Google Chrome新機能「迷惑広告ブロック」について理解しておくべきこと | EC業界ニュース・まとめ・コラム「eコマースコンバージョンラボ」
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2018/02/22

Google Chrome新機能「迷惑広告ブロック」について理解しておくべきこと

Google Chrome新機能「迷惑広告ブロック」とはどのような仕組みで、誰が影響を受けるのか。広告主、サイト、ユーザーにとって意味するものとはどのようなものか。

2018年2月15日、Googleは自身のWebブラウザであるChrome上で、「煩わしい」あるいは「押し付けがましい」と思われる広告のブロックを開始。警告を受けた後にも繰り返し不快な広告表示方法を続けるサイトは、Googleから配信されている広告も含め、全ての広告がChrome上でブロックされ、表示されなくなるという。

 

サイトを運営するパブリッシャー側には何ヶ月もの準備期間があった。2017年6月に、Googleはこの広告ブロック機能が2018年にはChromeに装備されると明言していた。同年12月にGoogleは開始日を定め、さらなる説明を追加した。

なぜGoogleがこのようなことをするのか。それはどのような仕組みで、この広告ブロック機能がどのようにサイト運営者と広告主、そしてユーザーにインパクトを与えるのかを見ていこう。

広告ブロック基準

Googleは、アメリカの団体連合Coalition for Better Ads(以下、Coalition)による「Better Ads Standards(広告改善の基準)」を指標に、どんな要素がユーザーにとって嫌な広告となるのかを判断している。大音量の動画広告やフラッシュ広告、終了ボタンを見つけにくいポップアップ広告、ユーザーがコンテンツを読めないように設置されたプレスティシャル広告などだ。

 

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12の広告フォーマットは、Coalitionにより「迷惑に値する」とみなされた。

 


不快な広告手法と見なされない広告の例は、アンカー広告と呼ばれる、ユーザーが画面をスクロールするときに画面の上部または下部に固定されたままになっている広告だ。北アメリカとヨーロッパでCoalition(要はGoogleなのだが)が25,000人のインターネットユーザーを対象に行った調査によると、約85%のモバイルユーザーはアンカー広告だけが「少しだけ鬱陶しい」か、「全く鬱陶しくない」と答えている。

 


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Googleはそのサイトが「Better Ads Standards」に準拠しているか、どのように評価しているのか?

Googleはサイトからサンプルページを抜き出して、「Better Ads Standards」に満たない、煩わしい広告が含まれるサンプルページのページビューの割合を基に、「可」「要警告」「不可」の評価をしている。Coalitionのガイドラインは、評価基準を以下のように定めている。

  • 全ページビューの7.5%(最初の二ヶ月)
  • 全ページビューの5%(以降の四ヶ月間)
  • 全ページビューの2.5%(それ以降)

昨秋からGoogleのサーチコンソールで利用可能になったGoogle広告レポートの中で、サイトは自身が「警告」や「不可」の評価を得たかどうかを見ることができる。

警告や不可の評価を受けた場合は、30日以内に修正しないといけない。修正を怠ると、Chromeはそのサイトでの広告表示を全てブロックすることになる。

 

サイトが評価基準に満たなかったとき、Chromeの広告フィルタリングはどのように働くのか

2018年2月14日に掲載されたGoogleのChromeオフィシャルブログ記事で、エンジニアリングマネージャーのChris BentzelはChromeの広告フィルタリングがどのような仕組みで動いているか、詳細を説明している。

Chrome上で、あるサイトへユーザーが誘導された時に、Chromeの広告フィルターはユーザーが訪れたページが「Better Ads Standards」を満たしているサイト内のページかどうかを確認する。

もしそのページが「不可」の評価を得たサイトであれば、Chromeはそのサイトからの、例えば画像やJavaScriptへのネットワーク要求を、既知の広告関連のURLパターンと照らし合わせてチェックする。そしてChromeは、そのリストに合致したネットワーク要求や、そのページでの広告表示をブロックするのである。

既知の広告関連のURLパターンはEasyListに準拠している。これは、Google AdSenseやDoubleClickといった広告配信会社のものとして知られる広告関連のURLパターンをフィルタリングするために公開されているものである。元々はMozillaやFirebirdといったブラウザ用に開発された、コンテンツフィルタリングと呼ばれる広告ブロック用のプラグインである。現在、EasyListはあらゆる種類の広告ブロックに使われる主なリストとなっている。

一つでも広告関連のネットワーク要求がブロックされると、ユーザーにはその広告がブロックされ、「このサイトで広告を許可する」かどうか選択できるメッセージが表示される。この通知はデスクトップのアドレスバーに表示される。アンドロイド端末ではこの通知は以下のような形でスクリーンの下部に現れる。

 



Android搭載端末では、画面下部に広告がブロックされたことを知らせる通知が表示。詳細をタップすると、ユーザーは「広告の表示許可」を設定できる。

 

不可の評価を得たサイトが復活する余地はあるのか?

