QSR(クイックサービスレストラン)チェーンのBurger Kingは、NFTマーケットプレイスのSweetを起用し、コレクション性がありトレード可能な懸賞を考案。
先週、QSRチェーンのBurger Kingは、BK Keep It Real Mealsを中心としたNFT(Non-Fungible Token:非代替性トークン)を使ったプロモーションをスタートした。今回のプロモーションは、NFTマーケットプレイスのSweetがデザインとサポートを行い、その体験と手軽に使えるテクノロジーに焦点を当てている。
今回の試みは、コレクション性のあるNFTへの関心に乗じて、消費者の注目とエンゲージメントを持続的に向上させるためにブロックチェーン技術を利用する方法を見つけようとしている多くのブランドに影響を与える可能性がある。つまり、重要なのは体験である。
Burger Kingの広報担当者は、次のように述べている。「Burger Kingのすべての活動の核となるのは、ゲストの体験である。私たちは、ゲストと関わる革新的な方法を常に探している」。
「BK Keep It Real Mealsキャンペーンは、今回のような大規模なNFTベースのゲームを開始するのに適していると感じた。ゲストは、ユニークで、文化的で、関連性の高い方法で、当社ブランドと本キャンペーンに関わることができる」。
手軽に参加できる魅力的なキャンペーン
SweetのCEOであり創業者でもあるTom Mizzone氏は、「箱の中におもちゃが入っているようなものである。しかし、それは、デジタルのおもちゃだ」と言う。
顧客は、ポップアーティストのNelly、Anitta、LILHUDDYが監修した3種類の「Keep It Real Meals」メニューの中から1つを注文する。そして、ミールボックスに記載されているQRコードを携帯電話でスキャンし、Sweetアプリをダウンロードし、NFTゲームピースを獲得、収集する。さらに12時間ごとに、再びボックスをスキャンすると、新しいゲームピースを受け取ることができるため、参加者はゲームに夢中になり続ける。
プレイヤーは、同じ「スーツ」(ハンバーガー、ポテト、シェイク)のピースを3つ集めると、4つ目の報酬型NFTを獲得できる。(各ミールに対応するNFTは、各スーツの他に3種類のバリエーションがあり、1つのミールにつき9種類のNFTがある。)
また、ユーザーは、Sweetアプリ内で他のユーザーとNFTを交換し、コレクションを充実させることができる。
ノベルティよりも実用性
今年の初め、メキシカンファーストフードのTaco Bell はNFTを使ったプロモーションをいち早く導入したことで話題となった。今年の春にこの分野を観察していたところ、デジタルアーティストBeepleによるNFTアートが注目され資金を集めたのと同様の方法で、オークション目的のイベントや体験に関連したブロックチェーン技術が発展していることがわかった。
Burger Kingのプロモーションでは、さまざまなレベルで実質的な価値を付加するために、Whopperサンドイッチ1年分、サイン入りグッズ、さらには参加アーティストの一人と特別に電話ができるなど、コレクターにリアルな報酬を提供している。
「ブランドと仕事をしていると、ノベルティを配布するだけでなく、それ以上のことをしたいと考える。Burger Kingのキャンペーンは、ミールボックスの側面にゲームピースを配置することで、ゲーム性を持たせている」とMizzone氏は語る。
Burger Kingの広報担当者は、次のように話す。「私たちには、大胆に新しい技術を試してきた歴史がある」。「Sweetを使ったNFT体験が目指すものは、真の価値を提供しながら、ゲストが簡単にアクセスできるようにすることだ。これは、デジタル統合の次のステップであり、一回限りのノベルティタイプの “ドロップ(配布) “を超えて、ゲストの体験を向上させるさまざまな方法を探ることができると考えている。
ブランドストーリーの拡大
Burger Kingのプロモーションは、現代のスターや彼らが監修したミール、そして、モバイルやブロックチェーン技術を使ったNFTの収集や取引に対して抱く興奮を利用している。昔ながらのコレクターズアイテムのように、Burger Kingブランドとのつながりを構築し、ノスタルジーさえも生まれている。
Burger Kingの広報担当者は、次のように述べている。「ある意味、NFTはミールボックスに同梱されているおもちゃに相当するデジタルなものだと考えることができる」。「それだけでも特別である。しかし、私たちは、さらにその上を目指し、実用性のあるNFTの報酬をセットにしたコンプリートゲームを作りたいと考えた。報酬には、3D NFTのBurger Kingの伝説的なアイコンが含まれている。ポップカルチャーのアイコンである『Subservient Chicken(Burger Kingの広告キャラクター)』とBurger Kingの『King』、そして、もちろんBurger Kingの『紙の王冠』である」。
「紙製の王冠」は、非常に象徴的であり、コレクター向けのNFTとなった。それは、デジタル時代のハードコアなファンに自慢できるアイテムとなったからだ。
今後のロイヤリティーの可能性
Sweetのようなマーケットプレイスパートナーの存在によって、ブランドによるNFTゲームへの参加が容易になっている。さらに重要なことは、消費者がより参加しやすくなっているということである。これは、マーケターにとっても魅力的なはずだ。
企業のバリューチェーンの測定と追跡に注力するブロックチェーン企業Toplの創業者兼チーフ・アーキテクトであるChris Georgen氏によると、コレクターズNFTやその他のロイヤリティプログラムのマーケットプレイス企業が数多く登場しているため、誰が勝ち残るのかはわからないという。
「ブランド側の問題は、どこで(そのブランドが)支持を得られるかということだ」と、Georgen氏。「どこで支持されるかをテストすれば、最終的に状況は落ち着くだろう」。
消費者の参加は、ブランドに対するロイヤルティのレベルにかかっている。消費者にとって強力な価値提案があり、そして、参加しやすいものでなければならない。Starbucksのように、すでに強力なロイヤルティプログラムを有しているブランドでは、簡単に参加してもらうことができる。
Georgen 氏は、次のように述べている。「Starbucksのような企業には十分なブランド・ロイヤルティがあるだろう。しかし、他社のウォールド・ガーデン(クローズドプラットフォーム)に入り込むほどのブランド・ロイヤルティがあるとは限らない」。「NFTの利点は、ロイヤルティを促進し、報酬を与える製品を提供できることである。しかし、それは携帯電話にウォレットがあるような、ある意味、オープンなインフラで行われる」。
NFT導入を次の段階に進める際には、ユーザーが自分の収集したコレクションをもっとコントロールしたいと思うかもしれない。Burger Kingのプロモーションでは、10月までの期間限定の懸賞を実施している。携帯電話にSweetをダウンロードして、Nellyからの一生に一度となるであろうパーソナルコールを狙ってみるのもいいかもしれない。