ネットスーパーは店舗の商圏を拡大できるか - 独自配送網の諸刃の剣 | EC業界ニュース・まとめ・コラム「eコマースコンバージョンラボ」
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2014/02/04

ネットスーパーは店舗の商圏を拡大できるか - 独自配送網の諸刃の剣

ネットスーパーで商圏の拡大を狙う大型スーパー

 

大手スーパーマーケットチェーンがインターネットに本格的に乗り出し、ネットスーパーを開始したのは2000年。当初は近所のスーパーマーケットで買えるものをわざわざネットで買う必要があるのかと不要論もあったネットスーパーだが、2015年度には1000億円の市場規模まで拡大すると予想されていて、かなりの市民権を得てきているようだ。

 

 

大手スーパーマーケットはコンビニよりも身近ではないものの、品揃えの多さと低価格戦略で2000年当時と比べても大規模化しておきており、それに伴い商圏も拡大の一途を辿ってきた。逆に大都市を中心に展開する百貨店ほど敷居は高くなく、地方の商業施設に気軽に展開しているのも魅力の一つ。まさにコンビニ以上百貨店以下の絶妙なポジショニングで店舗数を拡大してきた。

オンラインでもその地位を確保すべく、ネットスーパーでは安価な生鮮品を当日に配達するというハイレベルなニーズに応えるために独自の配送網を提供することで勢いを増大。大手スーパーマーケット各社だけでなく、楽天もネットスーパーを積極的に展開。Yahoo!も地域に根付いたショッピングサービスを展開する計画を発表するなど、まさに競争は熾烈になってきたネットスーパー市場、今回は大型スーパーの取り組みをみていく。

 

 

 

イトーヨーカドー

 

ネットスーパー事業を手がける企業の中で、取扱アイテム数、売上高、会員数ともに群を抜いているのがイトーヨーカドーだ。

 

 

2001年にネットスーパーを立ち上げた同店は、現在全国24都道府県で146店舗を展開し、会員数は約160万人を誇る。これまでは梱包や出荷作業をすべて店舗で手掛けていたが、一部を外部業者に委託し、2014年春には旗艦店である東京・木場店の受注可能件数を従来の1日400件弱から1,000件にすると発表。また、3月からは自社専用の物流センターで日持ちのする加工食品を集めて店に配送し、生鮮品などと合わせて届ける作業を開始。

今後は首都圏の各店にも同様の手法を広げ、受注能力を拡大する。2014年2月期における売上高は約520億円を見込んでおり、2015年度のネットスーパー事業の売上高を1,000億円にするとしている。

 

 

イトーヨーカドーネットスーパーのここがポイント

 

  • 取扱商品が約30,000品目と他のネットスーパーと比較してもダントツに多い。
  • 魚の3枚下ろしや肉の小分けといった細かい要望にも対応可能。
  • 店舗のトップページから本日のチラシが閲覧可能。デジタル広告は前日の17時から閲覧・注文可能なので、特売品を店頭より早く購入できるというメリットがある。
  • 登録レシピから一括で材料が購入できたり、よく買うアイテムを登録しておける“お気に入り”など、実店舗にはない便利な機能も多い。
  • レジ袋がいらない人にはエコdeバスケットというサービスを使えば専用のカゴで受け取りが可能。その場でカゴを引き取ってもらえる。
  • 配達時間が近づくとメールが送られてくる“まもメール”というサービスがある。
  • 2012年3月からグループ会社であるアカチャンホンポの商品の共同配送を開始。資生堂とカネボウの商品も購入可能だ。
  • 2013年11月から頭痛薬や鼻炎薬などの第2類医薬品の販売を開始し、第3類医薬品も含めた約1,580アイテムを104店舗で取り扱っている。

 

 

イオン

 

一方、配達可能エリアが最も広く、北海道から沖縄までほぼ全国で利用できるのがイオンネットスーパーだ。

 

 

現在イオンは、各店舗から5km圏内に届ける近隣型のほか、ヤマト運輸や日本郵便の物流網を活用し、拠点の店舗から県内全域に配送する県単位の広域型を展開。2014年度を目処に配達エリアを国内全域に拡大する。全国を網羅するのはイオンが初で、近くに小売店がない買い物弱者や店舗のない地域の客も取り込む考えだ。さらにイオンは、実店舗とインターネットを連携させた新たなオムニチャネル化の一環として、店頭に来店したユーザーが商品のバーコードをスマホで読み取り、該当商品をネットスーパー経由で購入できるサービスを今春を目処に開始すると発表した。せっかく来店しても、米や飲料など重くて持ち帰りを躊躇しがちな商品に対してはこのようにネットスーパーの利用を薦めるという狙いだ。

 

 

イオンネットスーパーのここがポイント

 

