TD Bankは、あらゆるタッチポイントで一貫したブランド価値とメッセージを伝えることを目指し、新しいサウンド・アイデンティティを展開している。
カスタマー・エクスペリエンス（CX）がうまく機能すれば、顧客はタッチポイントからタッチポイントまで一貫したシームレスなインタラクションを企業と共有できる。CXの特徴として見過ごされがちなのが「音」である。カナダの五大銀行の一つ、TD Bank（TD）は、音こそが顧客、同僚、そして地域社会とつながる鍵だと考えている。そこで同社は、感情的なつながりを築くことを目的とした親しみやすいテーマでカスタマージャーニーの重要なポイントをまとめる、新しいサウンド・アイデンティティを作成し、デジタルタッチポイントやATMなどの物理的な場所に展開している。
TDのグローバル・ブランド・マネジメント担当シニア・グループ・マネージャーNathan Strawn氏は、「TDのサウンド・アイデンティティの主な目標の1つは、たとえば、米国の半導体、電子工業メーカーIntel、米国の動画配信サービスNetflix、米国のファーストフードチェーンストアMcDonald’sのロゴがそれぞれのブランドで認知されているのと同じように、TDブランドとして認知され、連想されるようにすることである」と語っている。「つまり、私たちは雑音を断ち切って、記憶に残るような存在になり、（そして）エモーショナルなものを開発したいと考えている。顧客は私たちのすべての活動の中心であるからだ」と続けた。
顧客体験のためのサウンド作り
TDはソニック・ブランディング・エージェンシーSixième Sonと協力し、楽観的でキャッチーな楽譜を作成した。サウンド・アイデンティティの中心的な構成要素は次の2つである。
ブランドメロディー
より短い「サウンド・ロゴ」
「これはTD初のサウンド・アイデンティティである」と、Strawn氏は述べている。
「過去にもコマーシャルソングはあったが、今回のようなものはなかった」と続けた。
SixièmeSonの社長兼チーフクリエイティブオフィサーのMichael Boumendil氏は次のように述べている。「顧客向けの音響体験を作成することで、ブランドは特定のコミュニケーションの角度に戦略的に取り組みながら、すべてのコミュニケーションをより正確かつ繊細に、一貫性をもって強化することができる。これはブランドの勢いを生み出すための究極のツールである」。
「サウンド・ロゴは、TD Shield（当社のロゴ）がどのように聞こえるかを表したもので、言い換えれば、TD Shieldに相当するオーディオである」と、Strawn氏
は言う。「私たちはさらに一歩踏み込んで、さまざまな顧客のタッチポイントに適用できるようなサウンドとミュージックによるソニック・エコシステムを作った」。
顧客体験のタッチポイントには以下が含まれる。
●コールセンターでの保留メロディー
●動画広告
●ポッドキャスト／オーディオ広告
●カナダ国内のATM
●カナダ国内支店のオーバーヘッド音楽
●カナダ国内支店の電話回線
新しいサウンドは、以下のような内部資産にも利用されている。
●イベントの音楽
●同僚のサポート電話
●社内ビデオ
「当社のサウンド・アイデンティティは当社のブランド・アイデンティティの拡張であり、顧客がTDと対話するたびに、一貫した体験を反映するものである」と、Strawn氏は述べる。「私たちのサウンド・アイデンティティは一貫しており、簡単に認識できる、心地よいものである。そして、すべての顧客がアクセスできるよう、ブランドを拡大するための目的を持った方法である」。
ブランドの目標
この新しいサウンド・アイデンティティは、あらゆる体験において一貫性を保ち、顧客の信頼をサポートすることを目的としている。TDはまた、新しいサウンドが実現することに大きな期待を寄せている。
「私たちは、ブランド・リコール（想起）、認知度、アトリビューション、知名度が上がることを望んでいる」とStrawn氏。「強力なサウンド・アイデンティティをデザインすることで、ブランドはすべてのタッチポイントで一貫したメッセージを発することができ、アトリビューションと想起が高まり、ブランドの資産価値が構築される」とBoumendil氏は言う。
「サウンド・アイデンティティは私たちのブランド・バリューを反映したもので、私たちのブランドが見えないときでも、私たちの声を届けることができる」と、Strawn氏は語った。
このサウンド・アイデンティティのサウンドは、ブランドの約束、価値観、戦略といった、同社が以前に開発した「ブランド・パーソナリティ」に沿ったものだった。Strawn氏によれば、メロディーは本物で、情熱的で、先進的でなければならなかった。これは、手拍子、ベル、ヴォーカル、その他のジャズのようなでアップビートなサウンドで強化された。
「当社は、人々を銀行の中心に据えることに重点を置いており、その楽観主義が私たちのサウンド・アイデンティティにも表れていると信じている」とStrawn氏は語った。
音によるアイデンティティの強化
楽観主義は同社のブランドの重要な要素である。顧客が広告、オンライン、電話で一貫して耳にする新しいサウンド・アイデンティティは、より馴染みがあるものとなり、同社をさらに親しみやすい存在にしてくれる。
「私たちのゴールは、顧客に私たちのサウンドとのつながりを感じてもらうことだ。それは、まるで馴染みの地域を通り、地元のTD支店に足を運んでいるかのような、好感の持てる明るいサウンドである」とStrawn氏は言う。「銀行中心ではなく、顧客中心であるということだ」。
サウンド・アイデンティティの重要な手がかりのひとつが、ドアチャイムである。このサウンドは、TDの店舗に行くことが地元のお店に立ち寄るような印象を与える。
「私たちは、人間の温かさ、心地よい空間、自信に満ちた対話の場、言葉が発せられ、声が聞こえるような空間をデザインしたかったのだ」とBoumendil氏は語った。
音の成功を測定
Boumendil氏によると、TDはオーディオ測定およびソフトウェア会社Veritonicと協力し、ブランド価値に照らして感情的なエンゲージメントを評価した。同社は、一貫性と認知度の目標を達成するために、継続的な調査とテストを実施し、測定に役立てるとStrawn氏は述べた。
「私たちは、サウンド・アイデンティティやサウンド・ロゴのパフォーマンスを評価するために、どのテスト方法が最も適切かをクライアントが決定する手助けをしている」とBoumendil氏。「私たちは、サウンド・アイデンティティが注目を集める能力をテストしたいと考えている。なぜなら、長い目で見れば、そして繰り返し行うことで、それこそが想起を呼び起こすことになるからだ」と語った。
「私たちのサウンド・アイデンティティが顧客に与える影響を理解するためには、現場の声に耳を傾けることが重要である」とStrawn氏は語った。「これは、フィードバックを収集する方法を継続的に検討し、サウンド・アイデンティティをタッチポイントに取り入れ、一貫性を持って行うことを意味している」。
素早い導入
「導入は成功の重要な要素である」とBoumendil氏は語る。
「私たちは、最もインパクトのあるサウンド・アイデンティティをデザインすることができた。適切な導入戦略がなければ意味がない」と続けた。
同氏はさらに、「そのため、経営陣の承認を得た後は、非常に明確な音響ガイドラインを作成し、社内チームに共有することに常にこだわっている。TDブランドチームは、私たちが開発したすべてのツールを早期に共有するという素晴らしい仕事をしてくれた。これほど巨大な組織で、ツールがこれほど迅速に導入されるのを見るのは珍しいことである」と付け加えた。
「これまでのところ、反応は非常に良好だ」とStrawn氏は語る。「同僚や消費者は、ATMなどでの取引の最後に、新しいサウンド・ロゴを聞いて喜んでいる」。
