今年のメールマーケティングのトレンドを振り返り、来年の展望を考えよう。
今年はデジタルマーケティングにとって奇妙な年だった。GA4(Googleアナリティクスの最新版)への切り替えと人工知能(AI)ツールの幅広い導入の狭間で、マーケティング担当者は2023年も機敏に行動しなければならなかったのだ!これが最も顕著に表れたのは、複雑で混乱を招くことの多いメールマーケティングの世界である。
米国のオンラインプラットフォーム提供企業Litmusは、メールマーケティング担当者がこの大混乱の後の状況を把握できるよう、「State of Email(メールの現状)」レポートを復活させた。今回は、レポートを年末に1回ではなく、4回に分けて定期的にリリースすることになった。以下に、最初の3つのリリースの概要を紹介する。
メールワークフローの現状
本レポートの要約を飛ばして、すぐにデータをご覧になりたい場合は、「State of Email Workflow Report(メールワークフローの現状に関するレポート)」をダウンロードしよう!
メールはどのようにしてアイデアからリターンを生み出すのだろうか?Litmusでは、親しいメール友達約440人を対象に調査を実施した。回答者の多くはマーケティング担当者であり、デザイン、開発、コンテンツ、戦略の各分野で活躍している。まずは作業量から見ていこう。
マーケティング担当者は何通のメールをフローに入れなければならないのだろうか?
マーケティングチームが一度に1通のメールしか作成しないことは稀である。インタビューをした人のうち、約30%が一度に3~5通のメールに関わっている。パーソナライゼーションを考慮すると、通常1つのメールに2~3つのバージョンがある。つまり、メールチームは最大15通のメールに同時に関わっていることになる。それは膨大な数のメールである。
優れたメールマーケティング担当者は、メールワークフローの容赦ないペースにどのように対応しているのだろうか?約40%のユーザーが、テキストや画像を差し替えて、過去のメールを利用していると回答している。しかし、回答者の42%は、標準的なコンポーネントのライブラリを使用することを希望している。これは、多くのメールマーケティング担当者が望まない方法を使っていることになるのだ!
問題はどこにあるのだろうか?最大15通のユニークなメールが同時に送信されると、チームが最適でないとわかっているやり方で動いてしまう理由が突然明らかになる。
何を優先するか?
将来を見据えて、メールマーケティング担当者が最も懸念していることは何だろうか?上位3つの回答は少し見覚えがあるかもしれない。
- パーソナライゼーションの拡大
- 自動化のさらなる拡大
- 配信性の向上
メールデザインの現状
もっと詳しく知りたいだろうか?「State of Email Design Report(メールデザインの現状に関するレポート)」の全文をダウンロードして、すべての事実を確認してほしい。
本レポートの第2弾は、メールのデザインプロセスについて焦点を当てたものである。これまでで最大の1,224通の回答を得た。前回の調査と同様、回答者の多くは、デザイン、開発、戦略など、さまざまなメール業務を担当している。
我々はデザインする、ゆえに我々は存在する
メールマーケティング担当者の間で最も一般的なメールデザインは、レスポンシブデザイン、アダプティブデザイン、ハイブリッドデザインだった。ほとんどの業界では、受信先がメールをモバイル端末で見るか、デスクトップで見るかはほぼ半々であるため、これは驚くべきことではない。両方にとって最適化されたメールをデザインするのが一番安全である。
最適化といえば、メールデザイナーは何を一番に考えているのだろうか?回答者によると、パーソナライズされたコンテンツとインタラクティブなコンテンツが2大重要課題となっている。
ダークモードとアクセシビリティ
我々の経験から言うと、ダークモードとアクセシビリティは、メールマーケティング領域で最もホットな2つのトピックである。
そのため、回答者の33%がダークモード用に特化したコーディングを行っていないことは驚きだった。さらに驚くべきことに、23%はダークモードでもすべてのメールを明るく表示していると回答している。合計すると、調査対象のマーケティング担当者の半数以上がダークモードを無視していることになる。
良い面としては、最近ではより多くのメールマーケティング担当者がアクセシビリティに配慮したデザインを行っている。回答者の約半数が、フォントやテキスト、デザイン、コードに関してアクセシビリティを考慮していると答えている。全体では、アクセシビリティをまったく考慮していないと答えた回答者は、わずか17%だった。
ツールボックスには何が入っているだろうか?
デザインに関していえば、Adobe(米国の大手ソフトウェア企業)の製品が最も使用されているツールのトップ3を確保した。
- Photoshopは回答者の58%が使用しており、大差でトップの座を獲得
- Illustratorはユーザーの37%を占め、堂々の2位にランクイン
- InDesignが31%で3位を占めた
この調査では、マーケティング担当者がどこでメールをコーディングしているかもについても尋ねている。
- Adobe Dreamweaverが最も多く、回答者の29%が選択
- 回答者の26%がテキストエディタを使用
- そして最後に、マーケターの25%がESP(メールサービスプロバイダー)のコードエディターを使用していると回答
パーソナライズしよう
メールのパーソナライゼーションは、もはや業界の気の利いたトレンドではない。コンバージョンを増やし、より適切なコンテンツを送るための、試行錯誤を重ねた方法である。現時点では、メールマーケティング担当者にとって絶対的に必要なことなのだ。
調査対象者のうち、62%のマーケティング担当者がダイナミックコンテンツを使用してメールをパーソナライズしている。重要なことは、最も一般的に使用されている以下の要素に対するパーソナライゼーションによって改善が見られるということである。
- 送信者名
- 件名
- コピー
- 送信タイミング
逆に、画像、ヘッダー、フッター、動画コンテンツは、最もパーソナライズされていない要素である。
マーケティング担当者はパーソナライズにどのようなデータを活用しているのだろうか?
