北欧地域のeコマースの 2018年度上半期の成長率は、前年同期と比較して11%増となった。同地域のオンライン購入総額は100億ユーロ。 北欧で最もeコマースが盛んな国はスウェーデンで、消費額は41億2,000万ユーロに達した。

次にデンマークが24億9,000万ユーロ、ノルウェーが22億4,000万ユーロ、フィンランドが12億2,000万ユーロと続く。これらの数値は、スウェーデンとデンマークの通信・運輸業を司る持ち株会社PostNordの「the Ecommerce in the Nordics」報告書によるもの。この調査によると、北欧諸国の10人に6人(1,200万人)は毎月オンラインで商品を購入しており、その割合はスウェーデンで66%であった一方、フィンランドでは45%にとどまった。

 

eコマースにとって好条件がそろう北欧

報告書には、北欧地域のeコマースについて、「オンラインで売買するための非常に好都合な条件がそろっている。それは、ハイレベルなeコマースの成熟度、高いインターネット普及率、整ったインフラ、そして意欲的なeコマース企業の存在にある」と記されている。

 

スウェーデン人消費者の典型的特徴

北欧地域全体が、まるで単一の同質市場のように書かれていることがよくあるが、もちろんそのようなことはない。スウェーデンは、北欧で最もeコマースが盛んである。しかし、その消費者は市街地の実店舗で買い物することにも非常に高い関心を示しており、オンラインで買い物をする消費者の29%が、直近の買い物をしたのは市街地の実店舗だと回答した。またスウェーデン人は、美容や健康用品を最もよく購入しているという。越境ECでは、ドイツのオンラインショップからの購入が最も多いようだ。また、18歳から29歳のオンライン顧客の割合が、スウェーデンは北欧の中で最も高いという。

 

デンマーク人消費者の典型的特徴

デンマークの消費者は、“確認なしで自宅のドアの外に置いていく”という配達方法に最も高い関心を示した。さらに、デリバリー方法の選択の自由度が最も高い。そして、越境ECでは、イギリスからの購入が最も多いという。デンマークのオンライン顧客は、食料雑貨品のオンライン購入の消費額が最も高く、またオンラインで購入した商品のデリバリーに対する満足度も、最も高い。

 

ノルウェー人消費者の典型的特徴

ノルウェーの顧客はスポーツ、レジャー用品を最も多く購入するという。また、eコマースのプラットフォームに最も高い関心を示している(オンライン顧客の60%が、毎月eコマースのプラットフォームで購入)。また、実在するショッピングセンターでの買い物に対する興味も最も高い。越境ECを利用した顧客の4人に1人が米国から商品を購入し、18歳から29歳のノルウェー人の71%は、毎月オンライン購入を行っているという。

 

フィンランド人消費者の典型的な特徴

直近にパソコン端末を利用してオンライン購入を行った消費者の割合が最も高いのは、フィンランドである。また、デリバリー方法に関しては、parcel machine(ドア開錠に必要なコード番号がメールなどで通知され、それを使って品物を受け取るという共有の宅配ボックスのようなもの)への配達を好むeコマースを利用者の割合が最も高い(68%)。フィンランド消費者は、海外のオンラインストアで服や靴を最もよく購入し、毎月の美容や健康に費やす金額が最も高い。また越境ECでは、スウェーデンのオンラインショップで購入する人が最も多いという(23%)。

 

北欧の越境ショッピング

越境ECに関して言えば、北欧地域の人々は、主に中国、英国、ドイツからオンライン購入している。米国が世界で最もeコマース市場が盛んであるにもかかわらず、トップ3に入っていない事は大変興味深い。一方、ノルウェーでは米国からのオンラインショッピングが好まれており、これはノルウェーのオンライン消費者の間でeBayの人気が高いことに関連があると言えよう。

 

デンマークでは、オンライン購入先で最も人気があるのは英国である。一方、スウェーデンではドイツが人気で、今年、消費者の28%がドイツのオンラインショップから購入しているという。北欧諸国に限っていえば、eコマースにおいて、スウェーデンからのショッピングが最も人気が高い。特にフィンランドの消費者は、スウェーデンからオンライン購入をする傾向が強いという。

 

※当記事は英国メディア「E-Commerce News Europe」の9/27公開の記事を翻訳・補足したものです。