2021年、中小規模のeコマース企業の大多数が、売上高増を達成した。5社に1社は、売上高が少なくとも40%増加した。ただし、これらの企業はいくつかの課題にも直面した。

 

今年はCOVID-19の大流行に見舞われたとはいえ、多くのオンラインビジネスにとって成功の年となった。Sendlane(米国ソフトウエア企業)が、現在のeコマース市場を把握するために、150社の中小企業(売上高4,400万ユーロ未満の企業)を対象に調査を行った。そのレポートによると、大多数(92%)の企業が売り上げを伸ばしたという。

 

34%の企業が10〜20%の売上増を達成

SMB(Small and Medium Business)企業の21%では、売上が40%以上増加した。10〜20%増となった企業が最も多く(34%)、次いで33%が20〜40%の売上増となった。

 

利益率の向上

売上高の増加に加え、利益率も急速に伸びている。全体の利益を10%以上増加させた企業は、調査対象企業の90%にも上った。ほとんどの企業は、増加傾向が今後も続くとみている。最大93%の企業が売上の増加を予測し、28%の企業は少なくとも40%の成長を見込んでいる。大多数となる92%が利益増加を見込んでおり、24%の企業は40%増を予測している。

 

ウェブサイトのトラフィックの安定化

売上と利益の増加に伴い、企業サイトへのトラフィック(アクセス数)が増加したのは当然のことだ。90%が、10%以上の増加を報告している。ただし、ウェブサイトのトラフィックは、eコマースでの購入増に伴い安定してきたようだ。プロモーションとセールはもはや大きな推進力となってはおらず、むしろ消費者はそれらを待つことなく定期的にeコマースサイトで買い物をしているのだ。

 

「消費者はeコマースサイトで定期的に買い物をしている」

 

オンライン需要の増加により、オンラインビジネスはテクノロジーツールへの投資を増やしている。小売業者の最大85%が、2020年よりも2021年にeコマーステクノロジーに多くの資金を費やした。そのうち46%の企業が、前年比で少なくとも40%以上増加させた。

 

マーケティング疲労とその他の課題

2021年は、中小規模企業が大きな成功を収めたにもかかわらず、彼らのほとんどは課題も経験した。サイバー詐欺が最大の懸念事項と回答した企業は、35%にも達し、次いで多かったのは、財政状況により消費者がお金を使うのが難しくなるかどうかを懸念していると回答した企業だった(18%)。配送の遅延(13%)とWebサイトの安定性(8%)も懸念事項となっている。

 

回答企業の少なくとも67%は、消費者が過度なマーケティングメッセージに対する疲労を経験していると考えている。回答企業の21%が、顧客を引き付けるための新たな方法を模索するべきと回答し、23%は使用するチャネルを多様化するべきであると回答した。そして、最大39%が、マーケターはパーソナライズされたメッセージングに投資すべきであると回答している。

 

「少なくとも89%の企業が、2022年にマーケティングメッセージのアウトプットを増やすことを計画している」

 

ただし、大多数(89.3%)の企業は、2022年にマーケティングメッセージのアウトプットを増やすことを計画していると回答している。そのうち、41.8%が最大20%の増加を目指している。

 

「eコマース小売業者は成功するポジションにある」

「この1年は、eコマースにとって刺激的で複雑な年だった」と語るのはSendlaneのCEOであるJimmy Kim氏。同氏は次のように述べている。「確かにパンデミックはオンラインショッピングへの移行を加速させたが、消費者の購買習慣もCOVID-19発生よりかなり以前からこの方向に動いていた。2021年のeCommerce Health調査で非常に注目すべきは、回答企業の53%がeコマースの状態が『強い』、39%が『非常に強い』と確信していることだ。これは、経済、配送問題、サイバー詐欺などに関する懸念事項にもかかわらず、eコマース小売業者は2022年に成功すると信じるに足る絶好のポジションにあるということを示している」。

 

 

※当記事は欧州メディア「Ecommerce News」の12/17公開の記事を翻訳・補足したものです。