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物流・決済・業務
2018/12/03

ECサイト運営において避けることが出来ないEC物流の「今」と「これから」

ECサイト運営において避けることが出来ないEC物流の「今」と「これから」

 

物流業務は、ECをやる上で避けては通れない業務だ。しかしモノを売ることに比重を置きすぎて、物流に対する改善についてはあまり気に留めていない事業者が多いのではないだろうか。ECサイトの立ち上げや決済等さまざまなステップが簡略されていく中、物流だけは未だ開発が進まず、取り残されている感が否めない。そこで今回は、今のEC物流の課題と物流業務の効率化に向けた考え方、更にはEC物流の今後について考えていく。

 

※この記事は、クラウド型物流システム「オープンロジ」を展開する株式会社オープンロジの代表取締役CEO伊藤秀嗣氏からお話を伺い作成した、EC物流の課題と未来について考察した記事である。ここで紹介する事例を含むオープンロジに関する資料は以下からダウンロード下さい。

 

 

課題が先送りにされてしまいがちな物流環境

 

無料のネットショップ作成サービスが次々と誕生し、ID決済サービスによって決済における手間が省けるなど、ECのサイト運営はここ数年で格段に簡略化された。その一方で、モノが売れた際に必ず必要となる物流においては、長年画期的なサービスが生まれてこなかった。EC運営は常に進化し続けているにも関わらず、物流面は放置され、長い間効率化という部分にはメスを入れられずに来たのだ。そのため、これだけITが発達した時代にも関わらず、物流業務はマンパワーに頼っている部分が多く、問題は山積みと言えるだろう。規模の大きい企業でさえ、出荷作業や在庫管理を自分たちで担っているところが多く、売上に繋がる本質的な業務に専念できずにいる。慣れない梱包作業に追われ、こんなはずじゃなかったと悶々としているEC事業者も多いのではないだろうか。このような問題を受け、2000年代以降は3PL(サードパーティー・ロジスティクス)と呼ばれる物流機能の外部委託が伸びているが、まだまだ自社で物流をまかなっている企業も多い。

そこで、中小規模のEC事業者が物流業務運用を行う上で、よく見られる課題を整理していく。

 

料金

EC事業者目線に立ったときの物流における最大の課題は、倉庫会社の設定する料金が不透明であるということだろう。物流は、価格があるようでない相対取引だ。料金設定や契約は実にアナログで、まずはEC業者が倉庫会社に問い合わせをして、在庫量や出荷件数を元に、見積もりを出すところから始まる。荷主の扱う商品によって倉庫側の負担が変わってくるため、料金を一律にするとやりづらく、そもそも標準化するという発想がない。

 

倉庫スペース

仮に自社で物流を行いながら事業を拡大していこうとすると、最初は現状の売上規模で考え最小限のスペースで立ち上げるか、自分たちの成長計画に合わせて大きめの保管倉庫を借りる、のいずれかになるであろう。しかし、あっという間にスペースが足りなくなったにもかかわらず簡単に増床できずに、非効率な運用を強いられたり、またはその逆で、将来を見据えて大きめに確保したスペースは、計画通りにいかない場合、借り続けてコストだけがかさんでしまうといった状況を生んでいることも多い。

 

人的リソース

倉庫業務を行うための人件費が思ったよりかかることも課題だ。そもそも、都市部から離れた倉庫での業務は人が集まりにくい。たとえ人が集まったとしても、昼食場所や送迎手段等を整備しなくてはならず、想定以上にコストがかかってしまうことも多い。

 

物量

中小のEC事業者においては、なかなか倉庫契約を結べないという問題もある。業務を受託する倉庫側は、ほとんどの場合、入庫数や発送件数、そして在庫数に対して料金を設定することが多いのだが、中小企業の業務は物量の規模がまとまっていないため、受ける側の倉庫会社も積極的にやりたがらなかったり、料金が高く設定されてしまうといった現状もある。この問題は、出荷件数につながることで、配送業者との契約においても生じてくる課題でもある。

