トラッキングツールを徹底的に見直すことは、CRO(コンバージョン率最適化)フレームワークの改善につながる。なぜなら、自社のプラットフォームを理解すれば、特定のビジネス戦略のために最も有効に活用する方法を見出すことができるからだ。
すでに、CROの基礎と、CROがマーケティング戦略に不可欠である理由を理解している人も多いはずだ。(要するに、優れたCROフレームワークによって、売上と収益をアップさせ、有料メディアのコストを削減することができるということ。)それは、非常に素晴らしいことである。しかし、どのようにスタートすればいいのか?
コンバージョン率向上のために全てのマーケターが注力するであろう“サイトスピード改善”を始めとするいくつかの一般的な取り組みがある。しかし、ベストプラクティスのリストはどこで見つけることができるのだろうか。残念なことであるが、現実にはすぐに利用できる便利なチェックリストは存在しない。CROは、ただ、いくつかの変更を適用し、最善の結果が出るように成功を祈りながら観察するだけでは不十分である。
データと分析によってCROが向上する
どのコンバージョン率最適化施策が成功するかは、もちろんケースバイケースである。全てのブランド、サイト、そしてカスタマージャーニーは異なるのだ。さまざまなニーズ、目標、トラフィック、デザイン、言語による無数のサイトが存在しており、たとえあるサイトに有効な施策があったとしても、それが他のサイトで機能するとは限らない。いかなるサイトも、独自の目的のために存在すべきである。各サイトの訪問者の、現時点と将来の懸念に対応し、その価値を提供すべきである。決して直感を信じてはいけない。なぜなら、ビジネス上のどんな種類の決定も、エビデンスに基づいた判断によって下されなければならないからだ。そのエビデンスとは、つまり「データ」である。さもないと、売上の損失につながる決定を下してしまう可能性があるだろう。
データ分析によって、自社のサイトが実際にどのように機能しているかを詳細に理解することができる。そして全体像を把握し、チャンスを見出すことができるだろう。データ分析により、コアとなるカスタマージャーニーと行動を導き出し、投資収益率の最大化はもちろん、多くのユーザーがサイトを離脱するフリクション・ポイントとエリアを限定することが可能だ。これにより、多大な時間と手間を省くことができ、コンバージョン最適化のために必要な改善点を絞り込むことができる。そして、データ分析は、定性調査と併用することにより真の力を発揮し、消費者がサイトを離脱する主要原因だけでなく、サイトに留まる理由の本質を掘り下げることができるのだ。
ビジネスツール
今や、かつてのサイロ型プラットフォームではなく、Google Analytics(GA)のような分析ツールを使用し、マルチチャネルにおけるパフォーマンスの全体像を把握することが不可欠である。さまざまなツールに手をつけるのではなく、一元化された視点でパフォーマンスを評価することにより、各チャネルと他のチャネルを容易に比較することができるのだ。また、全世界の何百万ものサイトに繋がるGAのようなツールを利用することにより、より有効なインサイトを得ることができるだろう。正確な分析ツールを使用することと同様に、もちろんツールを最大限に活用する方法を知ることも重要である。
GAを使い始めた初期の段階では、多くの優れた機能に無料でアクセスできるが、CROに必要な高度な知識を獲得するためには不十分である。GAなどのデータ分析プラットフォームは非常に有益なインサイトを提供しているが、その有効な活用方法を知らなければ意味がない。そのためにはまず、レポートの微調整を行うべきである。そして、GAの「カスタムディメンション」、「フィルタ」、「セグメンテーション」を活用すべきである。プラットフォームを活用すればするほど、より多くを得ることができる。そして、利用しているプラットフォームについての詳細なトレーニングを受けることは、確実に価値があることだろう。それは、自社の特定のビジネス戦略に、プラットフォームをいかに活用することできるかを検討するのに役立つからだ。
データ分析とCROはどこからスタートするべきか?
変更を加える前にまず、ツールとトラッキングを綿密に精査し、現在の設定を徹底的に調査する必要がある。正しいデータを収集できているのかどうかを自問してみるべきだということだ。データは、頑健で、信頼できるものか?社内にCROと分析の専門チームをまだ持っていない場合、ここに問題が生じている可能性が高い。まず、自社の目標とイベントをチェックし、スニペットを追跡し、設定を絞り込み、設定を起動させよう。
また、一元管理されたタグの設定も重要である。タグを登録することで、トラッキング、分析、およびレポートを一元管理することができる。完全に同期されたタギング・ソリューションを使用すれば、自社のサイトについて知りたい情報をすべてトラッキングすることができるようになる。より多くのタグを登録すれば、それだけ、ユーザーがどのように自社サイトとか関わっているか理解することができるだろう。ページに新しい要素を作成したら、それをタグ付けしなければならない。多数のテストを実行していたり、多くのツールを使用していたりする場合は、CRO向上のためにタグ・マネージメントを最大限に活用すべきなのだ。テストについて言うと、A/Bテストは多くのケースでデジタルマーケティングの中心となる。異なるデザイン、もしくはコピーを比較するテストであっても、A/Bテストを行うことにより、パフォーマンスを評価するためのデータを収集することができる。また、使用しているツールによってはA/Bテストの結果を分析ツールに送り返し、さらなる分析を実行することで、より詳細なセグメントを深く掘り下げ調査することも可能である。
分析は必要不可欠
科学研究の報告書を見たことがある人であれば、CROの基本と非常によく似ていることに気付くだろう。基本は、研究、実験、分析で構成されている。最初から最後まで、すべてがデータを根拠としている。さらに厳密に言えば、“正確な”データを根拠とする。何を実行する場合、扱っているデータが信頼できるものであるかどうかを確かめなければならない。現在は非常に多数の測定基準が存在するため、自身の考えを裏付けるデータを意図的に見つけ出すのには危険がある。CROは、信頼性の低いデータを使用する危険性を最小化し、正当な根拠に基づき改善を行うことを目的としている。つまり、優れた分析ツールの設定は、やはり非常に重要なことなのである。
※当記事は米国メディア「Marketing Land」の1/17公開の記事を翻訳・補足したものです。