カスタマーエンゲージメント・プラットフォームを開発するAirship は、全世界の約7億5,000万人のモバイルアプリでのユーザー行動を調査したグローバルベンチマーク(ハードウェアやソフトウェアの動作速度と性能を評価する基準)調査における、トップレベルの結果を公表した。パンデミックの影響と、データ規制の強化、AppleやGoogleによるアプリ審査の厳格化、そしてユーザー行動の継続的な進化による長期的な変化を区別するため、2020年2月を対前年比分析に使用し、 2020年3月から6月と比較した。レポート全文のダウンロードはこちらから。
Airshipのベンチマーク調査では、2019年2月(5億6,800万人)と2020年2月(7億4,400万人)において集計された全世界のアクティブアプリユーザー行動を対前年比分析し、2020年3月から6月までの全アクティブユーザーと比較した。調査対象には、2020年2月時点でのユーザー数が1,000万人以上のサブリージョン(地域)と業種が含まれ、同月におけるユーザー数が100万人以上の国は切り捨てとなっている。
主な調査結果
今回の主な調査結果は、世界的なパンデミックにより、減少傾向にある主要なエンゲージメント指標のいくつかが大幅に向上したことを示している。たとえば、2月の前年比分析では、全世界のアクティブなモバイルアプリのオーディエンスは30%以上増加したが、1ユーザーあたりの平均アプリの通知ダイレクト開封数は28.5%減少し、月間での開封数は17.6%となった。同様に、全世界における平均ダイレクト開封率は、6.44%から6.35%(-1.4%)に減少。これらの指標はともに、2020年3月から6月にかけて逆転傾向となり、開封率は29%増加、1ユーザーあたりで平均22.6のアプリが開封され、世界全体では8.2%のダイレクト開封率となった。
北ヨーロッパと西ヨーロッパのブランドにおいては、世界で最も高い平均ダイレクト開封率の増加がみられた。英国でもこうした傾向は顕著であり、1ユーザーあたりの平均アプリ開封率は29.1%の減少、通知ダイレクト開封率は前年比19.5%減少であったものが、2020年3月から6月にはそれぞれ平均で29.7%、40.3%の伸びとなったのだ。これは、英国のような国の消費者が、Web通知またはプッシュ通知からアプリを開く可能性が非常に高いことを示唆している。
モバイルアプリのエンゲージメント指標は、より成熟した市場から、モバイルのみの使用人口が多い新興市場、またパンデミックの影響を最も大きく受けている業種まで、地域レベルで異なる。サブリージョン、業種、モバイルオペレーティングシステム毎の調査結果全文を読むには、Airshipの 「The State of Global Mobile Engagement 2020」レポートをダウンロードしてほしい。
注目すべきは、世界的にみてGDPR(一般データ保護規則)の導入以降、アプリで現在地をシェアする人は、数年にわたり減少傾向にあるということである。位置情報の世界平均オプトイン率は、前年比で更に2.5%減少し、パンデミック以前には7.7%まで落ち込んだ。それが2020年3月から6月にかけて、ロケーションオプトインは毎月増加し10.7%に達した。これは39%の成長率であり、2018年以前には見られることのなかった絶対速度である。
小売業は、調査に含まれる12業種の中で最も高いオプトイン率である23.1%を維持している。医療・健康とフィットネス(+150%)、金融・保険(+128%)、旅行・輸送(+116%)を含む3業種では、2020年3月から6月にかけて平均ロケーションオプトイン率が2倍以上となった。
調査対象となった41か国の中で、インド、ルーマニア、メキシコ、日本、ブラジルでは、ロケーションオプトイン率が2020年3月から6月にかけて最も増加した。英国は6番目、米国は9番目に高い成長率となった。
AirshipのEMEA(ヨーロッパ、中東、アフリカ)担当マネージングディレクターであるPatrick Mareuil氏は次のように述べている。
「こうした結果は、パンデミックが我々の日常生活をサポートするモバイルの重要性をさらに確固たるものにしたことを明確に示している。モバイルアプリの利用と、モバイル上での直接的なコミュニケーションに対応したブランドとの消費者エンゲージメントが大幅に増加しているため、お気に入りのブランドとか関わる手段として、モバイルアプリを信頼する人が増加傾向にある」。
「消費者は、パンデミック下で、その場ですぐ必要な情報や最新の利便性を得るために、新しい行動とより優れたモバイルインタラクションを採用してきた。そして、その多くは今後も拡大し続けるだろう。したがって、マーケティングチームは、こうした傾向を捉えるため、モバイルに更なる投資を行い、ブランドに対して求めるものすべてに指先を動かせばすぐにアクセスできる非接触型のダイレクトな体験を提供することにより、顧客をサポートする必要があるのだ」。
※当記事は英国メディア「Mobile Marketing Magazine」の10/2公開の記事を翻訳・補足したものです。