欧州ブランドの54%は、自社のロジスティック機能の問題でeコマースの可能性が損なわれていると考えている。そのため、多くの小売業やブランドは、オンラインマーケットプレイスでのビジネスに頼っている。しかし同時に、マーケットプレイスへの依存は持続可能ではないと考え、eコマースの割合を自社チャネルにシフトしていきたい意向だ。
コンサルティング企業Accentureとフランス物流最大手企業GEODISは、米国と欧州のオムニチャネル小売・消費財ブランド大手200社を対象とした調査を行い、2つの重要な知見を得た。まず一つ目に、パンデミックの影響により、ブランドが売上をあげる場所が大きく変化したということ。ロックダウン中にオンライン売上は倍増し、オンライン直接販売に関しては、4倍の売上となった。欧州ブランドの56%は、オンライン直接販売が、3年以内に20%を超えると予想している。
「欧州ブランドの56%はオンライン直接販売の売上が3年以内に20%超になると予想」
「加速するeコマース成長をサポートできるほど、スケールアップされていないロジスティクス」
二つ目は、欧州ブランドの54%は、自社のロジスティクスがオンラインビジネス加速をサポートできるほどスケールアップされていないと考えていることだ。Accentureのマネージング・ディレクターであるSohel Aziz氏は次のように述べている。「多くのブランドが、マーケットプレイスを自社の製品を販売するためのワンストップ・ショップ(一か所で必要な買い物全てを済ませられる店)として利用している。そのため、リソースやロジスティクスインフラの不足を補い、幅広い顧客層にリーチすることが可能となり、同時に期待されるカスタマー・エクスペリエンスを提供することができるのだ」。
59%の欧州企業はマーケットプレイスに依存
現在、欧州企業の59%は、自社のオンライン販売をオンラインマーケットプレイスに依存しているという。これは米国企業(46%)よりも高い割合である。Covid-19の世界的流行以前は、オンラインマーケットプレイスのシェアは28%であったのが、パンデミック時には38%まで増加した。
「マーケットプレイスへの過度な依存は持続不可能」
しかし、この調査では、多くのブランドがマーケットプレイスへの過度の依存は持続可能ではないとしている。彼らは、マーケットプレイスとのバランスを、より自社のオンライン販売チャネルにシフトしたいと思案しているのだ。調査対象となった企業のおよそ2/3(64%)が、マーケットプレイスへの依存を減らすことが今後半年間の第一、または第二の優先事項であると回答している。
「マーケットプレイスへの依存を減らすことが多くの企業にとっての最優先事項」
欧州企業の56%は、3年以内に自社オンラインストア経由で、消費者に直接販売を行いたいと考えており、自社ストアチャネルにおいて、総売上の20%の売上を目指している。
Aziz氏は、次のように説明している。「現在、オンライン販売のうち、ブランド自社ウェブサイトからの直接販売は、わずか5~8%である。ブランド各社はこのシェアを、今後3年から5年で、20~30%に高めたい考えだ」。「この調査は、ブランドが自社のオムニチャネルロジスティクス能力向上の必要性を認識していることを示している。彼らの目標達成のためには、調整が直ちに必要なのだ」。
※当記事は英国メディア「Ecommerce News europe」の10/8公開の記事を翻訳・補足したものです。