消費者の多くが毎月500~2,000インドルピーをオンライン購入に費やしている。


eコマースはインドのショッピング事情を劇的に変化させ、消費者は自宅にいながらにして、これまでにないほど多種多様な商品を手に入れることができるようになった。インターネットの普及が進み、スマートフォンの利用がユビキタスになるにつれ、インドの消費者は買い物のニーズをオンライン・プラットフォームに求めるようになっている。インドにある非営利の研究シンクタンク、PIF(Phale India Foundation)が最近作成した「Assessing the net impact of e-Commerce on employment and consumer welfare in India(eコマースがインドにおける雇用と消費者福祉に与える究極的な影響の評価)」と題する消費者レポートは、インドにおけるeコマースの支配力拡大に関する興味深い洞察に光を当てている。

このレポートは、消費者の大多数がeコマースプラットフォームにかなりの時間を費やしていることを明らかにした。回答者の90%以上が週に1時間以上インターネットを利用し、40%近くが週に10時間以上をオンライン活動に費やしている。特筆すべきは、回答者の半数以上が週に2時間以上オンラインショッピングを利用していることで、特にTier3(人口50万~100万人未満)の都市に住む18歳から25歳の若年層で、顕著な傾向が見られる。

支出においては、消費者の多くが毎月500~2,000インドルピー(約900~3,500円)をオンライン購入に費やしている。興味深いことに、男性はこれらのプラットフォームに費やす時間が長いが、女性は有料サービスに加入して頻繁に購入する傾向が強い。この傾向は、Tier 3の都市で特に顕著で、Tier 1(人口400万人超)やTier 2(人口100万~400万人未満)の都市の消費者に比べ、高い支出レベルを示している。


人気のプラットフォームとショッピングの好み

インドで最も人気のあるeコマースプラットフォームは、Flipkartであり、僅差でインドのスタートアップ企業、Fashnear Technologiesが所有するオンラインショッピングプラットフォームMeeshoAmazonと、ファッションeコマース企業のMyntraが続く。これらのプラットフォームは、特に小規模都市で好まれ、Flipkartがオンライン販売を独占している。FlipkartとAmazonは男性に人気が高いが、Meeshoは女性の間でより強い支持を得ており、60%以上の女性が「頻繁に利用する」と回答している。

特定のプラットフォームに対する嗜好は、所得水準によっても異なる。年収が30万インドルピー(約50万円)から120万インドルピー(約200万円)の消費者は同じようなプラットフォームを好むが、高所得者はMyntraやニューデリーに拠点を置くインドのeコマース企業Snapdealのようなプラットフォームを避ける傾向がある。InstagramWhatsApp(世界最大級のフリーウェア、クロスプラットフォームの集中型メッセージングサービス)のようなソーシャル・メディア・プラットフォームもeコマースで重要な役割を果たしており、これらのチャネルを利用して購入する消費者が目立っている。


伝統的なショッピングと現代的なショッピング

eコマースの台頭にもかかわらず、伝統的な実店舗は、特に食料品やFMCG(Fast Moving Consumer Goods、日用消費財)のような頻繁に購入するものについては、その地位を保ち続けている。同レポートは、高頻度の購入はまだ実店舗で行うのが一般的だが、計画的な大量購入のためにオンラインプラットフォームを利用する消費者が増えていることを強調している。アパレル、電化製品、パーソナルケア製品などのカテゴリーでは、eコマースプラットフォームが提供する利便性と多様性によって、オンラインエンゲージメントが高まっている。

新型コロナウイルス感染症のパンデミックにより、オンラインショッピングへの移行が加速し、パンデミック中にオンラインで買い物を始めた多くの消費者が、パンデミック後もその習慣を続けている。この傾向は、衣料品、電化製品、食料品などのカテゴリーで特に顕著で、ロックダウン中にオンラインショッピングの利便性と安全性が欠かせない存在となった。


※当記事はインドメディア「Entrepreneur」の8/26公開の記事を翻訳・補足したものです。