Amazonマーケットプレイスは、多くの中小企業にとって魅力的な選択肢である。巨大な消費者基盤を持つAmazonでの販売は、駆け出しの企業を次のレベルに引き上げる可能性があるが、リスクがないわけではない。しかし、課題を理解することでセラーはAmazonのプラットフォームのチャンスを活かし、可能な限りベストなポジションに身を置くことができるだろう。

 

2007年のサービス開始以来、Amazonは小売業界において絶対的な強者となり、2023年にはeコマース市場の約40%、売上高5,140億ドルを占めるまでになった。ビジネス・オーナーであれば、この数字を目の当たりにして、利益の分け前を手に入れたいと思うはずだ。

 

Amazonはまた、eコマースの中でもユニークな存在であり、独立した販売者にプラットフォームを提供し、その処理と発送をAmazonに任せるか、自社で行うかを選択できる。Amazonの独立系セラー約200万人は、同プラットフォームの売上の約60%を占めており、そのうちの約86%はAmazonが注文を処理している。

 

それでも、Amazonプラットフォームにはすでに数百万人の出品者がおり、さらに毎週何千人もの出品者が加わっているため、ブランドの専用eコマースサイトに加えてAmazonストアを運営することで生じる物流上の問題は言うまでもないが、目立つことは難しい場合がある。

 

ベストプラクティスと経験則は、Amazonストアの効果を最大化するためにマーチャントを導くのに役立つ。ここでは、Amazonストアを始める際に留意すべき点をいくつか紹介する。

 

最大の効果を生むAmazon商品ページの構築

Amazonを通して販売しているとはいえ、そこはまだあなたのお店であることを忘れてはいけない。商品ページのすべては、クリーンで、充実し、正確であるべきである。

 

スクロールせずに見える範囲すべてにできるだけ多くの情報を詰め込みたくなるかもしれないが、箇条書きのセクションは、商品に関する重要な情報を伝える短く説明的な文章にとどめることで、顧客が商品を読み、十分に理解するようになる。

 

販売者は、商品を販売するための貴重なスペースを提供しながら、スクロールしないと見えない領域を使用して商品の詳細を完全に具体化できる。買い物客が見落としやすい多すぎるコンテンツと、セールスにつながる有益な情報のバランスをとるのは難しいことである。豊富な画像でコンテンツを分割することで、魅力的なページを維持することができる。

 

商品写真と動画も不可欠であり、手を抜くべきではない。Amazonの画像ガイドラインは比較的厳しいが、それ以上のものを用意することで、正確性とエンゲージメントを確保することができる。特に、さまざまカラーバリエーションに関しては、製品を最もよく表現する、可能な限り高解像度の写真を撮るようにしよう。

 

Amazonの返品率は5~15%でだが、衣料品の返品率は25%を超えている。 サイズと色が購入者にとって重要な商品の場合、顧客の期待に応えられるよう、画像で商品を最大限表現しよう。

 

さらに、製品ページでA/Bテスト(スプリットテスト)を活用することは、売上を向上させる強力な方法となる。さまざまなページのバージョンを比較することで、どの要素(画像、製品説明、CTAフレーズ) が顧客の関心を引き付け、コンバージョンを促進するかを確認できる。

 

このような的を絞ったアプローチにより、売上と顧客満足度の両方を高めるためにリスティングを微調整することができ、Amazonストアの競争力を高めることができるのだ。

 

コンテンツを重視し、発見力を高める

Amazonにおいては、コンテンツが最重要である。競争の激しい市場では、商品を目立たせるためにあらゆる手段を尽くすことが重要となる。しかし、自社のeコマースストアとは異なり、Amazonの商品ページの構造には限界がある。商品ページのコピーや商品画像に工夫を凝らすことは、目立つための確実な方法となるのだ。

 

しかし、そもそも顧客を商品ページに誘導することは、競争の激しいカテゴリーのセラーにとって大きな課題である。検索エンジン最適化(SEO)は、Amazonセラーにとってそのハードルをクリアする上で重要な役割を果たす。

 