「不可」の評価を受け、広告がChromeでブロックされたサイトの持ち主は、違反した広告掲示に対して必要な変更を施した後、Ad Experience ReportからChromeに再審査を依頼することができる。

 

Googleの意図とは

こうしたGoogleによる動きは、デスクトップ上での広告ブロッカーの広がり、また携帯端末にも同様に広がる脅威に対する反応である。Chromeは全世界で約50%の携帯端末ブラウザの市場シェアを保有しており、北アメリカでも約45%のシェアを誇っている。

調査会社のeMarketerは、昨年アメリカのデスクトップあるいはラップトップを持つインターネットユーザーの28%が広告ブロッカーを利用しており、スマートフォンユーザーも11.8%が利用していると推計している

 

 

2015年には、アップルがiOSに広告ブロックアプリの参入を許可しており、それが業界全体に携帯端末での広告体験を改善する動きを喚起させた。さもなければ、広告業界のエコシステム全体が崩壊することになるためである。当時、Interactive Advertising Bureau (IAB) 広告テクノロジーが暴走していると認め、ユーザーが究極の武器として広告ブロッカーを使い回す反撃を勧めていると認めている。

「ますます多くのユーザーが広告ブロッカーをインストールして、不快な広告に対する不満を示している。しかし全ての広告をブロックすることは、不快な広告を出していない健全なサイトや広告主にまでダメージを与えることになる。不快な広告のみをブロックすることで、ウェブ全体のエコシステムを健全に保ち、ユーザーに今日よりもずっと良い体験を提供することができるのだ」とGoogleのプロダクトマネジメントの責任者であるRahul Roy-Chowdhuryは、今週のブログ記事の中で述べている。

Googleの広告とコマースの責任者であるSridhar Ramaswamyは、昨秋サイト運営者のための会議で、Chromeの広告ブロックを「究極の代替オプション」と呼んだ。「これがうまく機能すれば、携帯端末で広告ブロックをする必要がなくなると期待している」と彼はその会議で話している。

 

世界最大の広告販売企業が世界最大の携帯ブラウザで広告を取り締まる理由とは?

GoogleはFacebook、Microsoft、IABなどの15以上の企業や業界団体とともにCoalitionに名を連ねている。しかしGoogleがAMP(Accelerated Mobile Pages)プロジェクトと呼ばれる携帯端末でのオープンソースプロジェクトを支配しているので、Coalitionでも最も声が大きく、決定権があるのもGoogleなのだ。

GoogleのChromeでの広告ブロックのアイデアが出てくるやいなや、批判する声が出てきた。その一方、本気で不快な広告を一掃することについて真面目に議論できるものはいない。そして誰かがそれをなし得る力があるかという話になれば、やはりその分野での第一人者(つまりGoogle)が適任なのだ。ただし、Googleは広告販売と取り締まりという二つの役割を担っている。それはGoogle自身の広告取引に好都合となるのだろうか。

Googleは自身の広告も他の企業の広告同様、攻撃的なサイト上ではブロックされると強調している。GoogleのChris Bentzelは「Chromeの広告フィルタリング技術が必要でなくなるような未来へ向けて、業界全体と協力し続けていくことがGoogleの役割だ」とブログで述べている。

しかしながら、Wall Street JournalはCoalitionの関係者が「どのような広告フォーマットがブロックされるかを決定する方法については、真の協力体制がしかれているわけではなく、Googleの力が強く働いており、不快と感じられる広告を減らす一方、Googleの最終的な収益を助ける働きをしている」と話したと報じた。GoogleはBetter Ads Standardsを作るためのCoalitionの調査は、実際にはGoogleによって行われたと明言している。Googleは検索広告の分野で広告収益の甘い汁を吸っており、Coalitionのブラックリストに載るような、ディスプレイ広告の分野での収益は低めだというのも事実だ。

他の懸念点をあげると、Marin Softwareのマーケティング責任者であるWes MacLagganは電話インタビューで「広告配信量を確保するために、広告主がGoogleでの配信に鞍替えするような動きを加速させる可能性がある」と話している。

他にも、この動きはGoogleの広告ビジネスを支える重要データである、トラッキングについての懸念に対処するものでは無いと指摘する声もある。European CommissionもChromeのフィルタリングがどのように動くのか注視するとしている。

 

誰か気がつくのか?

Chromeの広告ブロックの開始がユーザーにほとんど気づかれない可能性もある。

ヨーロッパと北アメリカにおける10万個のサイトの監査で、0.9%のサイトが広告をブロックされたとGoogleは公表している。さらにその他の0.5%が「警告」レベルであると今週Axiosは公表している。

Chris Bentzelは「2月12日現在、『不可』と認定されたサイトのうち、42%が問題を修正し、現在は『可』となっている」と話している。

広告ブロック利用の影響について明らかになってくるのはこれからだ。「実際の開始は劇的な変化をもたらすものではない。ユーザーは(すでにインストールした)広告ブロック機能をアンインストールすることはないだろうが、これからインストールしようとする人は減るだろう」とMarin社の MacLagganは予想する。

Chromeの広告ブロックはGoogleが携帯端末での体験を改善し、人々が広告を見続けてくれるようにするための一連の取り組みの一部と見られるだろう。

それ以外にもGoogleは以下のようなことで、携帯端末での体験を良くする努力をしている。

 

 

※当記事は米国メディア「MarketingLand」の2/15公開の記事を翻訳・補足したものです。