国際的なEC業界の団体Global ecommerce Associationによると、2017年のヨーロッパのEC成長率は19%と予測。ヨーロッパよりも堅調な成長が見られるのは、アジア地域のみであろう。一方インターネット普及率が最も高いヨーロッパにおいて、これだけの急成長を遂げるということは注目に値する。

 

ECの財団Ecommerce Foundationが実施したthe Global Ecommerce Report 2017のデータによると、EC売上高の伸び率は減少予測。しかし全体的に見ると昨年と同様、全地域において1.45%〜39%の伸び率を維持しており、依然として成長段階だと言う。

※このヨーロッパの調査対象国は、フランス、イギリス、ドイツ、ロシア、イタリア、スペイン、およびトルコである。

 

物流パフォーマンスにおいてトップのドイツ

この調査の結果、各国毎に物流パフォーマンスの質にかなりの差があることも判明した。通関プロセスの効率性、取引や運送関連のインフラの性能、物流サービスの利便性といった各国の物流に対する意識調査を反映したスコアでは、ドイツが最も高いスコア(4.23)を獲得し、イギリス(4.07)と米国(3.99)が続いた。最下位は、ロシアの2.57ポイントだった。

またEcommerce Foundationは、どの国でビジネスを行うのが容易であるか、つまり会社を設立し経営する上で規制環境が最も有利な国はどこかについて調査を行なった。イギリスは7位にとどまり、ドイツは、17位、フランス29位という結果であった。

 

最も高いインターネット普及率を有するヨーロッパ

 地域別に見るとヨーロッパは最も高いインターネット普及率を誇り、総人口の80.5%がインターネットを使用している。アジア太平洋地域の普及率が最も低い(46.6%)とされるが、この点については説明を補足する必要がある。アジア太平洋地域はほとんどの国において普及率は非常に高いが、インドおよびインドネシアの低い普及率が全体平均を大幅に引き下げているのだ。国別に見ると、イギリスの97.52%が、最も高い普及率となっている。

 

2017年のヨーロッパのEC売上は、4,000億ユーロ

2017年には、調査対象国のB2CのEC総売上高が約1兆5,600億ユーロまで増大すると予測される。アジア太平洋地域は、総売上高の約50%に相当する最大シェアを占める。ヨーロッパは25.64%のシェアを占め、約4,000億ユーロの売上。

Ecommerce Foundationは、どの国のEC市場が急成長しているのかも調査。 その結果、1位はオーストラリアで40%、2位はトルコで31%の成長率。イタリアは26%、スペイン25%で、それぞれはトップ5に入った。

ヨーロッパについてもう一つ注目すべき点は、すべての国で、ECがGDPの最大のシェアを占めている点である。ヨーロッパでは、ECが域内GDPの4.91%を占めている。 イギリスのE-GDP(GDPの中でECが占める割合)が最も高く、GDPの7.9%を占める。 e-shoppers(オンラインショッピングをする人)の点では、ヨーロッパはまだ北アメリカに大きく遅れをとっており、北米ではインターネットユーザーの70%がオンラインで買い物をするのに対し、ヨーロッパは58%にとどまっている。

ヨーロッパでは、消費者の57%が1年以上前にスマートフォンやタブレットで初めて買い物をしている。そして現在、消費者の22%が毎週モバイルデバイス経由で買い物をしている。また、消費者の40%がモバイルショッピングに非常に満足しており、 特にイギリスとフランスでは、ユーザーの満足度が高いという調査結果が出ている。

 

ヨーロッパでは、クレジットカード払いがメイン

 ヨーロッパの調査対象国のデータによると、ヨーロッパで最も多く使われている支払方法(54%)は、銀行クレジットカードである。そして、 デビットカード(45%)、PayPal(39%)、代金引換(20%)、銀行振込(11%)、ギフトカード(7%)と続く。 オンライン決済が最も普及しているトルコでは、人口の44%が毎月オンライン決済を行っているという。

 

※当記事はヨーロッパメディア「Ecommerce News europe」の9/23公開の記事を翻訳・補足したものです。