化粧品ブランド「ブリリアージュ」が累計150万本以上を販売するためにECサイトに求めたこと
2009年のブランド立ち上げから10年以上、一度も内容をアップデートすることなく売れ続けている化粧下地がある。大御所ヘアメイクアップアーティストの嶋田ちあき氏による「ブリリアージュ」のメイクアップベースだ。
同ブランドはショップチャンネルを中心に化粧品販売を行い、30代から60代の女性を中心に根強い人気を誇る。商品のクオリティだけではなく、高級路線のブランディングも立ち上げ当初から一貫しており、中でも販売方法はぶれることなくここまで来た。一方、長い間電話受注が半数を占めるブリリアージュでは、電話受注機能が充実したECカートの導入が急務だったという。そして半年前、ついにリピート通販専用カートを導入、EC環境は大幅に改善された。そこでブランドの立ち上げ時からEC運営を担ってきたという榎木祐介氏に、販売戦略やECサイト構築におけるこだわりについて話を伺った。
※今回は、ブリリアージュのECサイトに導入されているD2C・リピート通販特化型カート「リピスト」を提供する株式会社PRECSの協力のもと、インタビューを実施致しました。リピストに関するサービス資料は以下からダウンロード下さい。
150万本販売した化粧下地と松田聖子世代に刺さるショップチャンネルという販路
松田聖子のメイクを担当していたことでも知られる嶋田氏が2009年に立ち上げた「ブリリアージュ」は、30代から60代後半の幅広い層から支持されている化粧品ブランドだ。ブランド名は「ブリリアント」と「エイジ」の造語で、それぞれの年齢が持つ美しさを追求し、輝かせるというコンセプトを持つ。嶋田ちあき氏をはじめとした現役のヘアメイクアップアーティストが現場で使うほか、名だたる女優たちもプライベートで愛用しているという主力商品のメイクアップベース(化粧下地)は、これまで累計150万本を売り上げてきた。薄く塗るだけで肌の凸凹やくすみが取れ、しかも皮脂や汗で崩れにくいと評判の逸品は、どのようにして顧客の心をつかんできたのだろうか。
「ブリリアージュでは、立ち上げ当初からショップチャンネルを主軸に販売を行ってきましたが、番組内で行うパフォーマンスを観た方がその素晴らしさに驚愕し、爆発的に売れるという流れが出来上がっています。主力のメイクアップベースは崩れにくいことが売りの1つですが、霧吹きを吹いても水を弾いて取れません。その様子をお見せするだけで説得力が増し、嬉しいことに多くのお客様がご購入くださいます。販路をショップチャンネルに絞った理由は特にありませんが、嶋田が松田聖子さんのメイクを担当していたということもあり、その世代にマッチする媒体ということで受けが良いのではないでしょうか」(榎木氏)
▲株式会社グローバルブランディングマネジメント 榎木 祐介 氏
ブリリアージュはメイクアップベースとファンデーションの2本立てでスタートし、5年ほど前からアイメイクやリップなどの色物も展開するようになった。強みであるベースメイクを拡充させるところから始まった商品展開だが、立ち上げから10年以上経った今でも売れ筋はやはりメイクアップベースとファンデーションの2つだ。通常、化粧品はアップデートを繰り返すが、同社のメイクアップベースは一切中身を変えることなく、しかも普遍的に売れ続けている。
ブランディングにおいては、アッパー層をターゲットにしていたこともあり、当初から高級感を意識してきた。商品パッケージからECサイトのテイスト、外国人モデルの起用といった細部に至るまで、こだわってクリエイティブを作り上げてきたブリリアージュ。結果として嶋田氏の持つ世界観がブレることなく再現され、商品の良さと共に多くの女性に愛されている。
電話受注の機能が充実しているカートASPがサービス選定の絶対条件
前述のように、ブリリアージュでは2009年のブランド立ち上げからサロン以外の実店舗を持たず、ショップチャンネルと自社ECサイト、楽天やAmazonをはじめとしたモールを中心に販売を続けてきた。自社ECに関しては、立ち上げから2年ほどはEC-CUBEでサイトを構築していたが、2011年にフルスクラッチに変更。しかし2011年と言えばガラケーからスマホへの移行期で、当然ブリリアージュのECサイトもレスポンシブサイトではなかった。また、当時はフルスクラッチで構築していた為運用管理がとにかく大変で、アップデートしないとどんどん古くなっていく。カスタマイズを繰り返すとつぎはぎだらけになってしまい、限界が来ていたそうだ。
