成功の秘訣は、一貫性があり、適切で、オーディエンスにとって価値のあるコンテンツマーケティング戦略を立てることだ。

 

コンテンツマーケティングは、世界中のデジタル市場で利用されている最も強力なツールの一つになっている。しかし、オーディエンスに真のインパクトを与えるには、ソーシャルメディア・チャンネルを充実させたり、定期的にeメールを送信したりするだけでは不十分だ。ビジネスのコンテンツは、オーディエンスのペインポイント(顧客が商品やサービスを購入/使用する際に生じる課題など)にヒットし、価値を提供するものでなければならない。

 

良質なコンテンツとは?

Content Marketing Institute(米国のマーケティングサイト)が示しているコンテンツマーケティングの定義には、質の高いコンテンツの要点がまとめられている。コンテンツは、「価値」、「関連性」、そして「一貫性」がなければならないと考えられている。この3つの属性が、良質なコンテンツの柱だと考えてほしい。

 

価値の提供:あなたのコンテンツを読んだり、閲覧した後、ユーザーは今まで知らなかったことを知ることができる。または、あなたのコンテンツが問題解決に役立ったかもしれない。

 

関連性がある:コンテンツは、オーディエンスの生活に関連するものである必要がある。キャリアに役立つもの、人間関係の悩みを解決するもの、休憩時間の娯楽になるものなど、さまざまだ。これら3つのシナリオはすべて、コンテンツを使う人に関連した完璧な例といえる。

 

一貫していること:賞を獲得するブログ記事を一度書いたきりで次が続かなければ、それは質の高いコンテンツマーケティングとはいえない。一貫性を保つには、同じように質の高いコンテンツを定期的に提供する必要がある。

 

この3つの柱は、企業がコンテンツ戦略を策定する際に役立つものだが、コンテンツの品質を最終的に判断するのは、ユーザーまたは見込み客である。これは、コンテンツマーケティングにおいて、戦略の中心に据えておくべき最も重要な点の1つだ。コンテンツマーケティングとは、自分のために文章を書いたり、動画を撮影したりすることではなく、オーディエンスのために行うものである。

 

高品質なコンテンツを制作する

いくつかの有名ブランドは、高品質のコンテンツを制作し、それを戦略的に活用して、オーディエンスとの絆を深めることに成功している。

 

1: LinkedIn

世界最大級のビジネス特化型SNS、および同サービスを提供するシリコンバレーの企業LinkedInは、すべてのソーシャルメディアプラットフォームの中で、ユーザーの専門的なキャリアアップを支援するコンテンツを提供することに、最も重点を置いているプラットフォームだろう。同プラットフォームはソーシャルネットワークであるかもしれないが、いくつかの競合他社とは異なり、その焦点はソーシャル化よりもむしろネットワーキングに置かれている。

 

この焦点の当て方は、LinkedInのブログのコンテンツに反映されており、ライターが読者にインパクトを与える非常に的を絞った記事を作成している。その狙いは、ライターやプラットフォームのプロフィールを作ることではなく、あくまでもユーザーの問題を解決することにある。さらに、このプラットフォームは、コンテンツを再利用する技術を習得している。ホワイトペーパーはブログ記事となり、電子書籍は共有されることでより多くの読者を見つけることができる。

 

その結果、ユーザーはLinkedInが自分のキャリア開発に関連する価値の高いコンテンツを提供し、常に最新の状態を保っていることを認識している。

 

2 Shopify

カナダのオタワに拠点を置く多国籍eコマース企業Shopifyは、成功したeコマースの代名詞となっており、コンテンツマーケティングは同社の重要な成長戦略の1つとなっている。

 

LinkedInのように、Shopifyは自社のブランドを押し出すことを控えた。その代わり、チームはeコマースに関する情報を集めた百科事典を立ち上げ、eコマースに関心を持つユーザーや他の企業がこの分野をより理解できるように支援した。このオンラインショッピング百科事典は、他の人々にとって貴重なツールであることが証明され、Shopifyチームは専門家としての地位を確立した。

