説明した。

「複数の専門家が、需要の高い男性インフルエンサーの報酬の上昇については、市場における女性インフルエンサーの飽和状態が原因であると指摘している」と同氏。

 

しかし、この説明は、ほとんどの女性にとっては受け入れ難いものである。なぜなら、ソーシャルメディア・インフルエンサーが問題になるずっと以前から、全て業界の企業文化において、男女間の賃金格差は体系的な問題となっているからである。報酬プラットフォームであるPayScaleが発表したThe 2019 State of Gender Pay Gapの報告書では、男性の1ドルの稼ぎに対して、女性は依然として、わずか0.79ドルしか稼いでいない。

 

PayScaleの報告書では、次のように示されている。「この数値は、未調整の、つまり性別による“実際の”賃金格差を表している。つまり、仕事の種類や勤続年数にかかわらず、すべての男女の給与の平均値ということである。男性の給与は、女性の平均給与よりも約21%高いのだ」。

 

女性のインフルエンサーが、男性が1ドルの報酬に対して、 0.77ドルの報酬を得ているというKlearのレポートは、広範囲にわたる業界と職種の賃金を調査したPayScaleの調査結果を反映しているといえよう。しかし、PayScaleが「調整された男女間給与格差」の調査、つまり、役職、長年の経験、業界などの要素を考慮に入れた調査を実施した場合、給与ギャップは0.02ドルに縮小した。

「同じ雇用特性を持つ男女が同様の仕事をする場合、女性は男性が稼ぐ1ドルに対して、0.98ドルを稼いでいる」とPayScaleは提示。「言いかえれば、ある男性と全く同じ能力があり、同じ仕事をする女性が、その男性よりも2%少ない報酬しか得ていないということである」。

 

あなたが女性インフルエンサーでないとしても、報酬が同等の担当者の男性よりも約23%少なく、さらに、クライアントを喜ばせる対象となることを要求される可能性があるということは、残念なことである。しかしこれは、女性が先導している業界においてでさえ、依然として起きており、同等の仕事に対して女性が男性より少ない報酬しか得られないという古くからの不平等さに悩まされている実態がある。これは、変えていかなければいけないことである。

 

※当記事は、米国メディア「Marketing Land」の6/6公開の記事を翻訳・補足したものです。