このロードマップは、デジタル広告において、エコシステムを一から再構築するのではなく、既存の標準規格を活用してAI主導の広告展開を拡張する方法を示している。


IAB Tech Lab(米国のオンライン広告業界団体IABが設立した技術標準化組織)は、デジタル広告業界が既存の仕組みを損なうことなく、エージェント型取引の拡大を図る方法を示す「エージェント型ロードマップ」を発表した。この計画は、安全かつ相互運用可能なエージェント型実行を支えるため、全く新しい規格を創出するのではなく、既存の規格を新たなエージェント型・高性能プロトコルで拡張することに焦点を当てている。迅速な展開を図るため、同組織は新たなエンジニアリングリソースの追加を含むAI開発への専用投資も実施している。

IAB Tech LabのCEO、Anthony Katsur氏によると、エージェント型実行は未来の構想ではなく、すでに今日のデジタル広告業界で実現されているという。課題は、エコシステムを分断することなく、責任を持って規模を拡大することにある、と同氏は述べる。ロードマップでは、複数の競合するフレームワークを導入することに伴う混乱や非効率性を回避するため、オープンで共有された標準を基盤として重視している。

ロードマップの中核を成すのは 、OpenRTB(リアルタイム入札(RTB)における広告インプレッションの入札を行うためのAPI標準)、AdCOM(OpenRTBなどで利用される広告取引データのオブジェクト構造を標準化する仕様)、OpenDirect(プレミアム広告枠をプログラマティックに予約・取引するためのAPI標準)、VAST(動画広告の配信・計測に必要な情報を定義する標準テンプレート)、Deal API(プログラマティック広告におけるディール条件や取引情報を管理するためのAPI標準)といった業界が既に活用している確立された標準規格に加え、Open Measurement(広告の視認性などを安全かつ共通方式で計測するための標準)、Conversion API(広告のコンバージョンをプライバシーに配慮しながら測定するためのAPI)、GPP(各国のプライバシー規制に対応した同意・プライバシー信号を表現する共通フレームワーク)、TCF(ユーザーの同意を管理するための欧州向け標準)といった測定・プライバシーフレームワークだ。これらをModel Context Protocol(AIエージェントが外部ツールやサービスとやり取りするための標準プロトコル)、Agent2Agent(AI エージェント同士が通信・協調するためのオープン標準プロトコル)、gRPC(高速で効率的なリモート手続き呼び出しフレームワーク)といった新しいプロトコルと組み合わせることで、ガバナンスと信頼性を維持しながら、マシンレベルのスピードでの実行と独立したシステム間の連携を実現する。

IAB Tech Labは2026年を見据え、バイヤーエージェントとセラーエージェント向けのオープンソースのリファレンス実装、標準化されたエージェントプロファイル、そして実稼働環境におけるエージェント型ワークフローをサポートするための追加ツールの提供を計画している。また、同組織は2026年1月28日に公開ウェビナーを開催し、続いて2月からは対面式の「エージェント型AIブートキャンプ」シリーズを実施する。その目的は、代理店、パブリッシャー、ブランド、そしてテクノロジープロバイダーが、デジタル広告スタックを一から再構築することなく、リスクを抑えながら、エージェント型実行をより迅速に導入できるよう支援することにある。


※当記事は米国メディア「Martech」の1/6公開の記事を翻訳・補足したものです。