 

ユーザーや顧客に役立つコンテンツを作成することで、Shopifyはブランドの評判を高め、信頼を獲得していった。さらに、この百科事典はShopifyのプラットフォームへのトラフィックを増加させた。個々の項目は、読者に合うように短くまとめられている。Shopifyは、ユーザーが詳しい説明を求めているわけではなく、この段階では手早く読めることを望んでいることを把握していたのだ。

 

3 TED Talks

TED Talksの熱心なフォロワーでなくても、このブランドを知らないということはまずないだろう。TED talksは、YouTubeやYouTubeのポッドキャストで共有される優れた無料動画トークのことだ。これは、動画(および音声)によるコンテンツマーケティングの優れた例だ。

 

TED talksはあらゆるテーマを扱っているが、すべてに共通しているのは、示唆に富むアイデアを共有したい、ということだ。世界的な専門家が多くプレゼンし、中には有名人もいれば、特定のニッチをカバーする人もいる。

 

TEDはどのようにして2,000万人を超えるYouTubeオーディエンスを築き上げたのか。答えは簡単だ。世界規模の招待制カンファレンスであれ、TEDワールドのスピンオフ・チャンネルであれ、常にクオリティが最優先されるからだ。スピーカーは魅力的で、同じように刺激的な考えをもっている。この品質へのこだわりが、世界のスピーカーの中でも大物たちを惹きつけ、TEDというブランドを成長させ続けているのだ。

 

ビジネスが高品質のコンテンツを生み出すにはどうすればいいのだろうか。

例に挙げたように、質の高いコンテンツはさまざまな形で提供される。InstagramTwitterの短い投稿で価値を提供することもできる。長尺の説明動画も、同様にブランドにとって有益なものになる。

 

配信形式を選ぶ前に、まずオーディエンスを考えることから始めよう。成功するコンテンツは、価値を提供するものである。コンテンツマーケティングを検討しているブランドは、既存の顧客にどのように価値を提供し、他の顧客の注目を集めることができるかを考える必要がある。顧客があなたのビジネスに何を求めているかを理解することで、顧客のニーズをよりよく満たすことができる。

 

すでにコンテンツマーケティングを開始しているビジネスであれば、既存のコンテンツを更新することはコンテンツマーケティング戦略の一部であるべきだ。特に、テクノロジーのように変化の激しい分野で事業を展開している場合は、それが重要となってくる。さらに、既存のコンテンツを更新することは、検索エンジン最適化(SEO)など、デジタルマーケティング戦略の他の側面にも利益をもたらす。

 

SEOといえば、見込み客が会社を検索するとき、何を求めているか知っているだろうか。SEOの専門家は、これを「検索意図」と呼んでいる。オーディエンスがあなたの製品やサービスをどのように探しているかを理解することで、コンテンツをカスタマイズすることが可能になる。

 

コンテンツは、魅力的で理解しやすいものにすること。コンテンツ戦略に長いブログ記事、ホワイトペーパー、電子書籍が含まれる場合、それらはうまく表現され、読みやすいものでなければならない。理解しにくいために消化しにくいコンテンツがバズることはほとんどない。短い文章は、長ったらしい説明よりもずっと効果的だ。動画コンテンツを提供する場合は、プレゼンテーションのスタイルとコンテンツの録画に使用する技術について考えてみるとよいだろう。

 

コンテンツマーケティングは、既存のオーディエンスとつながり、新しいオーディエンスを獲得するための素晴らしい方法だ。デジタルマーケティングのあらゆる形態と同様に、戦略的なアプローチこそが成功の可能性を高める。コンテンツマーケティングとは、一貫性があり、オーディエンスに関連性があり、そして何よりも価値を提供することなのだ。

 

※当記事は米国メディア「Entrepreneur」の8/19公開の記事を翻訳・補足したものです。