「やりたいことが10年間で相当溜まっていましたが、長きにわたってその状態を続けてきたため、どう変えるかということを2年ほど悩みました。そこで至った結論が、これからの時代、機能面を充実させるにはやはりカートASPにする必要があるということでした。しかしカートASPは万人受けするように作られているため、カスタマイズが難しく、何より私たちが求めていた電話受注の面が弱い。そこで追求したのが、電話受注の強いカートASPの導入でした」(榎木氏)
カートASPに替えるにあたり、かなりの数のASPにヒアリングして回ったという榎木氏。ブリリアージュは、ECサイトを見ながら発注するユーザーも含めると電話注文が全体の4割を占める。そのため、電話受注機能の充実は外せないポイントだった。しかし要件を満たすサービスを探すのは思った以上に時間がかかった。多くのサービスがサイト制作やカート部分の機能は強いものの、バックオフィス側の電話受注が充実しているものは2、3種類しかない。電話受注の機能が優れていると、オペレーターは電話をしながら専用画面にデータを入力し、同時にEC内での発注を完了させることができる。より手間をかけずに捌くにはその機能が必須だったが、そこで運良く出会ったのがD2C・リピート通販特化型カートのリピストだった。
リピストに惹かれた理由は価格とサポート対応の素早さ
リピストはブリリアージュが必要とした電話受注の機能が充実していただけではなく、他のカートに比べて価格が安く、何よりサポート対応の素早さが抜群だったことも導入のきっかけとなった。トラブルが発生すると、リピストの営業担当者がすぐに駆けつけて対応してくれるという。
「リピストの担当者はどの方もとても印象が良く、知識も豊富です。機能や仕様面に留まらず、ソースコードのことまで踏み込んだ質問でもすぐに答えが出る。大手サービスの場合はたらい回しにされることが多く、サポートに電話がつながらないこともザラにありますが、リピストの場合は電話やメールをしたらすぐに提案が返ってくるので心強いですね。ストレスは一切ありません。特に弊社はカスタマイズ案件が多く、売上を上げるために毎月何かしらの施策を打ち出しています。施策を1つ打ち出すと、同時に倉庫会社に対して指示書を出さなければならないので、そこはフレキシブルに対応していただく必要があります。たとえば1万円以上購入いただいたお客様にノベルティをつける場合、倉庫会社の出荷データにその指示が入っていないとうまく同梱してくれません。ですが、そういった場合もリピストさん側から出荷データの改修のご提案してくださるなど、施策面でも非常に助かっています」(榎木氏)
もう1つ、オプション機能が充実していることも導入の決め手となったそうだが、その点に関しては現在も非常に満足しているという。リピストの導入以前は、フルスクラッチで構築した古い土台に何かを乗せようとするため、機能を追加しようとするとかなりの工数がかかっていた。しかしリピストであれば必要に応じてプラグインのように組み込んでくれる。また、リピスト側が頻繁に機能をアップデートしてくれるので、気軽にオプションを追加していけるという。
「弊社ではやれることはどんどんやっていこうという気概でオプション機能はどんどん追加しています。今はLINE ID連携やEFOのフォームの最適化などを使わせていただいたり、請求書と商品を同時にお送りするNP後払いの同梱も考えています。やりたいことを取捨選択しながら自由に導入できるのは非常にいいですね。決済周りもかなり改善されました」(榎木氏)
▲ブリリアージュの購入フォーム
榎木氏は特にLINEを活用したOne to Oneコミュニケーションに注目しており、数あるオプションの中でもLINE ID連携は特に重宝しているという。ID連携によってさまざまなコンテンツを配信できるようになり、現在はユーザーに合った商品を紹介する診断なども行っている。顧客にとっても有益な情報を得られるLINE ID連携は「今後もっと力を入れていくべき重要な課題の1つ」と榎木氏は話す。また、ブリリアージュではLINE登録者だけに案内するシークレットセールも行っているが、そこでも時代はLINE ID連携だということを痛感しているという。
