ECサイト構築プラットフォームfutureshopを運営する株式会社フューチャーショップは「ウィズコロナ時代、ECはどう利用される?数字でよみ解くEコマース[2020年7月〜9月 futureshopサービスまとめ]」を発表した。そのうち、生活者のEC利用状況を紹介する。
注文件数の変化・購入単価の変化・新規顧客利用状況・決済手段の変化の4項目について、期間中の生活者のEC利用状況を調査した。調査対象は、2019年・2020年7月〜9月の期間中、各月の注文件数が100件以上の店舗の中から500店舗を無作為に抽出している。
1. 注文件数の変化
対象店舗の注文件数は以上の通り、すべてのデバイスにおいて増加した。2020年7月〜9月期はデバイス全体の注文件数が昨対比166.15%だった。
月別に見ると、9月にわずかな落ち込みが見られるが、これは昨年同月の消費税増税前のかけ込み需要の影響と考えられる。具体的には軽減税率が適用されないアイテムで、高価格帯のもの、もしくは保存が効き、常備できるものの売上が昨年9月は高かった結果、この数字に反映されたと推測する。
今回の調査結果は、コロナ禍での緊急事態宣言により、外出を自粛されていた4月〜6月よりは落ち着きを見せたものの、依然としてEC注文件数は高い水準にあったと判断する。
判断材料として、経済産業省が令和2年7月に公開した「令和元年度 内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(電子商取引に関する市場調査)」によると、金額ベースで、BtoC物販EC市場全体の2019年昨対比は108.09%だった。そのため、この調査対象となったfutureshop継続利用店舗は、生活者の支持を集め、売上アップを実現したと言える。
2. 購入単価の変化
購入単価は、PC経由がスマートフォン経由よりも2割程度高い、という結果は前期の調査と変化はなかった。9月の数字が購入単価としては期間中高いものの、前年同月比としてはわずかに低い数字を示したことから、前年の消費税増税前の駆け込み需要はまとめ買いが発生していたと推測できる。
3. 新規顧客利用状況
新規顧客利用状況は、期間中平均が205.35%と、昨年同期間と比較し新規利用が急増している結果となった。
実店舗も再開しつつある中でも新規顧客数が2倍になったことから、生活者のEC利用が継続、そして定着化してきたと判断する一因になると考えられる。
外出機会が減少、在宅時間が増加しているこの状況下では、自社ECは単なる販路としての役割だけではなくなる。SNSやオウンドメディアなどと自社ECを組み合わせ、顧客接点としてつながりを創り、ファン化を促進するなど、交流の場としての役割が強くなると推測される。
4. 決済手段の変化
利用された決済方法を「クレジットカード」「ID・QR決済(Amazon Pay、楽天ペイ(オンライン決済)、Apple Pay、PayPay)」「現金・その他決済(店頭払いや後払い、銀行振込やコンビニ払いなど)」の3つに分け、各月の総注文件数を1とした結果が以下である。
「現金・その他決済」の利用が減り、「クレジットカード」「ID・QR決済」のキャッシュレスに移行する結果となった。今回の調査では「現金・その他」比率が2割程度まで落ち込んだ。キャッシュレス・消費者還元事業はすでに終わったものの、ECでは依然としてキャッシュレス化が進行している。
今回の調査により、実店舗再開が進む中、新規顧客利用が200%超を継続し、コロナ禍によって拡大したEC利用は定着化しつつあることがわかる。今後自社ECは販売の場だけではなく、継続的なコミュニケーションの場として、役割が拡大すると予想される。