データ収集は複雑さを増している。今回は、企業が顧客と相互に有益な方法でデータを収集できる3つの方法を紹介する。


データは強力だ。見込み客を生み出し、顧客とのやり取りに情報を提供し、最終的には収益を拡大することができる。

データは、企業が善 (または悪) のために利用できる力でもある。後者の典型がサードパーティデータで、近年、アナリティクス業界に少々悪い評判を与えてきた。ただし、サードパーティデータが段階的に廃止されるにつれ、企業がより優れたデータ収集方法によってデータのスクリプトを書き換えることができるようになっている。


健全なデータ収集のメリット

健全なデータ収集とは、合法的、誠実かつ安全な方法でデータを収集、整理、および利用するプロセスを指す。これは、すべての人にとって利益となるデータへのアプローチである。

企業が特定の消費者および顧客のデータを保有している場合、エクスペリエンスをパーソナライズできる。カスタマイズされたメールから独自の販売オファーまで、顧客と顧客が愛用するブランドとの間で適切なデータが流れることで、顧客は全体としてより良いエクスペリエンスを得られるのだ。

健全なデータフローは、見込み顧客からより多くの質の高いリードを獲得することで、セールスファネル(顧客が自社の商品を認知してから購入に至るまでを段階で図式化したもの)の両端にも影響を与える。取引完了間近の顧客たちにとっては、重要なデータ (メールアドレスなど)により、放棄されたカートを減らすことができる。これらはすべて収益の向上につながり、すべての企業にとって最善の利益となる。

問題は、サードパーティデータのない未来に向けて、この前向きで敬意に満ちたデータ活用のアプローチを企業がどのように利用できるかということだ。

 

以下に、企業と消費者の両方に利益をもたらす方法で、企業が潜在顧客および既存顧客データを収集するための戦略をいくつかご紹介しよう。

 

1. オンサイトソフトウェアを使用してファーストパーティの顧客データを取得する

サードパーティデータが不要になるにつれて、ファーストパーティデータ(消費者の明示的な同意のもと、企業に提供するデータ)が新たに重視されるようになっている。このデータを独自に収集するためには、ウェブサイト上で直接収集することも含めて複数の方法がある。

ソフトウェア・ソリューションを企業のウェブサイトにインストールすることで、ブランドは訪問者から直接ファーストパーティデータを収集できる。これにより、匿名のデジタル識別子を顧客プロファイルと照合することが可能となる。重要なのは、所有者の認識と承認を得て収集されたデータを使用することである。

特に、サードパーティの情報に対する懐疑心が強まっている世の中では、健全なファーストパーティデータの収集の必要性は高い。ファーストパーティデータの収集により、ブランドは自信を持ってパーソナライズされたブラウジング、個々の商品オファー、ターゲットを絞ったカート放棄メールを作成できる。



2. アンケートは健全なデータ収集戦略

企業が自身の取り組みを通じてデータを収集したい場合、最良の方法の1つはアンケートの実施である。これは、離脱しようとしているオンライン顧客から情報を収集するための優れた方法だ。

アンケートがデータとして役立つ最も明白な方法は、重要な個人情報を収集することだ。顧客に特定の好みや傾向を尋ねることで、将来的にパーソナライズされたマーケティングを行うための扉が開くことができる。

また、アンケートを使って、顧客全体についてのインサイトを得ることもできる。Survey Monkey(オンラインアンケートのソフトウエア開発企業)は、明確で定量的なデータを作成する選択式の質問の重要性を強調している。

たとえば、ある企業が既存顧客に対して、自社ウェブサイトの操作性を尋ねたとする。その場合、「難しい」から「非常に簡単」までの5段階評価で具体的な答えを提示してもらうのだ。

こうすることで、顧客の明示的な同意のもと、顧客から直接提供されるデータセットが増え続けることになる。その後、企業はそのデータセットを使用して eコマースのショッピング体験を向上させることができ、その過程で企業と消費者の双方に利益をもたらすことができる。

これにより、1 回きりのやり取りを永続的な顧客関係に変えることができる。さらに良いことに、両者はデータ交換が行われることに完全に同意していることになる。


3.景品を提供する(適度な条件付きで)

まだ顧客になっていない消費者のデータを積極的に収集するもう1つの方法は、景品を使うことだ。

コンテストは、エンゲージメントを促進し、ブランドの認知度を高める優れた方法だ。また、同意のもとで個人データを取得する簡単な方法としても機能する。

景品プレゼントのようなものに応募すると、多くの場合、一定の条件付きとなる。これらには、投稿のシェアやコメントを残す、メーリングリストへの登録などが含まれることがある。最後の「メーリングリストへの登録」は、顧客データを作成し始めるための最適な方法だ。ある人のメールアドレスを取得したら、その人とのコミュニケーションを開始し、アンケート調査などにより、その人からすでに入手しているデータを発展させることができる。

顧客を尊重するためにも、「ダブルオプトインソリューション」の採用をお勧めする。これは確認済みオプトインとも呼ばれ、実際にリストに追加される前に、その人の同意を求める確認メールから構成される。

Campaign Monitor社(シンプルかつ強力なメールマーケティングツールを提供)は、ダブルオプトインのアプローチには、より質の高いリードを作成できるという重要な利点があると指摘する。メーリングリストに2回オプトインするという追加の手順は、該当する消費者が、余分な手間がかけても構わないほど、あなたの会社への関心を高めていることを意味する。

 

ダブルオプトインの景品や販売後のアンケートから、Resolutionのような包括的なソリューションまで、企業がデータを収集する方法はいくつもある。これらの方法は、企業と消費者の双方に利益をもたらす戦略であり、データがこれまでと同様に関連性を保ち、サードパーティcookieのない新しい未来から相互に利益を得ることを可能にする。

 

※当記事は米国メディア「Entrepreneur」4/11公開の記事を翻訳・補足したものです。