広告ターゲティングにおいて、GoogleはGDPRやCCPA、ITPにどのように対処しているのか
Googleはマーケティングプラットフォームであるが、自社のハードウェアやソフトウェア、サービス、スマートホーム製品を販売するデジタルマーケティング企業でもある。その意味で同社は、あらゆるデジタルマーケターと同様に、プライバシーやデータ規制に関する課題に直面している。つまり、GDPR(General Data Protection Regulation / EU一般データ保護規則)やCCPA(California Consumer Privacy Act / カリフォルニア州消費者プライバシー法)、さらにITP(Intelligent Tracking Prevention / Appleのwebブラウザ「Safari」に搭載されたサイトトラッキングの抑止機能)についてだ。
Googleは、パーソナライズとプライバシーのバランスを取りながらCookieデータやトラッキングの課題にどう対処しているかを説明する投稿を行った。それは、他のデジタルマーケターにとって有益なものとなっている。
Googleが直面する3つのマーケティングの課題
Googleは、プライバシーの取扱いに注意すべく、この新たな環境における3つの基本的な課題を挙げている:
- Cookieやサードパーティ(ユーザーが閲覧しているWebサイトのドメイン以外の第三者)のデータ規制が強化された中での、オーディエンスターゲティングとリスト作成
- 広告のフリクエンシー(接触頻度):cookieデータがないとしても、広告が何度も表示されないようにする
- 利用可能なデータが少ない状態での、広告のパフォーマンスとアトリビューション
これらの問題への対応として、Googleは、ファーストパーティのデータへの依存が大きくなっているとして、次のように述べている。「誰かがGoogleストアのウェブサイトにアクセスして特定の商品に関心を示し、適切な同意が得られた場合、我々はそのデータを使用して、将来その人に表示する広告を決定することができる」。
機械学習と予測モデリング
Googleはまた、ユーザーに広告が過度に表示されないようにするために、機械学習と予測モデルを使用。同社は別のブログ記事で、「サードパーティのCookieが利用可能な場合、トラフィックパターンを使用し、Google アドマネージャーパブリッシャー全体の集合レベルでそれらを分析している。そして、サードパーティのcookieが存在しない場合には、トラフィックパターンの予測モデルを作り出す」と、解説している。
さらに同社は、「ある人の関心や好みを正確に判断して、広告をパーソナライズする」ことができない場合、コンテキストを使って広告をコンテンツと一致させる。しかしこれは、古いAdSense(Googleが提供するコンテンツ連動型広告配信サービス)のようなものではなく、より洗練されているものだとのこと。
Googleのコンテキストターゲット型の広告
Google Home Miniの広告の見出しはページのコンテンツに応じて変化している。
ここでは、英国大手新聞The GuardianのウェブサイトにあるGoogle Home Miniの広告の事例を用いよう。広告は、食品に関する紙面に掲載されていた。Googleは記事の内容を分析し、広告コピーがページのコンテンツに一致、対応するよう変更を行った。
また、Googleは、プライバシー問題や規制、そして、将来的な変更が同社のマーケティング能力や戦術及ぼす影響に対し、重点的に取り組む社内チームを設けたと言及。「このチームの目標は、各々のシナリオが当社のキャンペーンに及ぼす影響を予測し、我々の対応戦略を立案することだ」。
なぜ気にかけるべきか
ある意味でGoogleは、他社と同じ運命にある。同社は、投稿で「より多くの変化が起きるであろう。当社のデジタルマーケティング実務が、どの程度進化する必要があるかは完全には明らかになっていない」と述べ、ほとんどのデジタルマーケターが今日感じている不確実性に対する不安を示している。だが同社は、世界最大のデジタルメディア企業でもあり、来たるプライバシーの嵐を乗り切るための、他社にはない規模面、データ面、そして技術面におけるさまざまな利点を有しているのだ。
※当記事は米国メディア「Marketing Land」の12/16公開の記事を翻訳・補足したものです。