  • 取扱商品は約12,000品目。
  • 実店舗と同様に、イオンの特売“火曜市”の商品も購入できる。ただし注文は月曜の17時〜火曜の15時で、配達日が火曜日であることが条件となっている。
  • 手数料105円を支払えば、不在時でも指定の場所へ荷物を置いてくれる“置き楽”というサービスがある。ただし、宅配ボックスへの配達は行っていない。
  • 繰り返し買う物を“お買い物メモ”に登録したり、イオンネットスーパーで購入した商品のリサイクル資源の預かりもやってくれる。
  • ゲームソフトや家電製品などの一部商品を予約販売という形で受注し、ネットスーパーの商品と一緒に配達するサービスも実施している。
  • 在庫がなくなってしまった場合、ユーザーに電話で代替品を提案し、注文した商品よりも少し高い商品を同価格で提供することもある。
  • シャープ・NTT西日本と共同で開発したネットスーパー注文専用のAndroid端末、A touch Ru*Run(エー・タッチ・ルルン)を使えば、画面にタッチするだけで簡単に商品を購入できる。

 

 

西友

 

2012年11月にDeNAの協力でサイトを全面的に刷新し、2013年6月に“SEIYUドットコム”を正式オープンした西友は、現在17都道府県109店舗でネットスーパーを展開中だ。

 

 

ネットスーパーは商品名などを検索してアイテムを探すことが多いが、SEIYUドットコムでは商品が棚に並んでいるリアルの店舗のようにサイトを作り込み、安さを強調するPOPなども実店舗と同じデザインを採用。西友の店舗と同様の買い回り体験をサイト上で再現した。刷新後のサイトは見やすいと評判も良く、売上は継続的に前年同期比50%増を達成している。また、西友は地域限定のネットスーパー便と、全国配送の配送センター便の2つで商品を配送。2013年6月の時点で会員数は50万人を突破している。

 

 

SEIYUドットコムのここがポイント

 

  • 取扱商品は約35,000品目で、今後3年間で10万品目までの拡大を計画している。
  • 即日配達の受付が15時までと最も遅くまで受け付けている。
  • 実店舗では取り扱いがない、親会社ウォルマートの米国子会社であるウォルマートUSからの直輸入品を集めた“アメリカンコーナー”を設けている。

 

 

サミット

 

ネットスーパーには、現在主流となっている最寄り店舗から発送する店舗型と、専用の加工・配送センターから配送するセンター型があるが、首都圏で初めてセンター出荷型を実現したのがサミットネットスーパーだ。

 

 

サービスの開始は2011年と他社に比べると遅いが、センター型ならではの処理能力や生鮮品の鮮度の良さが評価され、会員数は22万人以上(2013年2月時点)と順調な伸びを見せている。また、NTT東日本が開発したテレビ接続型ネット端末“光BOX2”経由での購入サービスを2012年7月から開始。将来的には首都圏800万世帯のうちネットスーパー利用率5%を目指しており、PCサイトよりも使いやすいTコマースの利便性でネットスーパー新客獲得を図る。

 

 

サミットネットスーパーのここがポイント

 

  • 月額315円で全商品5%引きで購入できる“ソク割プラン”は毎月6,300円以上購入するとお得に。
  • 到着予定時刻をメールで知らせる“お届けメールサース”や、GPSを利用した配送車の追跡サービスを提供。
  • 不在時でも荷物が受け取れる“留め置きサービス”を無料で提供。専用容器に入れて玄関前などの指定場所に届けてくれる。
  • 直近3カ月の利用回数に応じて会員ランクを設定し、ランクによって配送料が無料になる制度を導入。
  • 好きな商品を毎週定期的に届けてくれる定期宅配サービス“週いち便”も用意。
  • インターネットに不慣れなユーザーのために月額315円で“電話注文サービス”も提供。毎月カタログを配布している。
  • 妊娠中や小さな子供がいる場合は180日間配送料が無料になる“子育て応援プラン”も。

 

 

独自配送網の諸刃の剣

 

こうして見てみるとネットスーパーの最大の強みは、独自の配送網による生鮮品の当日配送などのロジスティクスの柔軟性だ。しかしその強みは、配送地域が限定されるなどのマイナスの要素も含む、まさに諸刃の剣といえる。

 

 

配送地域を拡大するためにヤマトや日本郵政などの一般の宅配網とイオンは提携し、今年中にも全国への配送を可能にしていく動きがある。またグループとして コンビニエンスストアを持つイトーヨーカドーは、2018年に全国のコンビニでの受け渡しが可能となるようにするなど配送可能エリアの拡大を目指している。一方で中部エリアにはユニー、関西エリアにはイズミヤ、九州にはダイエー、上信越にはアクシアルリテイリングも地域に根ざしたネットスーパー事業を展開しており、既に消費者は地元で馴染みのあるネットスーパーを活用しているため、全国チェーンとの競争も今後激しくなっていきそうだ。

また、店舗の膨大な商品陳列を見ながらついで買いをするような部分はECは元来弱いため、ネットスーパーという商材の特性上なかなか単価が上がりにくい問題点もありそうだ。重いもの、定期的に購入が決まっているものが主な購入品となりそうだ。

そして、オンライン上のユーザーはそもそも実店舗へ行くのが面倒・時間がない、という状況のためO2O的な要素を介在させることが難しい。柔軟なロジスティクスで消費者のニーズに応えるほど、実店舗へ足が向きにくくなるジレンマも抱えている。

ネットスーパーがコンビニECや百貨店ECのような存在意義が薄れた状態にならないために、独自配送網は外せないファクターではあるが、それが成長の足枷になってくる可能性もありそうだ。どのようにより消費者のわがままなニーズに応えていくのか、ネットスーパーの取り組みはますます注目である。

 

 

 

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