Googleのサードパーティクッキー代替プランは有効なのか?

 

マーケターは、いくつのアドレサビリティ(顧客の個を特定する方法、及びそれを活用した広告手法)の代替案をもっているだろうか?

 

IDプロバイダーの数と同じくらいだろうか?それに加えて、データプロバイダやアドテクベンダー、そして、Google Chromeのプライバシーサンドボックス(Googleが提唱するユーザーのプライバシーに配慮した新たな広告プラットフォーム)に取り組んでいるオープンソース開発者の数と同じだろうか?

 

現在の状況は、魅力的である。業界全体における連携と、クッキーの代替案を実現するベンダーとなるための熾烈な競争の間で揺れ動いている。結局のところ、サードパーティクッキーによるゲームは終了したが、誰もが、何らかの形態のコンテクスト広告への回帰が実行可能な代替案であると自信を持っているわけではない。最近、現在存在する代替案のどれが残るかについて多くの人と議論した。1つのスタンダードに集約されるのか、または、幅広い選択肢を持つことになるのだろうか?そして、最終的には、マーケターが期待するROIを実現するのだろうか?

 

 

サードパーティクッキーに代わるGoogleFLoCプランは、有効なのか?

 FLoC(Federated Learning of Cohorts、またはFLoC)は、Chromeのプライバシーサンドボックスにおいて開発中の主要なアドレサビリティ代替手段の1つである。基本的には、個人で構成されるグループのオンライン行動を追跡し、そのデータをブラウザレベルで保存するものだ。これにより、マーケターは、匿名化されたターゲット可能なオーディエンスを獲得することができる。

 

FLoCが、マーケターに対しどれだけ説得力を持つかについては、意見が分かれている。米国テクノロジー企業のNeustar社のSVP兼マーケティングソリューション担当GMであるMichael Schoen氏は、「Googleが公表した初期結果は有望である。しかし、その結果を考慮する場合は慎重になる必要がある。なぜなら、 Googleは、多くのケースで、全くターゲティングしていない広告と比較しているからである。現実には、全くターゲティングしていない広告を出稿する広告主などいない」。

 

メディア企業向け広告ソリューションを提供するboostrの創設者兼CEOであるPatrick O’Leary氏は、広告主が、Googleだけでなく、アドテクベンダーやデータベンダーからも非常に多数のアドレサビリティの代替案が提案されていることに対して、ますます懸念を募らせている可能性が高いと述べている。「その代替手法は、Chromeのみ対応するのか?AppleやAndroidデバイス、Rokuやセットトップボックスではどうなのか?Verizon Media(米国の大手電気通信事業者Verizonのメディア部門)が、IDソリューションを提供すると発表し、DSP(デマンドサイトプラットフォーム)も、IDソリューションをもっている。広告主であれば、そのどれもが相互運用不可能となるのではないかと混乱し、懸念するだろう」。

 

 

Facebookを激怒させたAppleIDFAプラン

消費者のプライバシーを保護するためのサードパーティクッキー代替手段開発において話題となっているのは、Googleではない。AppleのIDFA(Appleがユーザーの端末にランダムに割り当てるデバイスID/広告主向けアプリ内識別子)に関する変更は目前に迫っているが、その提案内容の詳細は、懸念を生じさせている。そして、Facebookは、完全に激しい非難を浴びせた。

 

Appleデバイス上のすべてのアプリは、トラッキングを可能にするためには、消費者の明示的オプトインを必要とすることを強制されることになる。「Appleは、この分野では、非常にアグレッシブなスタンスである」と、NeustarのMichael Schoen氏は、Marketing Landに語った。「なぜなら、アプリは、オプトインが必須となるだけでなく、強制的にオプトインを要求することになる可能性がある。もし、アプリがオプトイン機能を提供せず、消費者が自発的にオプトインしなければ、そのアプリは文字通りIDFAにアクセス不可となる。また、Appleは、直接ブロックできなくても、他の識別子を使用しないよう要求している。今後、実際にどのように展開されていくのか、興味深い」。

 

Facebookは、積極的に、消費者にオプトインするようにメッセージを送るだろう。そして、すでに、Appleの動向を反競争的であると避難している。boostrのPatrick O’Leary 氏は、次のように述べている。 「ログインユーザーを持つことは、財産である。Facebookは、ログインユーザーに関する非常に豊富な行動やコンテクストに基づいた情報を所有している。Facebookが恐れているのは、(ユーザーが)ネットワークの外に出る選択肢を持つことである」。携帯電話からのみ、Facebookにアクセスするユーザーは約80% (もちろん、少数の割合は、iPhoneでアクセスするだろう)であるため、ユーザーがオプトインを選択しない、または、面倒でオプトインしなければ、Facebookは、広告ターゲティングのために使用するデータの多くを失うことになる。

 

なぜ、留意すべきか?Facebookは、2020年の広告ボイコットを完全に乗り越えたことを証明したが、同社が(同意なしで)ユーザーデータを収集することを阻止しようとする動きは、マーケターへの同社の価値提案の核心に影響を与えている。

 

AutomatticParse.lyを買収予定

オープンソースCMS(コンテンツマネジメントシステム)「WordPress」を所有する営利企業であるAutomatticは、広く利用されているコンテンツ分析プラットフォーム「Parse.ly」を買収し、WordPressのエンタープライズ部門「WordPress VIP」との統合を目指すと発表した。WordPress VIPのクライアントは、Parse.lyのコンテンツ測定及び分析機能、AI駆動型コンテンツレコメンデーション機能などを利用可能となる。

 

買収にかかる費用は明らかにされていない。

 

なぜ、留意すべきか?今回の買収によって、WordPressはパブリッシャー向けCMSとしての市場優位性を強化することができる。

 

GoogleGoogle NewsDiscoverでのペナルティ行為向けの新たなマニュアルアクションを公開

Google は、Google News と Discover スペースに掲載されているパブリッシャー向けの新しいマニュアルアクションガイドラインを公開した。このマニュアルアクションでは、アダルトコンテンツ、メディア操作、誤解を招くコンテンツ、冒涜的な表現などのコンテンツ違反に対して罰則が課せられている。

 

Google News や Google Discoverにおいて、ポリシー違反が判明したパブリッシャーは、検索結果から除外される可能性がある。

 

 

 

※当記事は米国メディア「Marketing Land」の2/9公開の記事を翻訳・補足したものです。