先日開催されたMarTechのカンファレンスで、エンタープライズSEOプラットフォームを提供する英国企業DeepcrawlのCEOであるCraig Dunham氏は、「消費者は、我々の多くが1日に何十回、何百回と使うツールからジャーニーを始める。だからこそ、収益との関連性が非常に明確になっている」と述べた。

 

同氏が語るのは、検索エンジンと検索エンジン最適化についてである。検索はファネルの上部における発見と捉えられているが、マーケターはそれがすべてつながっていることを知っている。より良い検索は、カスタマージャーニーをさらに進めて、売上やロイヤリティを向上させることができるのである。

 

最適なデジタル体験

「消費者がブランドと関わる方法は変化しており、しかもそれは急速に進んでいる」とDunham氏は話す。「そして今、その変化は加速しており、顧客に最適なデジタル体験を提供する必要性が非常に重要視されている」。

 

検索のパフォーマンスは、サイトのエクスペリエンスにますます左右されている。「Googleはここ数か月の間にアルゴリズムを変更して検証を行った。これにより、ウェブサイトのパフォーマンスと、最終的な顧客となるユーザーに提供する体験を重視するようになった」とDunham氏は説明する。

 

「Googleが称する『コアウェブバイタル』とは、ページエクスペリエンススコアを決定する要素のサブセットのことだ」と同氏。「それは、ページの全体的なユーザーエクスペリエンスを決定する。Googleがこのことを強調しているにもかかわらず、それに対応するための適切な措置を講じているブランドは非常に少ない」。

 

リスティング広告は誤解を招く

Dunham氏によると、検索経由の訪問者数をみた場合、リスティング広告の結果は誤解を招く可能性があるという。「マーケターは、しばしば間違ったことを疑問視している」と同氏。「マーケターはリスティング広告の短期的な結果にとらわれ、なぜそれが投資の大部分を占めているかについては疑問に思っていない」。

 

長い目で見れば、サイトへの訪問者数に連動する有料広告に予算をあまりかけないことにメリットがある。「より良いオーガニック(有機的な)トラフィックを促進することで、概ね相乗効果が得られる」とDunham氏は述べる。「データに精通した最高マーケティング責任者(CMO)は、高品質のウェブサイトがサステナブルなトラフィックにとって重要なメカニズムであり、継続的な成長につながることを理解している。SEOへの投資によって、有料チャネルよりもはるかに低コストでより多くの顧客を獲得することができる」。

 

有機的成長に対する共同責任

「ウェブサイトは共同責任であり、適切な戦略的リーダーシップが必要となる。時間をかけて、自分自身、幹部、役員、そして組織をより広く教育してほしい」とDunham氏は話す。

 

Dunham氏は、SEO関連のKPI(重要業績評価指標)をビジネス全体の目標とするよう提案している。組織の他のメンバーは、低コストの獲得チャネルとしてのSEOの効率性を理解する必要がある。「そして、その教育を拡大し、SEO関連のプロジェクトをサポートするために、適切な予算、適切な時間やリソースを割り当てるべきだ」と同氏は付け加える。

 

複数の部署が関与するということは、より多くの人が責任を共有し、貴重なデータやインサイトを共有しているということだ。「現在の状況を把握するためのデータがなければ、重要なウェブサイトのトラフィックを改善し、最終的に収益の成果とするためのうってつけの方法はない」とDunham氏は話す。

 

「部門を超えたさまざまなチームの中で行われているあらゆる視点や検索活動を結びつける、このような組織全体の検索オペレーションシステムとプラクティスを導入できる企業が、強力な競争優位性を有することは周知の事実だ」と同氏は付け加える。

このことが、データシグナルを理解し、体験や検索結果を改善するためのアクションを起こす能力を高めるのである。

 

コードの影響

「マーケティングオートメーションは、コードエラーを確実に減らすために、ウェブ開発プロセス内で非常にうまく展開されている。しかし、見落とされがちな分野の一つは、コードが検索結果に直接影響を与えうることだ」とDunham氏は説明する。

 

開発チームが悪いコードをリリースしてトラフィックが大幅に減少し、重要なウェブページ全体の収益減少につながることがないようにするための、追加の仕組みを導入することができると同氏は指摘。

 

「検索ファーストの消費者を認識しているブランドは、長期的な成功を収めることができるだろう」とDunham氏は語った。

 

※当記事は米国メディア「MarTech」の11/1公開の記事を翻訳・補足したものです。