「メルマガとLINEの登録者数を比べると、LINEの方が絶対数が少ないものの、売上はメルマガを上回ることもあります。メルマガ以上にLINEの方がCVRが高いというデータも出ていて、やはりLINEは顧客との距離が近いことが勝因でしょうね」(榎木氏)
若年層へのアプローチも兼ねて全国で精力的にポップアップを
ブランドの立ち上げ以来順調に売上を伸ばしてきたブリリアージュだが、あえて問題点を挙げるなら「20代などの若年層へのアプローチが弱いこと」と榎木氏は話す。価格帯がドラッグストアなどで売っている所謂プチプラ商品ではないため、若者は購入しづらく、そもそも商品の良さを知ってもらう機会も少ない。そのため、ここ3年ほどは認知度を全国区に広げるために、デパートの催事などで頻繁にポップアップストアを展開しているという。ポップアップを行う際には、エリア内の会員にDMを送付したりメルマガを流しているが、実際に商品を手に取るとその良さに驚き、虜になる女性が多いそうだ。
「リアル店舗を持っていないがゆえ、ブランド認知が全国区に浸透しきっていないという実感はあります。売上に地域差が出てしまっているので、今はポップアップで認知度を高めている最中。今後はどんどん地方の人に使っていただきたいですね。日本人の黄身がかった肌色にこのメイクアップベースを塗ると、透明感が出ると非常に好評です」(榎木氏)
ECのこだわりはヘアメイクアップアーティスト目線のコンテンツ
ECサイトについてのこだわりを榎木氏に尋ねると、「ユーザーにとって有益な情報にすぐ辿り着けるような設計にしていること」そして「現役のヘアメイクアップアーティストが実際に使っているので、その目線からのコンテンツを頻繁に配信している」という答えが返ってきた。ブリリアージュのECサイトには、アイテムの使い方を動画で解説する「How toムービー」、そしてメイクのお悩み相談に答えるためにオウンドメディア「嶋田ちあきのBeauty Cuse」が用意されており、ほかの化粧品ブランドのECサイトとは一線を画している。
「ヘアメイクアップアーティストの知見や知識などのノウハウ的なものを打ち出しているところは少ないので、サイトとして嶋田の感覚をどう出していくかを考えました。それをお客様に見ていただき、商品購入の参考にしていただきたいと考えています。メイクのお悩み相談に関しては、スタッフが嶋田にインタビューして引き出した言葉が記事になっています。嶋田ちあきのBeauty Cuseは始めて約2年経ちますが、1カ月半に1本ぐらいのペースで公開しています。内容に関しては、商品の訴求を強めるための施策ではありますが、旬の情報になるようには気をつけています」(榎木氏)
記事公開後は情報をInstagramに投稿したり、Facebookのインフィード広告を出すなどして拡散もする。ブリリアージュでは、InstagramやGoogleのリスティングに比べてFacebook広告の方が商材とのマッチングが高く、スターターキットの広告を出すと驚くようなスコアが出るそうだ。動画に関しては「昨今はYouTubeをはじめとした動画メディアが盛んなので、動画をきっかけに購入いただければ」と話す。
今後は集まった顧客を徹底的に分析してさらなる売上げアップを目指す
ECや電話注文を始め催事や、Youtube、オウンドメディアなど数々の施策を展開し、11年連続で右肩上がりで売上を伸ばし続けてきたブリリアージュ。
今後の展望としては、よりしっかりと顧客分析を行って行きたいと話す。榎木氏は最後に「顧客分析はこれからという部分もある。勿論分析はずっと行ってきているが、より深く分析を行い、お客様により購入体験をしていただくための施策を展開していきたい」と結んだ。累計150万本売り上げているメイクアップベースは、顧客との距離を縮める施策によってさらなる売上アップを目指す。
ブリリアージュが導入しているリピストとは
リピストとは、単品通販・リピート通販に特化したショッピングカートASPサービスだ。LP一体型申込フォーム申込フォームや豊富なステップメールが特徴的なサービスで、アップセル機能、会員属性(顧客ランク機能)、広告効果測定、電話受注対応システムなどの機能もあるため、初心者の方から本格的なECサイト事業者様まで幅広く対応している。