- メールマーケティング担当者の68%が名前、会社名、その他のプロフィール情報を使用
- 顧客セグメント(現在の顧客や見込み客)は54%で2位
- 過去のやり取りは44%で3位
時の話題-「AI」
間違いなく、あらゆるマーケティング担当者にとって旬の話題は人工知能(AI)である。2回目の調査では、回答者にAIを活用しているか、活用している場合はどのように活用しているかを尋ねた。
- 回答者の38.9%がAIを使用していると回答
- 17.57%が主にブレインストーミングに使っていると回答
- AIを使用していると回答したグループの約半数がChatGPTを使用
- 回答者の25%が、現在はAIを使っていないが、使用を始める予定があると回答
- 回答者の3分の1がAIを使用しておらず、使用する予定もないと回答
ESPの現状に関するレポート
もっと詳しく知りたい場合は、「State of ESPs Report(ESPの現状)」レポートの全文をダウンロードして、すべての事実を把握しよう。
3回目となる最新の調査では、Litmusはメールサービスプロバイダー(ESP)を詳しく調査した。最良の日には、優れたESPがバックグラウンドで実行され、信頼できるサービスと信頼できるデータをチームに提供してくれる。最悪の場合、ESPはあなたが選択した職業の分野を再考させるかもしれない。
それでは、ESPの良い点と悪い点を紹介していこう。
今回の調査では、全職種・全役職の758名のユーザーから協力を得ることができた。前回の調査とは対照的に、メール戦略担当者と運用管理者の割合が最も高い結果となった。
どのESPが頂点に君臨するか?
新しいESPをお探しだろうか?他のプロバイダーの方がより優れているとお考えだろうか?今年の調査で上位3位に選ばれたのは、お馴染みのプロバイダーだった。
- 最も利用されているのは圧倒的にSalesforce Marketing Cloudで、27%が利用
- MailChimpは19%で第2位
- Hubspotは13%でこれに続いた
また、Salesforceは顧客満足度でもトップであった。
- Salesforceを利用しているユーザーの69%が、同社製品に「非常に満足」または「やや満足」と回答
- Hubspotは61%のユーザーが「非常に満足」または「やや満足」と回答
- Marketoは3位で、56%が良い評価を与えている
果たして隣の芝生は本当に青々としているのだろうか?その点については、まだ判断がついていないのだ!
インテグレーション(統合)国家
多くのマーケティング担当者は、マーテックスタックの良さはそのインテグレーション(統合)によって決まることに同意している。あるシステムから別のシステムに、特に手動でデータを常に転送する必要がある場合、その有用性は大きく異なってくる可能性がある。
本レポートのデータによると、ユーザーの大多数(40%)は、ESPが他のマーケティングチャネルと適切に統合されていると考えている。自社のESPが「高度に統合されている」、または「非常に高度に統合されている」と回答しているのは30%のみである。
パーソナライゼーションとAI(その2)
パーソナライゼーション(およびAI)は、過去1年間に導入されたすべての機能の中でトップである。
回答者に、定期的にメールに盛り込んでいる機能は何かと尋ねたところ、次のような答えが返ってきた。
- 71%が件名のパーソナライゼーション
- 63.7%が動的コンテンツを使用したパーソナライゼーション
- 56%がアニメーションGIFまたはPNGの使用
パーソナライゼーションを使用している回答者の大半は、自社のESPがパーソナライゼーションを「非常にうまく処理している」、または「うまく処理している」と回答している。同じことが、AIが生成したコンテンツをオーディエンスのESPがどのように扱うかについても言える。約72%のユーザーは、ESPが「この種のコンテンツをよく扱っている」または「非常によく扱っている」と回答している。
今後の展望
では、これらのデータから何が分かるだろうか?
第一に、”メールオタク”のコミュニティは小さいながらも強大であるということだ!マーケティング担当者は、同じような障害、悩み、そして勝利と闘っている。あなたが大企業の一員であろうと、いくつかの仕事をしていようと、あなたは一人ではない。
第二に、パーソナライゼーションは定着しており、AI もそうなる可能性があるように見え始めている。ROIを向上させるためにこれらのツールを使用していない場合は、チャンスを逃している可能性がある。
最後に、もし気が重いと感じるのであれば、役立つツールがある。Litmusはオールインワンのマーケティング・プラットフォームで、すべての配信を最大限に活用することができるツールである。
※当記事は米国メディア「Martech」の11/7公開の記事を翻訳・補足したものです。