商品名や説明文を作成する際には、商品が何であり、何のためにあるのかを伝える説明文をできるだけ多く含めるようにしよう。特に、ブランドを埋没させることなく、SEOのためのコンテンツのバランスを取る場合、これを実践することは難しいかもしれない。

 

私たちは皆、40ワードもの長い商品名や、その商品に関するあらゆるキーワードを列挙した商品名を目にしたことがあるだろう。ブランドと商品名を前面に押し出しながら、商品を説明する言葉を意図的に選ぶことで、ブランド資本を犠牲にすることなく、発見力を高めることができる。

 

定期的にリスティングを見直し、更新することで、現在のトレンドやAmazonのアルゴリズム変更に確実に対応できるようにしよう。このような積極的なアプローチにより、商品の発見力を高め、プラットフォーム上での競争力を高めることができる。

 

AmazonのA9アルゴリズム(顧客の検索との関連性などに基づいて商品をランク付けするシステム)を理解し、最適化することも不可欠である。最も関連性の高いキーワードを、自然で顧客にわかりやすい方法で商品リストに組み込みこもう。この戦略的なアプローチにより、商品の視認性を向上させ、最も購入の可能性が高い商品と顧客を結びつけるというAmazonの目標に沿うことができるのだ。

 

Amazonをオムニチャネル戦略に組み込む

Amazonは素晴らしいプラットフォームであるが、あなたのブランドが存在するのはAmazonだけではない。商品ページを構築する際には、すべての情報とクリエイティブアセットがすべてのプラットフォームで統一されていることを確認してほしい。

 

Amazonの商品ページがあなたのeコマースサイトやその他のソーシャル販売プラットフォーム、サードパーティーセラーに反映されることで、あなたのブランドの信頼性と信用度が高まる。あなたの商品を検索して、5つの異なるサイトから5つの異なることを伝えられた顧客は、あなたのブランドを信頼する可能性が低くなる。

 

Amazonをより広範なオムニチャネル・コマース体験の一部として捉えることは、ロジスティクスと在庫管理にとっても不可欠である。特に、フルフィルメント by Amazon(FBA)を利用する出品者の大半にとっては、Amazonの施設の在庫レベルを把握することが不可欠である。

 

在庫が少ないと、検索結果で在庫切れのメッセージが表示される可能性があるだけでなく(これもブランドの信頼性の問題となる)、検索順位やショッピングカートボックスの順位の低下、アカウント停止などのペナルティをAmazonから受ける可能性もある。

 

Amazonを通じてコミュニティを育む

Amazonの真価は、トラフィックが多く、知名度の高いプラットフォームであることである。たとえ自社のeコマースストアほど儲からないとしても、Amazonを通じて生み出される販売量とブランド認知度は、Amazonを価値あるものにすることができる。

 

Amazonの多くの利用者は、コミュニティとブランド構築のための優れたツールとなり得る。Amazonでは、コミュニティはレビューの中に存在する。販売後、特にAmazonでの販売を始めて間もないうちは、顧客に直接声をかけてレビューやフィードバックを促すとよいだろう。

 

このエンゲージメントの利点は2つある。1つ目は、顧客にポジティブなレビューを残すよう促すこと、2つ目は、問題を未然に解決し、ネガティブなレビューの蓄積を防ぐことである。顧客対応に関するAmazonのガイドラインを遵守することが、コンプライアンスを確保し、ポジティブなセラーとしての地位を維持するために最も重要であることを忘れないでほしい。

 

Amazonが提供する可視性は、あなたのブランドにスポットライトを当てる。カスタマーサービスにおいてそれ以上の努力をし、あらゆる懸念に完全かつ丁寧に対応することで、潜在的な顧客に対して、あなたのブランドが顧客を真に大切にしていることを示すことができる。

 

Amazonで販売することは非常に難しいことかもしれない。しかし、Amazonでのプレゼンスをブランド全体のメッセージングに合わせ、コンテンツの質にこだわることで、あなたのブランドを次のレベルに引き上げる強力な販売ツールとなり得るのだ。

 

※当記事は米国メディア「E-Commerce Times」の2/2公開の記事を翻訳・補足したものです。