 

商品在庫管理

物流業務においては、在庫管理もEC業者を悩ます問題と言えるだろう。中小企業ほど在庫に対するリテラシーが低く、在庫回転率や在庫日数等を考えずに「勘」で発注して、余剰在庫や過剰在庫が発生してしまうことも多い。中には2年間分ぐらいの在庫を持つEC事業者もいて、処分に踏み切れないため倉庫の保管料だけを支払い続けてしまう状況が続く。機会損失を最優先し、それを防ぎたいがために過剰在庫を持ってしまうが、在庫は劣化によって売れなくなる上、廃棄処理料もかかるなど、いいことがない。

 

システム

物流業務を自社でまかないすべてを効率良く回そうとすると、現場の作業をシステム化するのが一番だが、それは技術的にもコスト的にも難しい。物流はどうしても投資の優先順位が低くなってしまうため、結果的に使いにくいシステムが残り続けてしまうのだ。EC事業者と倉庫会社のやり取りは、主に電話やメール、CSV、共有サーバーなどで行われており、日々何千件という案件に対応しなければいけない倉庫会社にとっては負担となる。予定にない商品の入荷などは日々発生するが、そういった時こそシステマチックに処理すれば済むわけで、履歴を調べるにも手間がかかるアナログなやり方はそぐわない。こうして本来時間をかけなくても良いところに無駄な時間が費やされているのが、EC物流の現状の課題と言えるだろう。

 

 

クラウド型物流サービスの登場

 

そんな物流におけるさまざまな課題を解決すべく、2010年代になって新しい概念のサービスとしてクラウド型のWMS(倉庫管理システム)を利用した物流サービスを提供する企業が登場してきた。

 

<参考>

【徹底解剖】EC物流を根底から覆す!全11のクラウド型物流サービスとその選び方

 

自社で物流アウトソーシングサービスを提供してきた企業、もしくは既存のWMS企業がスタートさせたサービスだ。彼らはEC事業者と倉庫会社の間に立ち、双方にとって使いやすいシステムを開発。国内外の倉庫会社と連携し、使用されていない倉庫のスペースを活用して、中小事業者でも簡単に物流業務をアウトソースできるというシステムを構築してきた。

クラウド型物流サービスで使用されるWMSは、極めてシンプルな操作のため、物流の知識のない人でも利用できるようになっている。また、料金も月額固定料金+従量制で利用できるものもあり、事業者にとっては、非常に分かりやすいものとして考えられるようになってきている。

顧客から注文が入ったら、自動的に倉庫に対して出荷依頼が出されることも可能になってきている。また、複数のECプラットフォームからの受注情報を、手作業でデータを整形することなく、倉庫への出荷指示として自動連携することもできるシステムも登場している。ギフトラッピングやチラシの同梱指示についても、対応できるシステムもある。

これまで人の手を介して行われていた、アナログな業務を、一つずつシステムにルール化して登録されているため、日々の物流業務が自動完結されるようになっていくことになる。また、場所を問わずに、画面上で状況をすべて確認できるので、いつでもどこでも出荷業務が行えるようになっていく。そのため、EC事業者としては、これまで、手作業で行っていた商品の発送にかかる業務時間を、本来やるべき商品を売るために必要な業務にリソースを変換していくことができるようになる。

また、EC事業者と倉庫が、直接メール等を交わすことなく画面上でオペレーションを完結できる業務も増えていくため、倉庫側としては、担当するEC事業者が複数になっても、業務自体は、ほぼすべて統一化されており、煩雑にならないので、支障をきたすことなく拡張させていくことができることも大きなメリットと言える。

 

 

物流業界のこれから

 

今後は、さらに料金体系が明瞭化されていくであろう。例えば、システムの利用料が月額固定費となる、もしくはそれ以外の、入庫作業、梱包出荷作業、在庫管理や配送費用に転嫁され無料になることもあるかもしれない。要するに、出荷指示を送付して発送した作業だけに対する費用を払うことで、完全に物流運用業務をネット越しに委託することができるようになるであろう。

物流現場だけでなく、EC事業者にとっても、ミスの発生しやすい煩雑な手作業や、目視でのチェックなどの業務がなくなっていくことになる為、さらに、物流現場業務の効率化も実現されていくことが予想される。

また、倉庫側としても、運用が統一化されているため、複数の事業者の業務を受託しても、大きな混乱なく、スムーズに運用が開始できる。また、クラウド型のシステムであれば、空いているスペースから業務を始めることができるというメリットがある為、倉庫側は最初から大規模のまとまったスペースを用意する必要なく、空きスペースを利用して、在庫商品の増加に合わせた形で、スペースを増やしていくことが可能になる。物理的に距離の離れた場所にある倉庫へ、分散することも可能になっていく。そのため、より、効率的な倉庫運用ができるようになっていくことが予想される。

 

 

オープンロジとは

 

オープンロジとは、EC事業者と物流倉庫を結び付けるサービスだ。

※ここで紹介する事例を含むオープンロジに関する資料は以下からダウンロード下さい。

 

「誰でも簡単にECが立ち上げられるのなら、商品が売れたあとの物流業務も簡単にしようというコンセプトでオープンロジを始めました。利用開始時は問い合わせや見積もりは一切不要で、インターネット上で誰でも簡単に申し込みが可能です。価格や重量ごとに固定料金を設けているので、そもそも見積もりをする必要がないのです」とオープンロジの伊藤氏。オープンロジは、マーケットプレイス型サーズという新しいビジネスモデルだと話す。

最大の特徴は、料金体系が明瞭化されていること。倉庫利用料と配送料はサイズごとに分かれており、海外配送やオプションについてもシンプルかつ明確に料金が提示されている。月間の出荷件数に関わらず、固定費ゼロ・従量課金で利用できる良心的なサービスだ。

さらに、細かい現場業務の効率化にも積極的に取り組んできた。例えば、入庫予定にない商品が入庫された場合、その商品の写真を撮り、アップロードするだけでEC事業者に自動でメッセージが送られ、連絡を受けた事業者はURLをクリックするだけで詳細を確認でき、3パターンの中からどのように処理をしてほしいのかを選択することで、作業指示を出すことができる。最終的には作業者が使う端末に反映され、一連のやり取りは履歴に残るため現場が混乱することもなく、円滑に行われるようになる。

また、最近では、在庫分析に関する機能もリリースした。大手の倉庫会社で行われているような、在庫に関するコンサルティングを中小規模のEC業者でも受けられるようにしたのが今回リリースした在庫管理サービスだ。スマホでの作業にも対応した上、出荷件数の履歴から在庫を分析し、結果を常に画面上で確認できるようにした。

さらに、この新しい形のサービスシステムは、倉庫会社にとってもメリットがある。EC事業者からの要望はオープンロジ側がヒアリングしてシステムに反映させていくため、倉庫会社がシステムについて考える必要は一切ない。また、同一のシステムを利用する提携倉庫のネットワークが広がれば広がるほど同じオペレーションで業務を行えるので、1つのEC事業者が膨れ上がってしまった時には分散して運用ができるというメリットもある。

「物流の未来を動かす」というミッションを掲げているオープンロジ。伊藤氏は今後について「情報の処理を効率化していくだけでなく、EC、物流、配送が連携していくネットワークの構築が重要だと考えている。EC事業者が直接配送事業者と連携を取ることは難しいので、我々が取りまとめて1つのオペレーションでそれを実現したい」と話した。

 

オープンロジのようなサービスはここ数年で続々と生まれている。これまであまり大きな改革が見られなかった物流業界にも、クラウドネットワークを有効的に利用し、効率的な運用を実現できる未来の形が見えてきたのではないだろうか。

 

※ここで紹介する事例を含むオープンロジに関する資料は以下からダウンロード下さい。